イノベーション
仕事?労働?『利益の源泉は、仕事が好きな事』
「仕事は苦痛であり、命令されて、時間拘束されて我慢すべきものだ。だから、就業時間が終わったらサッサと帰るんだ」という会社があります。一方で、就業時間より早く来て掃除をすませ、機械などの試運転をし、開始時間に即本稼働できるように準備する会社があります。利益を出している会社がどちらなのかは一目瞭然です。前者の会社は、労働分配率は高いのですが生産性が低いので会社も利益がでませんし、従業員の賃金も高くありません。後者の会社は、賃金は同業よりも高めですが、生産性が高いので労働分配率は低めで、会社も高水準の利益を出しています。仕事というものを、どのように捉えるかによって、利益が従業員と会社の双方にもたらされるかどうかの大きな差になるのだと感じます。高賃金、高生産性、低労働分配率を実現し会社の財務体質を強化していくコツは、一人一人がもっと仕事を好きになる事にあるのではないでしょうか?仕事の意味を理解し、我が組織の仕事の価値を理解し、個々の従業員における仕事の意味の理解を深めていく事は組織のリーダーに求められている最大の仕事なのかもしれません。目先の利益よりも、仕事自体の意味の再確認が利益の源泉となるのではないでしょうか?
世界中の大企業がその技術を求めてやってくる東京都大田区の岡野工業(株)の岡野雅行氏曰く「人より長い時間働いても辛くないくらい、仕事が好きでなければ、人と違った発想は生まれない」です。岡野社長は、痛くない注射針や軽量な携帯電話の開発者として有名です。野球のイチロー選手は「高い目標を設定し日々出来る事、しなければならない事を地道にやる。それが苦にならないのは、好きな事をやっているからだ」とコメントしています。最後に、将棋の羽生氏のコメントですが「ひらめきやセンスも大切だが、苦しまないで努力を続けられるという事が何より大事な才能だと思う」です。私たち自身が仕事を好きであるという事の実践とともに周りに仕事好きな人を増やすという事はけっして働き蜂と揶揄されるような時代遅れの発想ではなく、停滞気味の組織において、我が国において、もう一度立ち返るべき価値観である気がしてなりません。
書面添付のススメ
~税務調査が軽減されるってホント?!~
皆様は「書面添付制度」をご存知でしょうか?決算が終わり、税務署へ申告書類を提出する時に、税理士が決算を行う際に計算したり相談に応じた事を個別に具体的に記載し、申告内容が正しいと証明する書類のことです。申告書類と一緒に提出するもので(図1)、メリットとしては大きく2点あります。
- 税務署からの信頼が高まる。
- 税務調査が省略・軽減される。
右記の効果として考えられるのは、調査の時に心のストレスや時間的な拘束が減り、経営に専念できる時間を得られます。
今回はこの書面添付の内容と活用事例についてご紹介いたします。
○書面添付の概要
書面添付制度は昭和31年6月に成立した制度で、申告書類について税理士が関わった度合いを明確にすることと、税務署の業務を簡素化する目的が強いもので大きなメリットはありませんでした。その後、平成14年に改正があり、書面添付を提出している場合、調査の前に税理士が税務署に行き意見聴取が行われ、疑問点が解決されれば調査が省略されるケースが増えてきました。
実際に意見聴取だけで調査が省略された事例が2件ありましたのでご紹介いたします。
○税務署から意見の聞き取りのみで調査が省略された事例
事例1 業種:IT産業
主な聞き取り項目
①事業内容、会社の特性、強み、②株主構成、③代表者の経歴、④主な得意先・仕入先・外注先と入金・支払方法、⑤利益が出た経緯 etc…
事例2 業種:サービス業
主な聞き取り項目
①事業内容、②現金管理方法、③売掛金、利益の低下原因、④仕訳の修正方法、⑤非常勤役員の具体的な業務 etc…
前記の事例内容は、税務調査時と同様の聞き取りが行われています。
書面添付の活用は調査が省略される可能性があり、また他県の銀行では融資の年率を0.5%優遇しているところもあります。
このようにメリットはありますが、注意する点もあります。注意点としては①日々の現金管理、②取引の流れに沿った記帳、③書類の整理保存があげられます。これらは決算申告時に対応できるものではなく、日々の活動が重要です。
書面添付を活用することは、税務署・銀行からの信頼を高めるだけでなく、日々の現金管理や取引の流れを見直し、改善点を発見するチャンスにもなります。
新客観点数改正案について
10月号でお伝えしました、19・20年度の新客観点数の改正案に変更がありました。主に影響のある3項目について、簡単にご紹介いたします。
※本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。
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