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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

成迫会計事務所通信より

リサイクル製品を使えばP点UP!?

 建設業の皆様は入札参加資格の格付を維持するために、様々な対策をされてきたと思います。「そろそろ対策案も尽きてきた…」、「もう少し余裕を持って申請したい」という方のために、『産業廃棄物減量化・適正処理実践協定(以下産廃処理協定)』を今回ご紹介させていただきます。この協定は、産業廃棄物の減量化や適正に処理することへの意識を高めようとするもので、5点の新客観点数を付与されることがメリットです。この5点によって、格付のボーダーライン付近にいらっしゃる方にとっては不安を安心に変えて申請していただけると思いましたので、協定の概要をご説明させていただきます。

I.協定締結の流れ

 この協定は毎年度4月~3月が一区切りとなっています。そのため19・20年度の入札参加資格申請時で加点されるためには、18年3月までに協定を締結しなければなりませんのでご注意ください。

期 日 18年1月 2月 3月 19年4月
項 目 申込 書類審査・現地確認 ◆協定締結◆ 18年度
結果報告書提出
必要書類 協定申込書・18年度計画書     実践結果報告書
注意事項 協定の有効期間は3年間です。
申込から締結まで、最大2ヶ月半かかります。申込書は県のHPよりダウンロードし、最寄りの地方事務所に直接提出します。
計画書の数字、内容について根拠を確認 5点獲得!! 計画書の目標が達成されていない場合は県の担当者による現地確認があります。

II.5点獲得への課題

1. コストについて

  産廃処理協定 ISO14001 エコアクションながの
導入時のコスト 初期費用なし 300万円前後 20万円前後
維持コスト リサイクル製品の使用料 50~100万円 5万円前後
新客観加点点数 5点 10点 5点


 リサイクル製品の使用による増加コストは材料によって異なりますが、砕石など通常製品とリサイクル製品との差がない材料から始めることでコストについては抑えることができます。ISOと比較するとコスト面で非常に導入し易くなっています。

2. 事務作業について
 県のHPにある様式に、翌年度の計画書とその結果報告書を提出します。この計画書と報告書を作成するために材料使用量について集計作業が必要になります。

  1. リサイクル製品の使用状況(例:砕石・コンクリートなど通常製品使用量〔m3〕とリサイクル製品使用量〔m3〕)
  2. 産業廃棄物の総廃棄量(例:木くず総廃棄量500m3、廃油総廃棄量1,000m3など)
  3. 専門業者にリサイクルを依頼した量(例:木くず400m3
 県への報告事項は上記の他に、産業廃棄物管理責任者の設置などがあります。詳しくは県のHPにある様式をご覧ください。
 この協定を結ぶことで現場担当の方の業務量が増加することもご心配されると思いますが、ご安心下さい。県の方針は現状と比較して毎年少しずつ改善していくことに重点を置いています。例え低い目標、計画でも『無理なく、少しずつ、会社にとって負担にならないように改善をしていってほしい』というお話です。協定を維持することが困難になった場合には、相談窓口があり、解約することも可能です。
 来年の予測点数を目標値に近づけるために、導入を検討されてはいかがでしょうか。

税金が戻ってくる教育費って?

 事務所通信第156号でも紹介いたしましたが、従業員への「教育訓練費」に応じて、税金が減額される「人材投資減税」制度が始まって早、半年が過ぎました。前回は制度の概要と、税金がどれくらい減額されるかのシミュレーションなどを説明させていただきました。今回は、「教育訓練費」に該当する費用は具体的にどういったものなのかに焦点をあてて説明させていただきます。

該当費用① 外部から招聘した講師、指導員に支払う報酬や謝礼
 外部から招聘する講師には、顧問税理士はもちろん、当該企業の関連会社、グループ企業の役員や使用人も含まれます。但し、当該企業の役員や使用人に該当する方への報酬は対象外です。取引先や関連企業とお互いに講師を派遣しあうことも可能です。
 報酬は、講師個人への支払いだけではなく、法人などから講師の派遣を受け、報酬をその法人に支払う場合も該当となります。また、講師、指導員の招聘に関する宿泊費、食費、交通費も同様です。

該当費用② 教育訓練のために外部の施設などを借りる費用
 教育訓練等を自ら行う場合で、他の企業や個人が所有する施設や設備を借りる時の使用料は該当になります。但し、自分たちで所有している施設の光熱費、維持管理費用は対象外です。例えば、商工会議所の会議室、研修施設の利用料、プロジェクターや、パソコン、マイクなどの備品使用料が該当します。また、最近普及しつつある、インターネットを利用した通信教育費用なども含まれます。
 また、費用①、②に類似して、教育訓練等を一括で他の企業や個人に委託した場合の委託費用も教育訓練費に該当いたします。費用①、②と違う点は、講師の人件費や、施設利用料などは、全て委託された他の企業や個人が負担している点です。

該当費用③ 外部で行われた研修に参加する費用
 教育訓練に該当する講座等(研修、セミナー、検定試験、通信教育も含まれます)の授業料、受講料、参加料などが該当します。
 また、税法上、給与となってしまう場合を除きますが、従業員を大学院コース等に進学させる授業料、教科書代も該当します。しかし、直接教育には関係しない大学への寄付金、進学期間中の人件費、住居費などは該当しません。

該当費用④ 教科書やその他教材費
 従業員の教育訓練のために、教科書やその他講習、実習に必要な教材が対象となります。しかし、原則として所得金額が10万円未満のものとなっています。
 費用対象外になるものは、企業が自ら教科書等を作成した場合の、作成にかかる人件費、材料購入費、コピー代、印刷代、用紙代や、研修を行わずに教科書だけを買い与えた場合、教育訓練を検討するために、社内で購入した参考図書などです。
 平成17年度の税制改正の中で、一番注目度の高い「人材投資減税」。中小企業にとっては、人材は、人財と置き換えられるほど、従業員の力の影響は強いと思います。今回の改正を上手に利用して、接遇研修や専門分野の研修に積極的に従業員を参加させ、従業員のレベルアップと税負担の軽減を検討されてはいかがでしょうか?

本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。
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