この調査は、国の指定事業として、毎年47都道府県において一斉に実施しているもので、日本経済の幅広い分野を担う中小企業の労働事情の実態を把握し、国等の労働政策や、中央会の労働指導方針策定に資することを目的としています。
今回で42回目となる本調査は、従業員の規模、業種による分析を通し、中小企業の多様な実態や規模による格差問題等を明らかにするほか、小規模企業の現状を知る、数少ない資料としての特色を持っています。
我が国の経済は、各種統計調査、予測などで見られるように、クールビズ、デジタル家電など個人消費の一部と自動車や生産財など円安も背景とした好調な輸出に支えられ、GDPは対前年比でプラス水準にあり、東証平均株価も水準を切り上げるなど、やや持ち直しの兆しが見られました。しかしながら、本年夏場以降からは、高止まりした原油価格による原材料の値上がりなどの不安定要因を抱え、雇用不安や給与所得・年金所得の減少などのマイナス圧力は引き続き、業種間格差、企業間格差がますます進むなど、先行き不透明感は払拭しきれていません。
こうしたなか、賃金については、定期昇給制度廃止など従来型の横並びから、各自の体力に応じて判断する傾向にあり、その動きは中小企業にも及んでいます。
この報告書が中小企業における労働問題の論議を深めるための資料として広く活用され、企業の発展にいささかなりとも寄与できれば幸いに存じます。
終わりに、この調査の実施にあたりご協力を賜りました関係者各位に対しまして厚く御礼申し上げます。
平成18年1月
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