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月刊中小企業レポート
更新日:2006/10/09

ものづくりは、人づくりから

―長野県工科短期大学校にみる技術者の育成と長野県産業界が寄せる期待―

 大正から昭和初期にかけて隆盛を極めた蚕糸業で、長野県は世界にその名を轟かせた。そこで培ったものづくりの遺伝子は脈々と受け継がれ、製造業はつねに県内産業をリードする存在として発展。現在、従業員30人未満の企業が全体の八割を占める構造ながら、世界を相手に勝負する中小企業も少なくないという高度な技術力を誇る。それを成し遂げてきたのは、高い教育水準に裏づけられた長野県民の進取の気性と旺盛な独立心だった。
 まさに人づくりこそ、ものづくりの根幹。ものづくり産業の空洞化が進み、少子化にともなう人材不足が深刻化するなかで、長野県の、そして日本のものづくりはどうあるべきかという問いへの答えもそこにある。
 高度な技術力を持ちながら技術者不足に悩む産業界の強い要望を背景に、長野県は平成七年「長野県工科短期大学校」を開校。高度な技能・知識を持つ人材の育成と、専門的な技術の研究を行う教育機関としての重要な役割を担う。
 長野県ものづくり産業を支える人材育成への同校の取り組みと、企業が寄せる期待をみる。

長野県工科短期大学校

教育の基本方針は、「実践力重視」「個別指導重視」「柔軟なカリキュラム」。

上田リサーチパークの一画に県立として全国二番目に開校

長野県工科短期大学校 豊かな自然環境に恵まれた上田リサーチパーク(上田市下之郷)。県の「テクノハイランド信州構想」の浅間テクノポリス圏域における中核的な研究開発拠点として、県が整備した県下初のリサーチパークだ。長野大学、上田女子短大といった教育・研究機関も隣接している。
 この上田リサーチパークの一画に、長野県工科短期大学校のキャンパスはある。
 敷地内には教室のある本館のほか、機械システム棟、実習棟、セミナーハウス、講堂、体育館、さらには通学できない学生のためのワンルームマンションタイプの学生ハイツがゆったりと配置。広々としたエントランスホールや幾何学模様が美しいセンタープラザなど、のびのびとキャンパスライフを楽しめる演出もある。
 学生の99%は県内出身者で占められ、全体の約10%が女子学生。全学生の六割近くは普通高校の出身だという。卒業生の九割が製造業を中心とする地元企業に就職する。

 

産業界からの強い要望を受け、県立として全国二番目の開校

 同校の開校は平成7年。平成18年3月の第十期生卒業まで785名の卒業生を送り出してきた。
 もともと厚生労働省所管の短期大学校は、職業能力開発促進法の規定により国または都道府県が設置することになっていたが、独立行政法人雇用・能力開発機構が国に代わって設置・運営するのが慣わしとなっていた。
 しかし国は平成三年、この方針を転換。都道府県も希望する場合はこれを認め、国は設置・運営費用に対して財政的援助を行うこととなった。
 長野県ではかねてより産業界から人材育成の拠点づくりへの要望が強く、短期大学校の設置を積極的に国に働きかけていた。こうした経緯もあり、この方針転換を受けて、県立としては全国二番目となる同校開校となったのである。

三つの教育方針のもと人財育成と技術研究開発を担う

 「実践力重視」「個別指導重視」「柔軟なカリキュラム」。この三つが教育の基本方針であり、同校教育の特色でもある。
 まず技術者として必要な基礎理論の修得はもちろん、企業で実際に使われている最先端機器を活用した実験や学習を通じて、企業で即戦力となる実践技術を学ぶ。実習には特に力を入れ、カリキュラムの半分以上を占める。
 実験や実習の授業は数人の班編成で行うなど少人数指導を基本とし、卒業研究は課題別の少人数グループで行う。そして、カリキュラムは急速な技術革新に対応できるよう柔軟性を持たせている。この三つの基本方針のもと、実践的技術者を育成するのが同校の目的だ。
 同校の組織と機能は、「人財育成」と「技術研究開発」の二つに大別される。
 人財育成では、高校卒業者等を対象とする専門課程(2年)のほか、在職者等を対象とする専門短期過程(数日~)など、より専門的に学ぶコースも用意されている。
 技術研究開発では、独自、共同、受託などの研究開発のほか、情報交流を目的とする研究会やセミナーなども定期的に開講。ものづくりを中心とする産学官連携の拠点としても重要な役割を果たし、県内製造業の熱い期待を担っている。

