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月刊中小企業レポート
更新日:2006/09/09

トピックス東西南北

レトロといやしのまちをめざして商店街整備事業スタートへ

上諏訪商店街振興組合

 諏訪市のJR上諏訪駅前の商業者らでつくる上諏訪商店街振興組合(三村昌暉代表理事)は国土交通省長野国道事務所による上諏訪駅を中心とした国道20号線、約400m区間の無電柱化事業実施に合わせて、商店街環境の再整備に取り組むことになった。平成十四年に策定された諏訪TMO構想の重点事業「諏訪市本町ショッピングモールの整備」実施に向けて、本町一・二丁目商店街では本町モール推進委員会をつくり、長野県建築士会諏訪支部と連携して人に優しい「本町商店街修景計画」を作成した。老朽化したアーケードを撤去し「レトロといやしのまち」を基本コンセプト(全体概念)にファサード(建築物の正面の外観)を改修し、幅広く、段差が少なく、歩きやすい歩道改修を行い、微笑でおもてなしをする心と共に、安全で人に優しいオープンモール(開放感ある商業集積)商店街の整備を行う。
 「ファサード整備事業」は、国の「少子高齢化等対応中小商業活性化支援事業」の補助採択を受け、九月中旬から工事に着手し、年度内にアーケード撤去、ファサード(店舗正面)改修事業を完了させる。来年度からは、3年間の計画で、国の無電柱化と歩道の大幅拡幅工事が行われ、一帯は開放的で明るい街並みへと一新する。
 ファサード改修事業の総事業費は約11,000万円。国補助約4100万円、市補助1400万円を受けて行う。アーケード撤去工事は、9月中旬から1-2カ月間の夜間工事を予定。終了した個所から順次、ファサードの補修を行って、モダンな雰囲気を醸す街並みへと修景していく。実際にファサードを改修する店舗は38店。歩道拡幅工事では、高齢者にやきしい商店街づくりを目指して歩道へ融雪装置を埋設。街路灯や街角に置くオブジェなど、一帯の雰囲気づくりも考えていく。

■レトロといやしのまちとは

 諏訪出身の著名な建築家、藤森照信氏(東京大学教授)は「上諏訪周辺の商店街は、ハイカラなデザインで、正面に独特な商いの顔を巨大な看板のように立ち上げている。俗に『看板建築』と呼ばれ、関東大震災後の東京復興期、つまり大正の末から昭和初期に流行して諏訪にも及んだものである」と紹介している。まちの資源ともいえる看板建築を、もう一度見し、このロマンたたずむレトロな街並を「まちづくり」に生かし、誰にとっても思いやりのある、温かなまちをつくろうというのが基本コンセプトの背景にある。ロマンたたずむ街並が、街歩き観光の魅力になることを期待し、将来にわたり持続性と発展性をもつ本物のまちの実現を目指す。

■さよならアーケードイベント

 アーケードの撤去と改修工事が九月から始まる前にこのほど、感謝の気持ちと、新たな「まちづくり」への旅立ちへの思いを込めた記念イベント「アーケード物語」が行われた。初日はレトロな雰囲気の旧富士銀行の建物で、同市大和のアマチュア写真家、宮坂増雄さんが諏訪地方で撮影した懐かしい写真を紹介するスライドショーが開かれた。昭和20年代後半から30年代にかけ、上諏訪駅前などの中心市街地、諏訪湖周辺や農村などで撮影した計約百枚を宮坂さんが自らスクリーンに投影。メーデーで駅前に集まった労働者たち、弁当を食べる子ども、軒先におむつを干した民家などを映し出し、人々の暮らしぶりを説明した。また、夕市、毎月恒例の路上イベント「4Sta(ヨンサタ)」も開れた。

 

(取材構成 南信事務所)

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