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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

特集2 官公需施策と官公需適格組合制度

1.官公需の発注と組合の活用

 国や地方公共団体が物品を購入したり、役務や工事の発注をすることを官公需という。物品の購入には事務用品、制服、家具、印刷など、役務には建物管理、建築設計、測量、運輸、清掃作業など、工事の発注には土木、建築、管、電気工事など種類が豊富にある。
 取引関係が確実であることなどから、中小企業が官公需を受注することは経営基盤の安定にとってきわめて有効な手段である。

 昭和38年に制定された「中小企業基本法」の第21条で、「国は、中小企業が供給する物品、役務等に対する需要の増進に資するため、国等の物品、役務等の調達に関し、中小企業者の受注の機会の増大その他の必要な施策を講ずるものとする」と規定して、中小企業者が官公需を受注することに国が配慮することを掲げている。
 この趣旨を受けて、昭和41年に制定された「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」(以下官公需法)の第4条では、「国は『中小企業者に関する国等の契約の方針』を毎年閣議決定して、その年度の中小企業者向けの契約目標額と受注の機会増大のための具体的な措置を定めることとし、さらに同法第3条で「(国等が中小企業者に発注する場合)組合を国等の契約の相手方として活用するよう配慮しなければならない」と官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の積極的な活用を促している。
 地方公共団体に対しては、第7条で「国の施策に準じて、中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めなければならない」と規定し、同法の趣旨にのっとり施策を講ずることを求めている。

2.国と長野県の官公需の実績

 国と長野県の官公需実績は下表のとおりである。
 国等の中小企業向け実績の平均は45.7%であるのに対し、長野県の平均は79・3%と高い。しかしながら、長野県の中小企業向け実績の対前年比は、平成14年度と平成15年度が突出して低い。

国等 単位:億円
年度 総額 中小企業向け 割合 対前年比
12 128,611 57,204 44.5%  
13 122,240 55,150 45.1% -3.6%
14 116,380 53,650 46.1% -2.7%
15 104,625 48,658 46.5% -9.3%
16 99,850 46,524 46.6% -4.4%
平均 114,341 52,237 45.7%  

長野県 単位:千万円
年度 総額 中小企業向け 割合 対前年比
12 27,673 21,871 79.0%  
13 23,422 19,086 81.5% -12.7%
14 15,586 12,272 78.7% -35.7%
15 10,847 8,369 77.2% -31.8%
16 10,518 8,214 78.1% -1.9%
平均 17,609 13,962 79.3%  
※対前年比は中小企業向け実績の比率です。

3.官公需適格組合制度

■官公需適格組合とは
 官公需の受注に対して特に意欲的であり、かつ受注した契約は、十分に責任を持って履行できる経営基盤(組織体制、財務状況等)が整備されている組合であることを中小企業庁(長野県の場合は関東経済産業局)が証明する制度である。事業協同組合、企業組合、協業組合等が対象となっている。
 平成17年3月31日現在全国で882組合が官公需適格組合の証明を取得し、年々増加している。業種別には、
物品関係…
繊維、家具、印刷、石油、事務用品、生コン他242組合
役務関係…
設計、測量、自動車整備、運輸、建物サービス他363組合
工事関係…
土木、建築、電気、管、造園、畳他277組合
であり、広範囲に及んでいる。

 長野県内の官公需適格組合は6組合である。
 平成15年度以降、水道工事組合の証明取得が増えている。

組合名 住 所 区 分 証明業種 初回証明日
長野県事務機販売事業(協) 長野市岡田町3-2 物 品 事務用機器販売業 S49.3.12
長野設計(協) 長野市松岡2-6-14 役 務 建築設 H13.3.22
(協)長野シーアイ開発センター 長野市大字西長野2-4 役 務 計管理業 H15.8.7
長野市水道工事(協) 長野市大字東和田字大堰向西沖908-15 工事ロ H15.10.1
上田市上下水道事業(協) 上田市天神二丁目1-6 工事ロ H16.10.1
松本市水道事業(協) 松本市大字島内1687-8 工事ロ H16.10.1

■官公需適格組合の種類
 官公需適格組合の証明区分は「物品納入等」と「工事イ、ロ」の3種類である。同時に他の種類の証明を受けることはできない。
物品納入等(役務を含む)
工事イ(建設業許可が必要な工事を行う場合)
 公共性のある工事であって、工事1件の請負代金の額が1,500万円以上のもの(電気工事、管工事、電気通信工事またはさく井工事にあっては500万円以上)を請け負うとする場合
工事ロ(建設業許可が不要な軽微な工事を行う場合)

■「物品納入等」(役務を含む)の証明基準
 物品・役務で証明を取得しようとする場合は、定款に「共同受注事業」が規定されていることを前提に、以下の7つの基準を満たさなければならない。
組合の共同事業が組合員の協調裡に円滑に行われていること
官公需の受注について熱心な指導者がいること
常勤役職員が2名以上いること
共同受注委員会が設置されていること
役員と、共同受注した案件を担当した組合員が連帯責任を負うこと
検査員を置くなど検査体制が確立されていること
組合運営を円滑に遂行するに足りる経常的収入があること

