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月刊中小企業レポート
更新日:2006/11/09

特集1 第58回中小企業団体全国大会

渋谷C.C.Lemonホール

特集1 第58回中小企業団体全国大会

~広げよう連携の絆   新たなる飛躍のとき~

第58回中小企業団体全国大会が東京渋谷「渋谷C.C.Lemonホール」において開催 10月19日(木)、第58回中小企業団体全国大会が東京渋谷「渋谷C.C.Lemonホール」において開催されました。
『広げよう連携の絆 新たなる飛躍のとき』のキャッチフレーズのもと、甘利経済産業大臣をはじめ、松野厚生労働大臣政務官、福井中小企業庁長官ほか大勢のご来賓の臨席の中、長野県中央会関係者103名を含め全国より2、000名を超える中小企業者が参加し盛大に開催されました。
 大会では、中小企業に関する12項目の決議及び大会宣言が採択されました。
併せて表彰が行われ優良組合(32組合)、組合功労者(72名)、中央会優秀専従者(38名)が表彰されました。
なお、次回第59回中小企業団体全国大会は東京都で開催されることとなりました。

 

 

宣言

 我が国の景気回復の状況は、地域・産業・企業規模などによる跛行性が大きく、地方経済と中小企業は依然として振るわず、多くの中小企業は受注量の減少、収益の低下に苦しんでおり、未だ景気回復を実感するには至っていない。
 このような状況下、我が国経済の活力の源泉、国の礎である中小企業は、将来に対する不安を払拭できないまま、日夜懸命の経営努力を重ねている。
 今まさに、中小企業が相互に経営資源を補完し、知識と技術を結びつけ、共同で事業を行う中小企業組合が力を最大限に発揮すべきときであり、様々な分野でこれらに対する期待が改めて高まっている。
 開廃業率の逆転現象が続く中、創業・起業を促進するとともに、再チャレンジが可能な社会の実現、新連携、新事業展開の推進などの視点から、中小企業連携組織対策を中小企業政策の中核として位置づけ、抜本的に強化すべきであり、これら事業の遂行を担う中小企業団体中央会に対する強力な政策支援を講ずべきである。
 景気回復の効果を広く中小企業に及ぼし、我が国経済社会に弾みをつけるため、政府は慎重な経済運営に意を用いるとともに、大胆で強力な経済政策、中小企業政策を展開すべきである。
 本日、全国の中小企業団体の代表は、首都東京に集い、「広げよう連携の絆 新たなる飛躍のとき」を合言葉に第58回中小企業団体全国大会を開催し、我が国中小企業が時代のニーズに即応して積極的にその期待に応えていくうえで不可欠な重点要望を決議した。
 政府並びに地方公共団体は、全国430万中小企業が、その活力を最大限に発揮し、希望と勇気を持って、明るい展望を切り拓いていくことができるよう、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
 我々中小企業もまた、本日の大会を契機に、企業家精神をさらに発揮しつつ、中小企業組合のもとに相互の力を結集させ、希望と活力に満ちた新しい経済社会の創造に向け、大きく翔くことを期する。
 右宣言する。

平成十八年十月十九日
第五十八回中小企業団体全国大会

県内各表彰

 

優良組合

飯田管工事業協同組合
長野県飯田市松尾新井6749-1
理事長 大原 裕夫
設立年月日 昭和48年6月5日
組合員数 35人
主な共同事業
1. 事務代行事業
2. 共同購買事業
3. 金融事業
組合功労者 寺澤 信栄
昭和26年1月31日生
長野県パン商工組合
代表理事
中央会優秀専従者 緩詰 哲男
昭和39年4月13日生
連携支援部連携開発課主査

 

第58回全国大会スローガン

  1. 中小企業連携組織対策予算の充実・強化
  2. 中小企業の要請に応える政策金融改革の実現
  3. 中小企業を伸ばす税制の確立
  4. 中小企業に配慮した労働対策の推進
  5. 改正まちづくり三法の実効ある運用
  6. 中小企業に対する不公正取引等への監視機能の強化

 

