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月刊中小企業レポート
更新日:2006/07/30

健康を考える

たばこと歯の健康について

健康を考える■分煙社会

 健康増進法の施行に伴い公共の場で分煙が進みもはや電車や飛行機はもとより役所や病院でも禁煙が当たり前となってきています。たばこを吸う方にとっては益々肩身の狭い世の中となってきています。
 理由は皆さんご承知のようにたばこが健康に良くないからです。今更ここで書くまでもないでしょうが、たばこは肺ガンをはじめとする各種の悪性腫瘍、心臓病、呼吸器疾患など様々な病気の原因となっていて早死の原因となっています。

■たばこと歯の健康

 私は歯科医ですが歯の健康にとってもたばこの害は深刻です。今回はたばこと歯の健康についてお知らせしたいと思います。
 歯の2大疾患といえば虫歯と歯周病です。人が歯を失う原因のほとんどが虫歯と歯周病であるといって過言ではないでしょう。しかし虫歯については子供の虫歯保有率も確実に低下傾向で抜歯が必要なほど重症な虫歯を作って私の診療室に来院する子供さんは最近ではほとんどお目にかかりません。
 しかし大人の歯周病罹患率は依然高いままで45歳以上では58%といわれています。私も開業して19年この歯周病治療に力を入れて取り組んできました。歯を支える骨が3分の1以下になってしまった重症な歯周病でも治療により歯を支える骨が回復してきた患者さんやその状態で10年以上良好な状態を維持している患者さんもたくさんいらっしゃいます。しかし一方でなかなか治療の効果が得られず少しずつ抜歯に至ってしまう患者さんも少なからずいらっしゃるのも事実です。5~6年前医院内でスタッフと歯周病が改善した症例を集めて検討したことがあります。するとある事実が浮かび上がってきました。歯を支える骨が改善してきた患者さんにはたばこを吸う方が1人もいらっしゃらなかったのです。反対に改善が見られない患者さんはほとんどが喫煙者でした。数人たばこを吸わない方がいましたが、詳しく調べてみると配偶者がヘビースモーカーだったり職場が分煙されていない方で受動喫煙の被害者であることが判明しました。受動喫煙の害は子供の口の中にも現れます。歯肉の色が違うのです。たばこの煙に含まれる有害物質は、喫煙者の吸い込む煙より受動喫煙でさらされる煙の方に多く含まれます。分煙はもはや常識なのです。
 たばこを吸われていた患者さんでも禁煙して2~3年すると歯肉の色が変わってきます。今では歯周病の治療ではブラッシング指導より禁煙指導が重要ではないかと思っています。

■禁煙の薦め

 4月の保険改定で喫煙者で「ニコチン依存症」と診断された方が禁煙外来で受ける「禁煙指導」に健康保険が適応されるようになりました。長野県ではまだ保険適応できる医療機関は1カ所しかありませんが制度としては一歩前進と評価して良いと思います。たばこをやめようと思ってもなかなかやめられないという方も、ご自身の健康はもとよりご家族や周囲の方の健康のためにも、今一度禁煙にトライしてみてはいかがでしょう。

長野県保険医協同組合
布山 徹

 

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