長野県工科短期大学校の組織と機能
長野県工科短期大学校の組織と機能

教育カリキュラムの主眼は、ものづくりの現場で必要とされる技術の修得。

時代が求める重要な技術分野に特化した四学科で構成

ソーラーカー(Fizzer18)と、その実験室
ソーラーカー(Fizzer18)と、その実験室

 同校は「生産技術科」「制御技術科」「電子術科」「情報技術科」の4学科に分かれている。一学年の定員は各20人。
 生産技術科では、精密機械加工技術を中心に、設計から生産工程の自動化技術、品質管理など、生産システム全般に対応できる技術者の育成をめざす。
 制御技術科では、機械や装置を制御する工学知識と、コンピュータ、センサ、メカニクス全般を駆使した制御技術の両方に長けた技術者の育成をめざす。機械技術にエレクトロニクスやコンピュータなどの技術を加えたメカトロニクス分野への対応が主眼だ。
 電子技術科では、エレクトロニクス分野のハードウェアと、それを制御するソフトウェアの両方に精通し、両者を融合した技術分野で活躍できる技術者の育成をめざす。
 そして情報技術科では、ソフトウェアの高度な設計技術を身につけ、高度情報化社会に対応できる問題解決型の技術者の育成をめざす。
 学科構成は日本の、そして長野県のものづくりにおいて重要な技術分野に特化。しかも単に学問的知識だけでなく、ものづくりの現場で必要とされる技術の修得を教育内容の主眼に置く。

ソーラーカー、ロボット製作の過程が、実践力と応用力の醸成に大きな力

ロボットの製作風景
ロボットの製作風景

 技術を身につけるためには、ものづくりへの興味を持つことが大切。そんな考え方から、同校では研究・実習の一環としてソーラーカーレースやロボット競技会に積極的に参加している。
 制御技術科の卒業研究の前期課題として行っているのが、太陽光から発電しモーターを駆動して走る小型ソーラーカーの製作。鈴鹿サーキットで行われる「DREAM CUP ソーラーカーレース鈴鹿」に毎年出場し、今年は4時間耐久のエンジョイクラスで初優勝の栄冠に輝いた。
 制御技術科、電子技術科の卒業研究として行っているのが、直接人間が操作しない自律型ロボットの製作。これはマイコンのプログラムによりセンサーやモーター、メカニズムなどをコントロールする、さまざまな技術の融合体だ。今年東京ビッグサイトで開催された国際電子回路産業展のイベント「第二回ロボットビンゴ競技会」で制御技術科チームが優勝、準優勝を独占し、電子技術科も4位となった。
 それぞれの成績は言うまでもなく、全国トップクラスの技術力とアイデアの優秀さの成果に他ならない。しかし関わる学生一人ひとりが自ら新しい発想とアイデアを注ぎこみ、共同の精神でひとつのものを期日までに作りあげるプロセスこそが貴重な経験となり、実践力と応用力を養う大きな力となっている。同校ではそこに大きな価値を見出しているようだ。