第58回中小企業団体全国大会決議

1.中小企業対策・中小企業連携組織対策の拡充・強化、組合制度のさらなる改善

 景気回復の効果を広く中小企業が享受できる確かなものとし、持続可能な経済成長の腰を折ることのないよう慎重な経済運営に努めること。
 特に、中小企業が創業・経営革新・新連携・産学官連携等に積極果敢に取り組んでいけるよう、中小企業対策予算の大幅増額など、中小企業対策全体を拡充すること。
 国・地方公共団体は、中小企業連携組織対策を中小企業対策の重要な柱として位置付けを強化し、同対策の拡充・強化に万全を期すること。
 中小企業組合制度のさらなる改善のための検討を開始すること。

【具体的な要望事項】

  1. 慎重な経済運営並びに積極的な経済対策、中小企業対策
     中小企業の圧倒的多数は景気回復を実感できていない状況にあることから慎重な経済運営に努めるとともに、景気回復の効果を中小企業に広く及ぼすため積極的な経済対策、中小企業対策を講ずること。
  2. 中小企業対策・中小企業連携組織対策の拡充強化
     我が国中小企業が創業・経営革新・新連携に果敢に取り組むためには、中小企業対策予算の大幅増額など中小企業対策全体を拡充すること。
     特に、中小製造業の競争力の維持・強化及び技術・技能の継承のため、中小企業のものづくり対策を一層拡充・強化すること。また、地域経済の活性化を図るため、地域資源を活用した新たな取組みに対する支援策を講ずるなど、地域中小企業対策全体を拡充・強化すること。
     また、全国各地の中小企業が事業協同組合等の連携組織に結集して取り組む経営革新・新事業展開等を全面的に支援する中小企業連携組織対策については、国・地方公共団体は、中小企業対策の重要な柱として位置付けを強化するとともに、同対策の実施を担う中小企業団体中央会の指導体制の整備に万全を期すること。
  3. 組合制度のさらなる改善
     LLC、LLP等中小企業が活用し得る新たな組織形態が現出する中にあって、中小企業組合が創業、新連携等の受け皿として最大限活用できるよう、組合制度のさらなる改善のための検討を開始すること。

2.中小企業金融対策の拡充

 構造変化や景気変動等の外部要因の影響を受けやすい中小企業を金融面から支援するため、政策金融改革における中小企業金融機能の維持・強化、担保や保証に依存しない融資や再生・再挑戦に対する金融制度の充実、信用補完制度の適正な見直しなど、中小企業金融対策を拡充すること。

【具体的な要望事項】

  1. 政策金融改革の実施に当たっては、商工中金、中小企業金融公庫及び国民生活金融公庫が中小企業金融に果たしてきた機能が引き続き十分発揮されるよう制度的に措置するとともに、とりわけ商工中金の新体制への移行に際して、既存の利用者や民間出資者の権益が侵害されたり、新たなコスト負担が生じたりすることのないようきめ細かな配慮をすること。
  2. 不動産担保や人的保証に過度に依存しない融資並びに再生段階にある中小企業や再挑戦を目指す起業家に対する金融支援を充実させること。
  3. 信用補完制度における責任共有制度(部分保証等)の導入に当たっては、中小企業に対する貸し渋り等が再燃することのないよう万全の措置を講ずること。
  4. 独立行政法人の融資業務として見直し対象となっている高度化事業(高度化資金貸付制度)については、制度を維持・発展させること。なお、その際、金利負担の軽減、借換制度の創設等、環境変化に対応した改善・見直しを行うこと。
  5. 中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)については、共済金貸付限度額の引き上げ、償還期間の弾力化等、制度の拡充を図ること。

3.信用組合に対する支援の充実

 中小企業金融の円滑化と地域経済の振興・発展に重要な役割を果たしている信用組合が、相互扶助による協同組織の金融機関として、今後もその機能を有効に果たすことができるよう、必要な措置を講ずること。

【具体的な要望事項】

  1. 信用組合業界に対する金融検査や新しい自己資本比率規制の適用等については、協同組織の金融機関である信用組合の特性と経営実態に十分配慮した弾力的な運用を行うこと。
  2. 郵便貯金銀行の業務のあり方については、地域金融の現場において混乱を来たさぬよう、信用組合をはじめとする民間金融機関と公平な競争条件を確保するとの観点から、以下の措置を講ずること。
    1. 郵便貯金銀行と郵便事業会社等との顧客情報を遮断すること。
    2. 完全民営化移行期間中は、貸出業務への進出や預入限度額の引上げ・撤廃は行わないこと。

