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月刊中小企業レポート
更新日:2006/09/09

健康を考える

健康を維持するのは難しい

健康を考える 日々診療している中で、健康を維持する事はとても難しいと思います。医師は、患者の肉体的、精神的健康を守る責務があります。
 まず、肉体的健康ですが、これまた難しい。最近は肥満、高血圧、糖尿病の人が増えてきています。しかし、医師が思っているほど、患者さんは危機感を感じていないようです。運動を勧めてみても、食事療法を勧めてみても、真剣に取り組んでいる人はわずかです。病気をして初めて真剣に取り組んでいる人が多いのが現状ではないでしょうか。

■一般の人より短い医師の寿命

 医師も人間ですので、不健康な人がいるはずです。医師はストレスが多いし、お酒を飲む機会が多い。患者を守らなければいけない医師の日常生活が不健康なような気がします。また、運動をしないし、体を動かす機会が少ないのです。医師の寿命は一般の人よりは短いとも言われています。忙しい診療のなかで、医師は自分の健康を守る事を忘れがちです。労働時間がまず長すぎます。労働基準法など関係なく仕事があればしなくてはなりません。そして、それが当然と言う世の中です。医師は自分の健康を犠牲にして患者さんの生命を守らなければなりません。国民の健康を守らねばならない医師が自分の健康を守れないという矛盾があります。

■まだ充分ではない”健康を守る“医師の研修

 では、医師が健康を守ることをしっかり知っているのかと言うと、疑問な点もあります。
 国民の健康を守らなければいけない医師の研修は、病気の治療が主なものです。これを学ぶだけでも大変なのです。そして、健康を守るための研修はしっかりしたものなのか疑問があります。

【喫煙の問題】
 禁煙の指導、これも、最近、保険で一部、できるようになっています。禁煙の指導は最近、しっかりしたものが学会から出されています。まだまだ、私を含め、医師の皆さんができないのが現状です。
【飲酒の問題】
 これは、どのくらい飲んだらいいのか、一応出ていますが、医師がそれを守っているのか、疑問です。
【肥満の問題】
 これは非常に難しい問題です。具体的に指導しても守ってくれません。多くの国民が、サプリメントに頼っています。しかし、サプリメントでは、肥満は改善しないのです。基本的には、本人のやせたい気持ちがあり、しっかりとした食事療法、そして、運動療法が必要です。これなくして、やせる事は不可能です。テレビでは、おいしい食事の番組が多いです。もっと健全にやせる番組を増やして欲しいと思います。
【運動の問題】
 運動は、健康を守るために、非常に大切なものです。まず歩く事が大事です。しかし、人によっては、運動なり、体を動かす事をとても嫌う人がいます。体を動かせば、ストレスが少なくなり、お腹もすいて、また血液循環も良くなり、健康にはいい事です。しかし、体を動かす事の楽しみを知らない人が多いのが現状です。これは、医師だけでなく、国や、県、市町村の取り組みといったスケールの大きな課題で、初めて、解決していくのではないでしょうか。

■精神的なことで困った時、まずは内科に相談しましょう

 精神的な健康は、肉体的健康と同じぐらい大事なものです。しかし、これまた、難しいのです。世の中、生きていくうえでストレスはつき物です。精神的なストレスで、体の具合が悪くなるとしたら、精神的な問題を解決する事が大事です。しかし、精神的な問題はそう簡単に解決できません。解決しようともがいていると、また病気になってしまいます。ですので、医療の必要性が出てくるのです。精神科の先生はその点で、もちろん、問題の解決の糸口を見つけてくれるでしょう。しかし、精神科の敷居が高くなかなか、行けないのが実情です。最近は、内科の医師でも使える薬が増えてきました。精神的なことで困った時、まずは、内科の医師に相談してみるのも大事です。内科の医師では難しい場合は、紹介状を書いてもらい精神科に受診しましょう。

長野県保険医協同組合
副理事長 中島 勉

 

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