産学官連携の拠点として、ものづくり産業の振興に大きな役割を担う

教育研究振興会とともに、産学官連携の拠点機能を果たす

 前述の通り、同校は「高度な技術・知識を持つ人材の育成」と「技術の研究開発」を二本柱として学校運営を進める。
 人材育成という点ではさらに在学生だけでなく、地域に開かれた教育機関としての役割も持つ。一般企業人を対象に、ものづくり技術だけでなく、企業人のビジネススキルの向上をめざす「信州ものづくりスキルアップ事業」も実施している。
 もうひとつの柱である「技術の研究開発」において重要な役割を果たしているのが、産学官連携の拠点としての機能だ。
 それをより一層強化するのが長野県工科短期大学校教育研究振興会。同校と長野県産業界とが互いに研さん、連携・協力し合いながら、産業振興と同校の充実を図ることを目的に平成11年に発足した組織だ。
 同会には県内の企業および団体120社が参加(平成18年9月現在)。三次元CAD、半導体・実装技術、精密機械加工技術、福祉機器技術、特殊加工技術などの技術研究会を立ち上げ、研究会やセミナー、講演会などを開催し、情報収集と技術研さんを積んでいる。
 また会員以外にも公開して実施する公開セミナーには毎年、全国各地、海外から多くの技術者が参加。最新の技術テーマについてハイレベルな発表と討論、講演会などが行われている。
 今年開催された「長野実装フォーラム2006 in 軽井沢」では、「シリコンスルーホール技術」をテーマに開催。数多くの参加者を集め、次世代のシリコンチップ接続技術として注目を集めるスルーホール技術の現状,問題点を掘り下げて議論を行った。
 その他、同校教員と企業との共同研究、委託研究、企業からの技術相談の受け入れ、教員の学会・講演会での発表、長野県工業技術総合センター、日本機械学会など外部機関との連携など、同校と同会との連携による各種事業も実施している。

さらなる期待を担い、より良い環境づくりに取り組む

 長野県産業界からの強い要望により、高度な技能と知識を持つ人材育成の拠点として誕生した長野県工科短期大学校。
 開校以来、卒業生の九割がものづくり産業を中心とする長野県企業に就職。受け入れ先である企業も、「配属先での業務への溶け込みが早い」「電気・電子の基礎知識および一般常識があり、基礎から教育する必要がない」など「即戦力」として高く評価している。優秀な実践的技術者を育てるという、当初の目的通りの成果を上げているようだ。
 課題もある。例えば、少子化の影響による入学志願者数の減少傾向(最近3年間の定員に対する平均倍率は1.89倍)だ。
 同校では高校などの進学説明会への参加(年間30回)、高校進路指導者を対象とする学校説明会の開催、学校開放・体験授業の実施、高校等への出前講座など、志願者確保に向けたさまざまな活動を積極的に行っている。
 同校では産業界のさらなる期待を担い、ものづくり技術の発展に寄与する、より良い環境づくりへの取り組みが進められている。

産学官連携(長野県工科短期大学校)

名称と内容 実施内容
1.教育研究振興会
 本校との相互研鑽と、学校運営の支援を図り、お互いに連携・協力しあいながら、本県産業の振興と、本校の充実を期すことを目的とした組織。
その主旨に基づき、研修事業、本校の活用事業、支援事業、交流事業などを行っている。
平成17年度の実施結果
(1)研修事業
 5つの技術研究会(3次元CAD、半導体・実装技術、精密機械加工技術、福祉機器技術、特殊加工技術)を連携して実施した。企業から、延べ49社(175人)が参加した。
(2)講演会
 「削り屋の源点強化」と題して、本校の西嶢祐客員教授が講演を行い、延べ29社(140人)が聴講した。
(3)セミナー
 「マスクレス微細配線形成技術の進展」をテーマに半導体・実装技術セミナーを連携して実施した。全国から、延べ136社(212人)が参加した。
(4)その他
 本校の活用事業として、教員の研究発表会への参加があった。
2.共同研究
  本校の教員と企業との共同研究
平成17年度の実施結果
 9企業と10件のテーマについて共同研究を実施した。
3.外部機関との研究会・学会等
 長野県工業技術総合センター、日本機械学会などとの活動
平成17年度における外部機関の委員、講演会講師など
 延べ15人が活動した。
4.学会・講演会での発表 平成17年度は、機械学会、ARECプラザリレー講演会、電子情報通信学会などで26件の発表を行った。
5.その他(技術相談の受け入れ) 企業からの技術相談を随時受け付けている。

本校のめざす人づくり

長野県工科短期大学校校長 大竹 勉
  1. 設立の目的

     本校は平成7年(1995年)4月、上田市に開校しました。その目的は、産業振興のために「高度な技能と知識とを持つ人材の育成」と、「専門的な技術の研究」を行うことでした。学校設立の背景には、高い独立意欲や、質の高い加工技術を持ちながら技術者不足に悩む中小企業など、産業界の強い要望が背景にありました。
     開校以来、私どもは「高度な技術・知識を持つ人材の育成」と「技術の研究開発」とを二本柱として学校運営を進めています。