4.中小企業関係税制等の充実・強化等

 中央と地方や規模による企業間の格差拡大、中小企業数の減少という憂慮すべき状況に対処するとともに、中小企業が我が国経済の担い手としての役割を果たして行けるよう、今後とも中小企業関係税制、中小企業組合関係税制等の充実・強化を図ること。
 消費税については、安定財源の確保だけを目指した拙速な引上げの議論は行わないこと。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業関係税制の充実・強化
    1. 中小企業基本法に倣い中小法人の定義を資本金等3億円以下とすること。
    2. 中小法人に対する法人税の軽減税率を引き下げるとともに、その適用所得範囲を引き上げること。
    3. 中小法人に対する交際費の損金算入限度額を引き上げること。
    4. 中小同族会社に対する留保金課税を廃止すること。
    5. 青色申告者に対する事業主報酬制度を創設すること。
    6. 地域資源を活用し新商品等の開発・提供を行う中小企業に対する設備投資減税を創設すること。
    7. 適用期限の到来する次の租税特別措置等を延長すること。また、適用期限の到来しない国税の特別措置、地方税の特例措置の廃止・縮減は行わないこと。
      ①中小企業等基盤強化税制
      ②商工組合中央金庫、信用保証協会の抵当権設定登記等の登録免許税の税率軽減措置
  2. 中小企業組合関係税制の充実・強化
    1. 中小企業組合の法人税率を大幅に引き下げること。
    2. 企業組合及び協業組合の法人税率を事業協同組合等と同率になるよう引き下げるとともに、設立間もない企業組合に対する法人税率の軽減措置を創設すること。
    3. 事業協同組合等が行う共済事業の共済掛金に対して生命保険料控除、保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳、保険金等の相続税の適用除外措置を適用すること。
    4. 火災共済協同組合が実施する地震火災費用見舞金及び地震見舞金に対する税制措置を創設すること。
    5. 適用期限の到来する次の租税特別措置等を延長すること。また、適用期限の到来しない国税の特別措置、地方税の特例措置の廃止・縮減は行わないこと。
      ①事業協同組合等の留保所得の特別控除(漁業協同組合等の留保所得の特別控除)
      ②中小企業等の貸倒引当金の特例(中小企業組合等に対する割増し措置)
      ③火災共済協同組合等の異常危険準備金の損金算入(10年洗替保証限度率の引上げを含む)
  3. 企業活動全般の活性化のための税制の充実・強化
    1. 減価償却制度を抜本的に見直すとともに、中小企業者等に対する少額減価償却資産の特例及び少額減価償却資産の取得価額の損金算入の対象資産価額を引き上げること。
    2. 環境税は創設しないこと。
  4. 消費税の見直しに関する議論
    1. 安定財源の確保だけを目指した拙速な引上げの議論は行わないこと。
    2. 納税事務を担う多くの中小企業への直接・間接の影響を無視した引上げの議論は行わないこと。

5.抜本的な事業承継税制の確立

 中小企業の維持・存続と世代交代の促進を図る観点から、抜本的な事業承継税制を確立すること。

【具体的な要望事項】

  1. 贈与税の相続時までの納税猶予・免除、相続税の減額・免除等を内容とする中小企業生前相続特例制度を創設すること。
  2. 小規模宅地の相続を非課税とすること。
  3. 中小会社の取引相場のない株式等に係る評価方法に関して次の措置を講ずること。
    1. 類似業種比準方式と純資産価額方式の自由選択の容認
    2. 類似業種比準方式における減額割合の一律50%以上への引上げ  
    3. 純資産価額方式について担保価値を反映した評価方法への改善  
    4. 種類株式の評価方法の明確化

