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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

特集 まちの再生を考えるシンポジウム

コンパクトシティーと改正まちづくり三法の方向性

中小企業庁 商業課 課長 保 坂 伸 氏

 中心市街地は、まちづくり三法の制定から8年を経てなお衰退が深刻化しており、その解決は緊急の政策課題となっていた。経済産業省における産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会合同会議及び国土交通省における社会資本整備審議会において、報告案に対するパブリックコメントでよせられた国民の声も踏まえつつ、 政府は2月6日まちづくり三法改正案を閣議決定、同9日に国会に提出。
 まちづくり三法は、中心市街地活性化法、都市計画法、大規模小売店舗立地法からなっており、改正するのは中心市街地活性化法と都市計画法の二法で大規模小売店舗立地法は改正されない。
 中心市街地活性化法案の改正案の概要は今までは中心市街地における市街地の改善と商業等の活性化の一体的推進から少子高齢化、消費生活の状況変化に対応して、中心市街地における都市機能の増進及び経済の活力の向上を総合的かつ一体的に推進。快適で魅力ある生活環境の形成、都市機能の集積、創造的な事業活動の促進を基本とし、地域の関係者が主体的に取り組み、それに対し国が集中的に支援を行う。また、国、地方公共団体及び事業者の中心市街地活性化のための責務規程を新設する。国による「選択と集中」の強化という趣旨で政府として中心市街地の活性化に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、内閣に中心市街地活性化本部を設置する。本部は基本方針の案の作成、認定申請がなされた基本計画についての意見その他の事務をつかさどる。内閣総理大臣による基本計画の認定制度の創設、市町村が作成する基本計画について、内閣総理大臣による認定制度を創設し、多様な都市機能の推進と商業等の活性化に意欲的に取り組む市町村を「選択と集中」により重点的に支援する。民間主導による多様な主体の参画、中心市街地整備推進機構、商工会、商工会議所、その他多様な民間主体等により組織される中心市街地活性化協議会を法制化し、市町村が基本計画を作成する際に意見を述べる手続きをもうけ、基本計画に民意を反映させる。また、民間主体による事業計画の認定を申請する際には、中心市街地活性化協議会の議を経ることとし、民間主体による事業の一体的推進を図る。支援措置の拡充、認定を受けた基本計画に基づいて行われる事業に対する支援措置として中小企業信用保健法の特例等に加え新設・拡充を行う。
 都市計画法の改正については、今まで都市の無秩序な拡散が加速化し、高齢者等が病院などの公共施設に歩いていけなくなるといった問題や、中心市街地の社会資本が有効利用されていない一方で郊外では新規の公共投資の非効率生、環境付荷の増大などの問題が生じている。今後人口減少・超高齢者社会が到来する中で、これらの問題について地域の主体的な判断により的確に対応するため、都市構造に広域的に大きな影響を与える大規模集客施設や公共公益施設について、その立地に際し都市計画の手続きを経ることを通じて、都市の秩序ある整備を図るため改正する。改正案の柱は床面積1万平方メートルを超す小売店、映画館等の大規模集客施設が出店できる地域を原則として「近隣商業」「商業」「準工業」の3地域に限定、規制の空白地域であった農地への出店も規制する。

中心市街地活性化法の改正案の概要
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平成18年度 経済産業省 中心市街地支援措置

 改正中心市街地活性化法に基づき実施される商業活性化事業に対して、以下の支援を重点的に実施する。

1.予算支援措置 7,060百万円(政府原案)

(1) 戦略的中心市街地商業等活性化支援事業 【5,905百万円】
-商店街、商業者、民間事業者が地権者等の幅広い参画を得て、まちぐるみで取り組む商業活性化に係る事業(例:集客核施設の設置や地域コミュニティとの連携事業等)等に対する支援-
(2) 実効性確保・診断サポート事業 【524百万円】
-まちづくりの司令塔となる中心市街地活性化協議会等が行うタウン・マネジメント活動に対して専門家による診断・助言等を実施し、まちづくりの体制をバックアップ支援-
(3) 中心市街地商業活性化アドバイザー派遣事業 【142百万円】
-中心市街地における商業・商店街の活性化を促進するため、中小企業診断士や大手小売業のOB人材など商業機能強化に有為なアドバイザーを派遣し、商業活性化を支援-
(4) 中心市街地商業等活性化支援業務委託事業 【489百万円】
-地域のリーダとなる人材の育成、ノウハウの蓄積を支援し、成功事例の水平展開を推進-

 

2.税制支援措置

(1) 中小小売商業高度化事業に協力する地権者等の財産評価の適正化
-中小小売商業者の商業活性化への取組に空き店舗等の活用などで協力する地権者等の土地の財産評価を適切に反映するための措置-
(2) 中小小売商業高度化事業による土地の譲渡所得の特別控除
-中小小売商業者の商業活性化への取組に供する土地譲渡所得の1500万円迄を特別控除-
(3) 地方税の不均一課税実施に対する減収補てん措置
-商業基盤施設を設置する事業者に対する不動産取得税、固定資産税の軽減を地方公共団体が行った場合に、減収分の一部を補てんする措置の実施-


3.財政投融資

 中心市街地・商店街に出店・事業を行う商業者等の設備投資資金等に対する低利融資を実施する。

都市計画区域の概念図

大規模商業施設の立地と都市計画の関係

人口減少時代における日本の将来
コンパクトシティ構想によるまちづくり
パネルディスカッション

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