  2. 本校の教育方針

     設立の主旨に沿って、新規学卒者の教育では次の三点を重要方針としています。
    1. 技術者に必要な基礎知識と並んで、多くの実験・実習を通して即戦力となる実践技術を習得させる(実践力重視)。
    2. 実験・実習を数人の班編成として、可能な限り少人数指導を行い、教員と学生とが教育を通してふれあう機会を多くする(個別指導重視)。
    3. カリキュラム編成を柔軟にし、教員が行っている研究や、研究会などから得た新しい技術を常に授業に取り入れる(柔軟なカリキュラム)。

  3. 輩出した人材

     開校以来、卒業式を10回行い、785人の卒業生を送り出しました。そのうち、進学者、企業からの派遣者などを除く736人が就職しました。就職者の約7割5分が製造業で働いています。
     年に2回、企業に勤めている卒業生に講師となって在校生全員を対象に講演をお願いしています。卒業して僅か数年しかたっていないのに、仕事のこと、企業での生活のことなどを200人近い人の前で、堂々と語ってくれる姿を見ていると、成長した姿に驚かされます。ものづくりに対する大きな自信が陰に見えるような気がします。

  4. これからの教育

     技術を身につけるためには興味を持つことが大切です。本校では以前からソーラーカーレースやロボット競技会に参加し、学生がものづくりのおもしろさを知り、興味を抱くように努めてきました。目標と期日がはっきりしていて挑戦しやすいのか、学生は休日も学校に出てきて頑張り、それぞれ成果をあげています。
     本校は技術者として必要な知識と、豊富な実験や実習に裏付けされた技術とを持ち、企業で即戦力となる人材を育てることをめざしています。そのためには、学生が興味を持ち、自ら学ぼうとする環境づくりをしていきたいと考えています。

長野県工科短期大学校へ期待すること

コトヒラ工業株式会社
総務部人事課 課長 大井景紹

 これまで長野県工科短期大学校(以下、工科短大)の卒業生は2000年4月をはじめとして毎年2~4名の方に入社していただき、社業において大きな力となっています。担当していただく仕事は切削加工機械やタレパンのオペレータで、いずれもNCによって装置を駆動し部品を加工するものです。この業務には加工(材料)に対する知識と機械に対する知識の両方が必要で高度な能力が求められます。
 入社していただいた工科短大卒業者をその他の方と比べてみると、配属された先で業務に溶け込むのが早いように感じます。これは工科短大へ進学する際に、将来自分はどの道で糧を得るかをはっきりさせていること、学校のカリキュラムが実務に近いことが起因しているとのではないでしょうか。通常、弊社の新卒に期待する能力は基礎学力と社会人基礎力です。会社業務に必要な知識は会社に入ってから積んでいただければよいと考えていますが、工科短大の卒業生のように業務に即した能力を身につけていることはキャリア採用に準じて評価すべきことです。
 工科短大から入社して早い方は技能士の資格に2年で挑戦します。5年で一級の技能士となった方もおり、後輩社員はこうした先輩方を見習って自己研鑽に励んでいます。
 工科短大を卒業された方々には将来、製造現場におけるプレーイングマネージャとなっていただくことを期待しています。自己の技能だけでなく部下をマネージメントしてより大きな成果を上げることです。
 学校にお願いしたいことは、これまでのようにモノづくりが好きで、素直で、自己啓発に積極的な学生を育てていただくことに加えて、チームをまとめるリーダー性を養っていただけると良いと思います。また1ヶ月程度のインターンシップを単位の中に組み入れて地域との交流を図っていただければ私どもの刺激にもなり、ありがたいと考えます。
 末筆となりましたが長野県工科短期大学校様には、平素のご厚情に感謝し益々のご発展を祈念申し上げます。