6.中小企業を重視した労働・教育政策の推進

 学校教育における「中小企業教育」の強化や「実践型人材養成システム」の導入促進を図るほか、中小企業の人材確保と人材育成への支援を強化すること。
 次世代育成支援(仕事と生活の両立支援)対策の強化や、外国人研修・技能実習制度の拡充などを行うこと。
 労働契約法制及び労働時間規制の見直しに当たっては、中小企業が活用できる現実的な制度とするとともに、中小企業への規制強化とならないよう慎重に検討すること。
 産業別最低賃金は早急に廃止すること。
 雇用保険制度の国庫負担は、廃止しないこと。また、雇用保険三事業は、徹底した事業の合理化等を行い、保険料率を引き下げること。
 雇用・労働対策を推進するに当たっては、中小企業団体中央会のコーディネート機能や全国を結ぶ中小企業組合・企業のネットワーク網を活用すること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業の人材育成支援の強化等
    1. 小中高大の各学校段階において、中小企業に関する認識・理解や創業・起業意欲を高める「中小企業教育」を強化すること。
       特に、「インターンシップ」「日本版デュアルシステム」などにより、中小企業と出会い、ふれあう実践的なキャリア教育を一層強力に推進すること。
       また、教師が中小企業教育を行うための再教育等の措置を講ずること。
    2. 「実践型人材養成システム」や「日本版デュアルシステム」の我が国への定着を促進すること。そのため、制度の普及に加え、産業・雇用・教育に係る政策連携や企業と教育機関等の連携強化への支援を強力に行うこと。
       また、中小企業が受け入れやすい柔軟な制度の仕組みを早急に整備するとともに、受入企業に対する助成金等の負担軽減策を拡充強化すること。
       さらに、制度の導入に向けてモデル的取組みを行う中小企業組合・企業に対して、強力な支援策を講ずること。
    3. 若年失業者・フリーター・ニートの就業を促進するため、実践型人材養成システム等の活用促進のほか、ワンストップサービスセンター(ジョブカフェ)の拡充、トライアル雇用、紹介予定派遣制度の拡充や中小企業への普及、企業組合を活用した創業支援策の拡充などを強力に推進すること。
    4. 若年者・高齢者・障害者など、中小企業の多様な人材確保に対する支援策を一層強化すること。
       また、中小企業の従業員や後継者の能力開発を体系的に支援する人材養成策を整備すること。
       さらに、中小企業の技術・技能継承のための取組みを強力に支援すること。
  2. 次世代育成支援(仕事と生活の両立支援)対策の強化
    中小企業の仕事と生活(子育て)の両立支援を促進するため、子育て支援助成金の拡充のほか、税制、金融面での優遇制度の創設、「次世代育成支援対策推進センター」の支援機能の強化、中小企業組合による子育て支援への共同の取組みに対する支援制度の創設など、強力な支援策を講ずること。
  3. 外国人研修・技能実習制度の拡充と適正実施確保のための強力な支援
    受入人数枠の拡大、研修・実習期間の延長、技能実習移行対象職種の拡大など制度の拡充を図ること。また、適正実施のための取組みに対し、強力な支援措置を講ずること。
  4. 労働時間規制の見直し
    1. 時間外労働の抑制策としての、割増賃金の引上げは行わないこと。
    2. 自律的な働き方をすることがふさわしい仕事に就く労働者について、労働時間規制の適用除外制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)を導入すること。その際、年収要件や導入要件など中小企業においても活用できる現実的な制度とすること。
    3. 「企画業務型裁量労働制」について、対象業務の拡大、導入要件の緩和、手続きの簡素化等を行い、中小企業においても有効に機能する制度に改善すること。
    4. 管理監督者については、現行の狭い解釈を改め、その範囲を実態に合わせたものとすること。
  5. 労働契約法制の検討
    1. 解雇の金銭解決制度を導入すること。その際、中小企業も活用できる現実的な制度とすること。
    2. 労働契約法制の検討は、中小企業の経営・雇用管理等の規制強化とならないよう、その必要性も含めて、慎重に行うこと。
  6. 最低賃金制度の見直し
    1. 産業別最低賃金を早急に廃止すること。
    2. 地域別最低賃金は、中小企業の経営実態を反映したものとし、実質的に引下げも可能な制度とすること。
    3. 職種別設定賃金については、中小企業の実態を十分踏まえ、その必要性も含めて、慎重に検討すること。
  7. 雇用保険制度及び雇用保険三事業の見直し
    1. 雇用保険の失業等給付に対する国庫負担については、雇用についての国の責任の重要性にかんがみ、廃止等は行わないこと。
    2. 雇用保険三事業については、徹底した事業の合理化、歳出削減を行い、保険料率を引き下げること。  また、助成金制度について、要件の緩和、申請窓口の一本化、申請書類等の簡素化、制度周知の徹底などを早急に行うこと。
  8. パートタイム労働者の均衡処遇に関する法制化への慎重な対応等
    1. 正社員との均衡処遇に関する法制化の検討は、中小企業の経営・雇用管理等の規制強化とならないよう、慎重に行うこと。
    2. パートタイム労働者の所得税・住民税の非課税限度額を大幅に引き上げること。また同時に、社会保険の適用年収基準も引き上げること。

