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月刊中小企業レポート
更新日:2006/11/09

コラム

建設業の行く末

長野県中小企業団体中央会上小支部長 平野 岩夫(上田市建設事業協同組合理事長) 田中県政の5年9ヶ月は、私共建設業者にとって想像をはるかに超えた苦難の年月でした。いきなり、このような出だしになりましたが、ここで述べる「苦難」には2通りの内容を含んでいます。まず1つ目は妥当性のある、多くの人がもっともだと思ってもらえる苦難があります。2つ目は私共建設業者は公共事業の恩恵にあずかり、甘えの構造があったがために、苦難とまで言えないにもかかわらず苦難と感じてしまった。以上、2つの要素を含んだ苦難ですが当然のことながら、2つ目につきましては、反省すべきですがこの年月でしっかり反省できました。
 さて私共上田市建設事業協同組合(以下組合)において、この5年9ヶ月をふりかえってみますと、6年前は組合員数は61社、総従業員数は約1,500人でしたが、現在では組合員数は42社、総従業員数は約500人と大幅な減少になり、組合、組合員の弱体化は急速に進みました。建設業者の果たすべき社会的役割は市民生活にとりましても大変重要であり、これからも要請、要望に応えていくべきと考えています。ここの役割にはどの様なものがあるか。
大きく分けて

  1. 災害対応。除雪作業
  2. 様々なボランティア活動の2通りが揚げられます。この災害対応、除雪作業だけをとっても人力、機械力が揃っていなければ何一つ満足にできません。前述しましたように組合員数は2/3に、総従業員数は1/3にまで弱体化した組合、組合員にはもう必要とされる対応力は残っておりません。ましてや様々なボランティア活動に関しては更に厳しい情況になります。

 組合運営の現状は組合員の減少、各組合員の売上減少が会費収入減に拍車をかけ一段と厳しさを増しております。この苦境を乗り超えるためには、まず組合自身の更なるスリム化と新規事業による増収を図ることが必要です。この度、建設業振興基金より中小・中堅建設業の支援事業を申請し、採択を受け、組合としての新規事業、そして組合員の業態転換をも含んだ調査事業に取り組み始めました。この調査事業をやりとげて、次の事業化へのステップを確実に歩んでいく所存であります。
組合員自身も建設業一本では未来は開くことができないことは十分認識しております。すでに10社程度は新規事業を始めておりますが総じて順調な経営になったとは言えない現状です。
もちろん、途中で投げ出す訳にはいきません。ねばり強く継続していく必要があります。また新たに新規事業に取り組む組合員も出てきます。このような時こそ、異業種交流の環境を持ち、更に産業界全般の情報の発信、中小企業庁を始めとして官庁関係の情報を持つ中小企業団体中央会に対して私たちは多いに期待し、その役割を十分に果たしていただき、私共組合、組合員の未来に明るい光を見つけていただきたいと思います。

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