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月刊中小企業レポート
更新日:2006/12/09

イノベーション

会社の少子高齢化!?

 少子高齢化の進行で年々子供の人口が減っていますが、中小企業も年々減り続けています。3%台で推移した廃業率は6%台に跳ね上がっています。平成13年に469万社あった会社の数が平成16年に432万社と4年間で37万社、1年につき9万社も減っていることになります。一方で、子供で言えば出生率にあたる、開業率ですが、かつては6%近くあったものが、3%台で推移しており、各種の開業支援の政策が打たれている割には、なかなか増加していません。学生の各種意識調査をみても、日本の学生は、公務員になりたがり、経営者や専門職になりたい人の割合は少ないので、今後大幅に開業が増えることは望めません。会社の数が増えないのだから、競争相手が減って楽になるのでは?と考えることもできますが、現実には、一部の勝ち組がどんどん市場を席巻していく構図ができあがっていきます。そして、事業見込みの無い会社が自主廃業するか、最悪は倒産に至る、この厳しい経営環境に我々中小企業はどう対応したらよいのでしょうか。人間だけでなく会社も少子高齢化が進んでいる現在の中小企業ですが、今後の舵取りの参考になればと対応のヒントを掲載させていただきたいと思います。

(1) 新たなビジネス展開のチャンス

 キョウデンという伊那地区の製造業が全国展開している99ショップという生鮮コンビニがあります。生鮮コンビニという新しい業態を作り出したのは、町から八百屋さんが無くなって大型スーパーばかりになっていく、この隙間をついたのがコツだと言えると思います。
 キョウデンの99ショップは、業績がとても良いので、その後ローソンなど大手が模倣して参入しています。このように、会社が生まれず一方で廃業が相次ぐ業界の中で生まれる隙間でビジネスチャンスも生まれる可能性が大きいといえます。
 本屋さんも町からどんどん消滅し、残っている本屋さんも在庫を絞り、問屋さんの言いなりの品揃えをするものですから、どこに行っても同じで本当に欲しい本が無い。その中で、紀伊國屋書店や三省堂を追い越す勢いで成長し続けているのが、インターネット上の本屋さん『アマゾン・ドット・コム』です。ネットで受注し膨大な倉庫で管理していますので、年に1回しか売れないような本の品揃えも可能です。アマゾンの売り上げの半分近くは、こうした店頭ではあまり売れない本の売り上げの合計だそうです。

(2) M&Aの検討

 会社を売却したり、購入したりすることが地方でも珍しくなくなってきました。廃業の多くの一つに後継者不足が挙がっています。後継者がいない、いても継がせたくないときには、今後会社を売却するのも、ハッピーリタイアメントの一つとしてますます日常化してくると思います。ドラックストアや薬局のM&Aはとても盛んですが、最近では病医院や福祉施設のM&Aの話を聞くようになってきています。業種関係なくM&Aが日常化しつつありますので、今後の検討項目に入れても良いと感じます。
 一方、事業をどんどん伸ばしていきたい方の一つの選択肢としてのM&Aも重要です。新たにノウハウを習熟したり、市場獲得する時間を大幅に削減することができます。

e-Taxで申告・納税がより簡単に?電子申告・電子納税のススメ

 電子申告・電子納税という言葉をご存じでしょうか?電子申告とは、書面による申告書の提出をせず、パソコンからインターネットを使って行う申告のことです。電子納税とは、同様にパソコンからインターネットバンキングを使って、納税手続きを行うことです。税務署や金融機関に出向いたりしなくても、自宅や会社で手続きが完了してしまうのです。海外ではアメリカ・フランス・韓国などで既に導入されており、韓国では所得税の電子申告率が7割を超えていると言われています。日本でも国税庁がe-Taxというシステムを平成16年6月より導入し、電子申告の普及に努めています。しかしながら、手続きの煩雑さや利用するメリットが感じられないことから、導入より2年で利用率が全体の0・3%と殆ど普及していません。それらを受け、9月に国税庁からe-Tax普及に向けた方針発表がありました。その中から、改善点とメリットについて最新の情報をご紹介します。
 なお、今回9月の国税庁の発表は正式なものではなく、各機関等で調整している段階とのことですので、変更になる可能性があります。

◎現在、e-Taxでは下記のような手続きをオンラインで行うことができます。
◆所得税・法人税・消費税・酒税・印紙税の申告
◆所得税・法人税・消費税・相続税・贈与税の申請・届出
◆国税の納税
  例)所得税の確定申告・消費税選択届出書の提出、法定調書の提出、源泉所得税の納税手続き・納税証明の取得など

◎開始手続きがより簡単に
 e-Taxを利用するには、まず①開始届出書の提出→②市役所等で住基カードを作成→③住基カードに電子証明書を入れてもらう→④ICカードリーダの購入→⑤e-Taxソフトのダウンロード→⑥暗証番号等の登録→⑦完了 と少し手間がかかります。また電子申告をする際は、ICカードリーダと住基カードを使い納税者の「電子署名」を行ってから申告という手続きがありました。
 しかし平成19年1月からは、税理士の電子署名のみで電子申告ができます。会計事務所を経由で①開始届出書の提出をするだけで、②以下の工程が不要です。平成18年分の確定申告から電子申告が簡単に行える予定です。

◎電子申告控除を創設
 電子申告をするために要した電子証明書などの取得費用について、確定申告で所得税の税額控除をするというものです。期間は平成19・20年度の2年間、控除の適用は1回限りです。そのほか、社会保険・労働保険の手続きについてオンラインで申請するためのシステム構築に要した費用の10%を所得税・法人税から差し引く優遇制度の創設も検討されています。

◎その他優遇措置も
 e-Taxによる所得税・個人消費税の還付申請者に対しては、早期還付処理を行うことも検討されています。通常、申告から還付まで6週間ほどかかりますが、3週間ほどに短縮されるよう検討されています。またe-Taxの利用可能時間は、確定申告期間は24時間利用できます。通常でも、月~金曜日(祝日を除く)9時~21時まで利用可能なので、届出や申請などが17時以降でもできるというのは、大変便利です。
 いますぐ電子申告・納税の必要がなくても、準備を行うメリットは十分にあります。まずは電子申告・納税の開始届出書の提出から始めてみてはいかがでしょうか。

※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。
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