7.社会保障制度改革に関わる企業負担の抑制等

 社会保障制度の見直しに当たっては、労使折半である厚生年金保険、医療保険、介護保険の適用対象の拡大や保険料率の引上げによって、中小企業の活力の維持・発展を阻害することがないよう十分に留意すること。また、退職年金制度に対する支援策を講ずること。

【具体的な要望事項】

  1. 社会保障制度改革に当たっては、まず制度運営の無駄を徹底的に排除し、安易な負担増は行わないこと。
  2. パートタイム労働者等短時間労働者への厚生年金の適用拡大は行わないこと。
  3. 医療保険の保険料負担の増加となるような措置を講じないこと。
  4. 介護保険の第2号被保険者の安易な対象拡大は行わないこと。
  5. 適格退職年金の移換先として、特定退職金共済を認め法的整備を図ること。

8.中小企業並びに官公需適格組合への官公需発注の増大実現

 国及び地方公共団体は、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」(官公需法)に基づき、中小企業者並びに官公需適格組合への官公需発注の増大に努めること。
 また、中小企業者の受注機会の増大を図るため、官公需施策のより一層の充実・強化を図るとともに、あらゆる発注機関に対し、施策の普及徹底を図ること。
 さらに、官公需の発注に当たっては、過度な安値入札を廃し、適正価格での発注に努めること。

【具体的な要望事項】

  1. 「平成18年度中小企業者に関する国等の契約の方針」に示された中小企業者向け発注目標額を上回る契約実績が確保されるように努めること。
  2. 国等の機関だけでなく、地方公共団体を含めたあらゆる発注機関に対して官公需施策の普及徹底を図ること。
  3. 官公需の発注に当たっては、官公需適格組合の一層の活用を図ること。
  4. 適正価格での受注確保のため、国等の発注にも最低制限価格制度を導入するほか、低入札価格調査制度を厳格に運用すること。
  5. 地方公共団体は、国と同様の官公需施策を講ずること。
  6. 各発注機関は、分離・分割発注の推進に努めるとともに、地元中小企業者と組合の優先活用に努めること。
  7. 少額随意契約、組合随意契約等法令により実施が可能なものについては積極的に活用を図り、中小企業者並びに官公需適格組合の受注機会の増大を図ること。
  8. 電子入札等の推進に当たっては、中小企業者の受注機会を損なうこととならないよう説明等の徹底を図ること。
  9. 公共調達制度の改善・見直しを行い、価格だけでなく、品質・安全性の確保、地域経済の活性化、地元中小企業者の育成等も踏まえて総合的に受注者を決定する制度を導入すること。

9.改正まちづくり三法の実効ある運用と 中小商業・物流業・サービス業振興対策の強化

 改正まちづくり三法の実効ある運用を期すため、国・地方公共団体は連携し、適切な対応を図ること。また、中心市街地以外の商店街・共同店舗等や個店についても一層の支援を行うこと。
 中小卸売業、中小運輸業については、激変する経営環境の変化に対応できるよう支援を拡充・強化すること。また、地域経済の活性化に寄与する中小サービス業や生活衛生関係サービス業の支援策を充実・強化すること。