工科短大で学んだこと

コトヒラ工業株式会社
製造部第二製造課 掛野 剛

 私は現在、製造部第二製造課の機械係に所属しMC(マシニングセンター)を使って切削加工部品を製作しています。
 工科短大では生産技術科に入学しモノづくりの基礎を学びました。教えていただいた内容には難しいものもありましたが、先生のおっしゃっていた「四大で学習することを短大の2年で学習している」と密度の濃さが実感できるものでした。
 私が現在の仕事を選んだきっかけは工科短大での卒業研究です。テーマは省エネカーを作ることでしたが、この製作過程でMCを使い部品を加工しました。その時MCならば自在にものづくりができると感激し、MCに携わる仕事につけたらいいなと思いました。
 コトヒラ工業に入社して希望のMCを扱う職場に配属されました。工科短大で学習したことは、その当時には難しかったり面倒に思える課題もありましたが卒業する頃には、自分の実力となっていることが感じられ自信になりました。配属されてまもない頃は仕事を覚えることが仕事でしたが、図面を読むことや記号の意味などは工科短大でも学んだことでしたのでスムーズに業務に入っていくことができました。
 現在は就職してから僅か1年半ですがMCの技能士資格を取得するために、また社内にある他のMCも操作できるよう日々勉強しています。
 今回の寄稿に向けて思い返してみると、私が工科短大で身につけたものは学習で得た知識と就職に向けての大きな自信でした。今の会社に就職し希望する仕事ができるのはこのためだと思います。これからも自分の技術を磨いて一流の技能者になれるようがんばっていきたいと考えています。

長野県工科短期大学校に期待すること

株式会社 堀内電機製作所
上田工場 開発推進部 宮原 仁

 平成9年卒業1期生から合わせて7名の卒業生が入社して頂きました。
 仕事を一緒にしていく中で一番心強く思っているのが、電気・電子の基礎知識及び一般常識が有るおかげで、基礎からの教育の必要が無いということです。
 入社数年は、修行の意味も込めていきなり開発・設計をお願いするのでなく、装置の製造を行ってもらい、当社製品の設計意図等を理解させることを重視しています。
その修行を経て、開発・設計を徐々に行って頂き、当社流の商品を開発できるようにするためです。
 卒業1期生には1つのプロジェクトをほとんど任せて、マイコン制御のレーザ半田付け装置「FOMシステム」を開発してもらいました。基板設計、筐体設計・装置のデザイン等含め、全ての開発をやり遂げました。各種メディアにも取り上げられ、最近では信濃毎日新聞に、カラーで開発風景が紹介されました。
 開発した商品は、当社の売上、利益拡大に大きく貢献してくれています。
その他の卒業生も、レーザ・ロボットの分野で大変活躍しております。
今後も、電子・電気・マイコン制御・回路設計等を中心に、教育をして頂き、より実践的な生徒を育てていただき、当社の発展のために優秀な卒業生を紹介頂けるようよろしくお願い致します。
 また、先生方には日頃から、技術アドバイスを戴き大変感謝しております。今後もご指導、ご協力をお願い申し上げます。

長野県工科短期大学校で学んだことの成果と活用

株式会社堀内電機製作所
開発推進部 柳原正芳

 私は平成9年に長野県工科短期大学校を卒業し、新卒で現在の会社に入社しました。入社後レーザマーカやロボットアプリケーションの電気設計・製作などを担当し、5年ほど前に新製品開発グループに移動になり現在に至っています。
 最近の成果として、昨年末に発売した「FOM system」(半導体レーザ装置)の開発を行いました。この装置の開発に関しては責任者として大部分を任せていただき、電機回路設計・ソフトウェア開発・筐体設計・マニュアル作成など新製品開発に関わる多くの業務を担当し、マイコン組み込みシステム開発のノウハウを身に付けることができました。
 「FOM system」の開発要素の中で制御用のマイコンボードの設計ではディジタル・アナログ電子回路、レーザダイオードの動作やペルチェ素子による冷却については電子物性、レーザダイオードの発振を安定させるための温度制御には制御工学、システム制御のマイコンのプログラミングにはC言語やアセンブラのプログラミング実習などの在学中に電子技術科のカリキュラムの中で学んだ多くのことが今回の開発に生かされました。
 マイコン組み込み製品の開発ではアセンブラやCPU周辺デバイスに関する知識や回路設計の為に各種電子デバイスに関する幅広い知識が必要になってくるので、在学時に学んだ多くのことが現在の業務を行う中で役に立っています。
また、当社には同校の後輩が何名か入社しており、ロボットを使用したアプリケーションの製作等で活躍しております。ロボットを使用した装置の製作では、市販されているセンサーや各種制御機器を組み込んで使用しますが、その際にもその動作原理や特性などについて在学時に学んだことの中から参考になることも多く技術者としての基礎になっていると思います。

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