改正独占禁止法のポイント
平成18年1月4日から「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律」(以下「改正法」)が施行されました。
どんなところが改正されるのか、今回改正の主要な概要を紹介します。 |
改正の主なポイント
1.課徴金算定率の見直し
2.課徴金減免制度の導入
3.犯則調査権限の導入
4.審判手続等の見直し 等 |
1.課徴金算定率が下記のとおり引き上げられます。
(注) |
「再度の違反」とは、調査開始日からさかのぼり10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある場合です。
「早期離脱」とは、違反行為に係る実行期間が2年未満で、調査開始前の1か月前までに違反行為をやめていた場合です。 |
2.違反行為を繰り返した事業者には割増された算定率が適用されます。
過去10年以内に課徴金納付命令を受けたことのある事業者に対しては、課徴金算定率につき、通常の5割増しの算定率が適用されることとなります。
3.調査開始前に短期間で違反行為をやめた事業者は算定率が軽減されます。
違反行為に係る実行期間が2年未満である場合において、公正取引委員会が立入検査等を行った最初の日の1ヶ月前までに違反行為をやめた場合、課徴金算定率が2割軽減されることとなります。
4.課徴金と罰金の調整がされます。
課徴金と罰金の両者を併科する場合には、罰金額の2分の1に相当する金額が課徴金から控除されます。
5.課徴金の対象となる行為が明確化・拡大されます。
市場占有率、取引の相手方を制限するカルテル行為が課徴金の対象となることが明確化されます。
また、購入カルテル、支配型私的独占も課徴金の対象となります。
6.課徴金の裾切基準額が引き上げられます。
現行では、課徴金の額が50万円未満であるときは納付を命じられることはありませんでしたが、改正後は、100万円未満のときは納付を命じられることがなくなります。
課徴金とは
価格カルテル等又は価格カルテル等を内容とする国際的協定、国際的契約が行われたときに、公正取引委員会が事業者や事業者団体の構成事業者に対して課す、行政上の措置としてのカルテルによる経済的利得の国庫への納付金のこと。 |
課徴金減免制度とは
課徴金減免制度の流れは以下のようになります。
犯則調査権限とは、犯則事件(独占禁止法第89条から第91条までの罪(入札談合、カルテル等に係る事件)を調査するための権限のことで、裁判官の発する許可状によって臨検・捜索・差押え等を行うことが可能となります。
公正取引委員会は、
① |
国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質・重大な事案 |
② |
違反を反復して行っている、排除措置に従わないなど行政処分によっては独占禁止法の目的が達成できないと考えられる事案 |
について、積極的に刑事処分を求めて告発を行う方針です。
そのため、基本的には右記のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由のある違反被疑事件について、犯則調査権限を行使することとなります。 |
1.犯則調査権限が導入されます。
悪質かつ重大な事案についてより積極的に刑事告発を行うために、犯則調査権限が導入されます。
2.犯則調査部門と行政調査部門との間にファイアーウォールが設けられます。
犯則捜査のために行政調査権限が行使されることのないよう、犯則調査部門と行政調査部門との間にファイアーウォールが設けられます。
具体的には、
① |
犯則調査部門として「犯則審査部」を新設し、行政調査部門と所掌事務を明確に分離します。 |
② |
犯則事件の調査を行う職員の指定は、「犯則審査部」の職員についてしか行えないものとします。 |
③ |
「犯則審査部」の職員は行政調査権限を行使する審査官には指定できないものとします。その他、犯則調査規則に所要の規定を置いています。 |
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ファイアーウォール…外部からの不正なアクセスからデータを守るための防護壁です。必要な通信のみを通過させ、不要(不正)な通信を遮断することができます。 |
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1.勧告制度がなくなります。
勧告制度が廃止され、意見申述等の機会の付与といった事前手続を経た上で、違反行為があるときは直ちに正式な処分である排除措置命令を下すこととなります。
2.審判制度の位置付けが変更されます。
公正取引委員会における審判手続は、既に出された排除措置命令・課徴金納付命令に対する事後審査という位置付けとされます。
3.排除措置を命ずることができる期間が延長されます。
現行法では違反行為が既になくなっている場合であっても、特に必要があると認めるときは、違反行為がなくなった日から1年以内であれば勧告を行うことができましたが、改正後は、3年以内であれば排除措置を命ずることができるようになります。
4.課徴金納付に係る手続が見直されます。
現行法では課徴金納付命令は審判手続が開始されると失効しますが、改正後は、審判手続が開始された場合であっても失効しないこととなります。
公正取引委員会
〒100-8987 東京都千代田区霞が関1-1-1
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