【具体的な要望事項】

  1. 改正まちづくり三法の実効ある運用
     まちづくり三法改正の趣旨を踏まえ、実効ある運用のために万全を期すこと。特に、①大規模集客施設の「駆け込み出店・開発」の防止、②市町村による「特別用途地区」の指定、③都道府県による都市計画区域外での「準都市計画区域」の指定、④都道府県等による大規模集客施設に対する「地域貢献ガイドライン」の制定、⑤都道府県による広域調整の実施などについて、国・地方公共団体が相互に連携し、適切な対応を図ること。
     また、中心市街地の支援に当たっては、「まち」の歴史性・文化性・経済性等を勘案し、地方都市にも十分配慮すること。

  2. 商店街・共同店舗等と個店への支援強化
     
    1. コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりの推進に向けて、改正中心市街地活性化法で位置付けられた「中心市街地活性化協議会」の立ち上げ支援と「認定中心市街地」に対する支援措置(戦略的中心市街地商業等活性化支援事業等)を拡充・強化すること。
    2. 中心市街地等の商店街・商業集積の活性化を図るため、少子高齢化、環境保全、安全・安心・防犯・防災など、地域における商店街の果たすべき社会的・公共的役割等の向上・促進に対して助成する「少子高齢化等対応中小商業活性化事業」や商店街等が行う施設等整備事業、ソフト事業に対する支援の拡充・強化を図ること。
    3. 商店街が設置したアーケード等の公共性の高い共同施設の保守・修繕及び解体・撤去費用に対する補助制度を創設すること。
    4. 商店街等共同施設の借入金償還に係る賦課金と減価償却費との差額(所得)への非課税措置、公共性の高い共同施設(アーケード等)資金の借入れに伴う個人保証の免除等の弾力的運用制度を創設すること。また、公共的施設物(アーケード)に関わる道路占有料は全額免除とすること。
    5. 中心市街地の魅力づくりや地元小売店の活性化を図るために、地元主導型共同店舗の中心市街地出店に対しては、高度化資金等の融資や補助、税制面での優遇措置など支援策の拡充を図ること。
    6. 商店街等とNPOや市民、学校等が連携して行う空店舗を活用した介護・託児などのコミュニティビジネスや高齢者コミュニティ施設の運営、チャレンジショップ事業等への支援を拡充すること。
    7. 商店街・共同店舗等の活性化と個店経営強化のため、各種アドバイザー派遣事業や後継者対策事業等を強化すること。

  3. 中小物流業対策の強化
    1. 卸商業団地の組合員の倒産・廃業等によって生じた跡地について、組合員の円滑な入れ替え等ができるようにするため、組合が一時的に買い取る場合の借入金に関わる支援措置を講ずること。また、不動産取得税、登録免許税、消費税等について軽減措置を講ずること。
    2. 中小運輸業の健全で安定した経営を可能とするため、原油価格の高騰に対応した燃料に係る税率の見直し、高速道路利用料金の引下げ、環境規制に対応した車両購入等新たな設備投資に対する助成等の対策を講ずること。
       
    3. 改正道路交通法に基づく新たな駐車違反の取り締まりについては、地域や業務の現状を踏まえ、物流活動・商業活動・生活者の利便性に十分配慮した運用を行うこと。

  4. 中小サービス業対策の強化
    1. 今後の発展が期待されるサービス分野(生活充実型サービス業、事業充実型サービス業)、とりわけ地域コミュニティを支える介護、宅配、子育て支援等のコミュニティビジネス(地域貢献型サービス業)やビジネス支援サービス業などの起業や事業活動に対して、積極的な支援策を講ずること。
    2. 生活衛生関係サービス業によるサービスの質と生産性の向上を目指す自主的活動に対して、一層の支援を図ること。

10.不当廉売等の防止及び下請取引の 適正化の強化

 中小企業者に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法や消費者の適正な商品選択を妨げる不当表示、過大な景品提供行為に対し、国は、監視・監督機能のさらなる強化を図り、迅速、かつ、厳正に対処するとともに、一層効果的な措置を講ずること。
 また、親(元請)事業者による不当な不利益行為に厳正、かつ、迅速に対処し、これらの是正及び法令の遵守等により、下請事業者の利益を保護し、ルールある取引環境づくりを推進すること。

