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月刊中小企業レポート
更新日:2006/10/09

健康を考える

10月8日は『骨の日』

健康を考える 高齢者人口の増大に伴い、腰痛、肩こり、膝痛、骨折、骨粗しょう症、関節リウマチなど、整形外科分野の疾患を患う人が年々多くなっています。
 そこで、社団法人日本整形外科学会では、平成6年2月に10月8日を、『骨と関節の日』と定め、この日を中心に、関連各会の協力を得て、さまざまな啓発活動を行っています。
 また、世界的には2000年から、筋骨格系障害の予防と治療を推進する『運動器の10年』世界運動が始まっており、85カ国、750を超える有力な学会が参加している全世界的キャンペーンです。

■骨粗鬆症について

 また骨粗鬆症ですか?と思われるかもしれませんが、骨粗鬆症は老人だけの病気と思われている方が多いのではないでしょうか。確かに発症は高齢者が圧倒的に多いのですが、その要因は若いうちに形成されている部分が多いのです。
 人は生まれて、成長します。骨は、長さと太さと質を高めながら成長し、骨のミネラル量(骨量)が最大となるのは成長期の後の30歳頃です。ピーク・ボーン・マスと呼んでいます。この後は、毎年少しずつ骨量は減っていき、女性では、女性ホルモンが減少する更年期にかけて急激な骨量の減少が起こります。
 骨量の減少は避けられませんが、症状を予防することは出来ます。予防法は30歳までに積極的に骨量を増やし、ピーク・ボーン・マスのピークを高くし、これを減らさない努力をすることです。
 一般的に言われている、『カルシウムを摂る』『適度な運動をする』『日光浴をする』等がこれにあたります。気をつけなければならないことは、カルシウムは乳製品の形で摂ると、吸収が良いのですが、肥満や高脂血症の原因となってしまってはなりません。植物やカキ殻などのカルシウムは吸収が悪く、食品添加物に含まれるリン酸塩などはカルシウム吸収を阻害します。若い女性の「ダイエット」は、ピーク・ボーン・マスのピークを下げることにつながり、延いては老後の骨折の発症のリスクを増やすでしょう。
 『適度な運動』とは何でしょう。成長期には、特定の運動に片寄ると無理が生じやすく、1種目は何時間までと制限する国もあるそうです。小学生、中学生などは、2日に1回1時間半の運動で充分という先生もいます。成人してからも、休日にまとめて1週間分の運動をするのは不自然です。高齢者は、散歩や体操も良いですし、姿勢を正して深呼吸するだけでも効果はあります。
 『日光浴』も、現代では紫外線の強さから考えて皮膚の焼きすぎはガンの発症を増加させることも認められています。1日中暗い屋内にいるのではなく、昼休みは外に出て明るい場所で日光を浴びることは、体のリズムを調節し脳に刺激を与えます。
 若いうちから上手に骨を育て、老後の人生を楽しく暮らせるよう心がけてください。

■膝の水について

 『膝の水をぬいてはいけないと人が言うけど』と言う患者さんがいます。本当に膝の水は抜いてはいけないのでしょうか?答えは『ノー』です。
 【関節穿刺の危険性】人間の体は消化管を除いてほとんど無菌であり、健康な人なら尿中にも細菌はいません。しかし我々が住んでいる社会は空気中にも雑菌が生息していて、怪我などで体を守っている皮膚に障害があると菌が入りやすくなってしまいます。体内では細菌の侵入に対し、血液中の白血球、リンパ球などの貪食作用により防御します。しかし関節中には血流は無く、関節液は栄養に富み、細菌の繁殖には好適な環境といえるでしょう。ですから一度関節中に細菌が入ると、化膿性関節炎を併発し、治療は困難を極めます。
 では何故、整形外科医は関節液を抜くのでしょうか?外傷を受けた関節液に血液が貯留している状態は、靭帯損傷や軟骨損傷を疑う所見です。その血液中に脂肪滴を見つければ、骨折を疑う所見です。変形性関節症、リウマチ、痛風、偽痛風といった疾患も関節液を見ることにより診断の参考となりますし、関節液の貯留は痛みの原因となり決して良い状態ではありません。
 現在は、トレーニングを受けた専門医であれば適切に消毒を行い穿刺します。また、注入する薬剤も、昔のように漫然と痛み止めを注入するのではなく、ヒアルロン酸を注入することにより、軟骨保護を期待することも出来ます。専門医の意見を聞き正しい治療を受けることをお勧めします。

長野県保険医協同組合 
副理事長 花岡 徹

 

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