【具体的な要望事項】

  1. 不当廉売・優越的地位の濫用等の防止の強化
     不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法や不当表示、過大な景品提供等の独占禁止法及び景品表示法等の違反行為に対して、迅速、かつ、厳正な対処を行うとともに、課徴金の対象とすることも含め、その禁止規定の実効性を確保する措置を講ずること。
     また、不公正な取引方法の差し止め請求について、文書提出命令、団体訴権など一層効果的な措置を講ずること。
  2. 下請取引の適正化の強化
    1. ルールある取引環境づくりを推進するため、親事業者による極端な取引価格の要請・発注に対して厳しい監視・指導を行うほか、下請法違反行為にはより積極的に勧告・公表を行うことで抑止を促すなど、親事業者の優越的地位の濫用等不公正な取引に対して、厳正、かつ、迅速な処理を行うこと。
    2. 建設業についても、建設業関係法令や指針等の遵守を徹底するとともに、改善が必要な元請業者等に対して、建設業法に基づく「監督処分」「指名停止」等の措置を適時・適切に実施するなど、元請・下請関係の適正化を積極的に推進すること。

11.環境・資源・安全対策への支援強化

 循環型社会の構築に向け、中小企業及び中小企業組合が社会的課題に円滑に対応できるよう、環境対策施設の設置や土壌汚染対策等に対し、国及び地方公共団体は積極的に支援策の拡大措置をとること。
 また、中小企業におけるBCP(緊急時企業存続計画・事業継続計画)策定・運用の普及促進のため、中小企業組合を活用した取組みを積極的に支援すること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業が無理なく循環型社会に適応した経営を実践できるよう技術導入、金融、税制等の充実整備を図ること。
  2. 環境関連法令の制定・改正に当たっては、国及び地方公共団体は、審議会等を通じて中小企業者の意見を十分聴取し、中小企業が確実に対応できるよう助成措置等について特段の配慮を行うこと。
  3. 中小企業組合等が共同で設置する環境対策施設等に対する積極的な支援を行うこと。
  4. アスベストを使用した構築物の処理や除去等を円滑に行うための補助制度の創設、融資制度の拡充等を行うこと。
  5. 土壌汚染対策法に基づく助成支援策として、土壌汚染の修復費用のみならず、調査費用も助成対象とするよう支援策の拡大措置を図ること。
  6. グリーン調達に係る支援制度の整備並びにグリーン購入法の周知徹底を行うこと。
  7. 食品産業で使用する原材料について、安心・安全・良質な原材料の確保対策を行い、原材料の内外価格差の是正及び安定供給対策の一層の強化を行うこと。
  8. 中小企業におけるBCPの策定・運用を広く普及するため、国・地方公共団体は、中小企業組合を活用したBCPの策定・運用への取組みを積極的に支援すること。また、地方公共団体は、地域的な協同組合と連携して中小企業のBCP策定・運用の普及促進に努めること。さらに、中小企業がBCPに対応するために実際に実施しようとする取組みについて金融・税制上の特別措置を講じること。

12.組合等を中心とした

 ICT対応支援策の拡充 情報コミュニケーション技術(ICT)の利活用が進む大企業と中小企業の格差拡大を防ぐため、中小企業における情報担当者の育成、組合等が行う電子商取引システム開発等への支援を拡充するとともに、個人情報保護法への対応、情報セキュリティ対策に対する一層の支援拡充を図ること。

【具体的な要望事項】

  1. 中小企業における情報システム担当者の育成支援、中央会が実施する情報化相談等の支援事業を拡充するとともに、組合等が行う電子商取引システムを含むビジネス情報ネットワークシステム及び組合員向け業務用アプリケーションの企画・開発、構築したシステムの啓蒙・普及についての支援を拡充すること。
  2. 個人情報を保護するため、個人データの洗出しと保護方針や規程類づくり、情報セキュリティ導入などに伴う人的・物理的及び技術的な安全管理措置への対応に際しては、業種・業態に応じた講習会の実施など、組合等を中心とした中小企業における個人情報保護への対応、情報セキュリティ導入に対する支援を拡充すること。
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