 長野県中小企業団体中央会(以下「中央会」という)における相談事例では③の基準を満たすことが困難なため申請を断念した事例がある。

■「工事」の証明基準
 物品納入等の基準に加えて、工事イの場合は以下の⑧、⑨、⑩の3つ、工事ロの場合は⑧の基準を満たさなければならない。

共同受注事業を1年以上行っており相当程度の受注実績があること
工事1件の請負代金の額が1,500万円(電気、管工事等は500万円)以上のものを受注しようとする組合は、常勤役員が1名以上、常勤職員が2名以上おり、その役職員のうち2名は受注しようとする工事の技術者であること
総合的な企画及び調整を行う企画・調整委員会が現場ごとに設置され、工事全体が契約通りに施工される体制が整備されていること

■官公需適格組合の証明を取得しても受注が増えるとは限らない
 官公需適格組合の証明を取得するためには、定款の変更、総会における官公需共同受注規約等の規約の議決、申請書に加えて何種類もの添付書類の作成等、特に初回の申請時には相当のパワーが必要となる。
 このような苦労を重ねて証明を取得しても官公需の受注が増えるとは限らない。営業努力が必要であることは変わりない。
 しかしながら、官公需適格組合は、受注した契約に対して十分に責任を持って履行できる経営基盤(組織体制、財務状況等)が整備されている組合であることを中小企業庁(国)が認める制度なので、発注機関にとっては安心して仕事を任せることできる。証明基準の⑤は、担当した組合員に万が一事故ある時は他の組合員がその仕事を引き継ぐなどして組合全体で責任を負うことを要求している。
 昨今は公平性、透明性を高めるために、一般競争入札が多くなり、官公需適格組合といえども一応札者に過ぎなくなっている。このような状況ではせっかくの制度が効果を発揮しない。官公需適格組合制度を活かした「受注の増大策」を強く求めるところである。

■官公需適格組合の証明取得を受けるまでの流れ
 大まかな流れは右下のとおりであるが、まず中央会にご相談ください

適格組合の取得申請を行うことや官公需共同受注規約、各委員会規約の制定及び各委員会の設置等(事業追加や脱退予告期間の延長等の定款変更が必要になる場合もある)を総会で決議する。
組合は、証明申請書及び添付書類を作成して中央会へ提出する。
「物品納入等」は証明を希望する日の30日前、「工事」は同じく50日前までに提出のこと。「物品納入等」の受付は随時、「工事」は証明日が4月1日、7月1日、10月1日、1月1日の年4回の ため、それに合わせた申請が必要となる。
中央会は、組合から提出された証明申請書等の記載内容を実地調査等で確認した後、証明申請書等を組合へ返還する。一方、調査内容についての調査報告書を作成して関東経済産業局へ提出する。
組合は、中央会から返還された証明済申請書等を関東経済産業局へ提出する。
「物品納入等」は証明を希望する日の20日前、「工事」は同じく30日前までに提出のこと。提出部数は、「物品納入等」は2部、「工事」は9部である。
「物品納入等」の場合は、書類審査を受け、証明基準に適合していれば証明される。
「工事」の場合は、証明日の10日前ころに関東経済産業局で開催される審査諮問委員会で中央会担当者が意見聴取された後、証明基準に適合していれば証明される。
有効期限は2年間。ただし「物品納入等」の一部は3年間。
更新申請の手続きは、添付書類の一部に省略可能なものがあることを除き、初回の取得時と同じである。

4.官公需施策

 中央会は「中小企業者に対する国等の契約方針」に掲げている発注・落札情報の提供をはじめとして、官公需適格組合等がより多くの官公需を受注できるための事業を行っている。

■官公需資料作成普及事業
 国の出先機関、県、市の発注情報、落札情報及び入札参加資格登録申請手続き情報を年3回郵送により収集し、冊子を印刷して組合等へ提供している。発注情報については年3回の定期的な収集だけでなく、随時収集して該当する組合等へ提供している。

■官公需問題懇談会の開催
 官公需受注上の問題点を把握しその具体的解決策を探るために、発注者側と受注者側の出席を得て年1回開催している。

■官公需業種別受注対策事業
 全国中央会と連携して、官公需適格組合やこれから証明を取得しようとする組合を対象に専門指導員を派遣し支援を行っている。専門指導員の謝金と旅費を全国中央会が負担している。本年度1組合が取り組んでいる。

■長野県官公需組合協議会の支援

第2回通常総会
第2回通常総会

 平成16年10月20日に官公需適格6組合と官公需に熱心な3組合を会員として設立された。
 官公需組合の結束によって共通する諸問題の解決を図り、かつ会員相互の交流を活発にすることによって各組合の受注体制の整備、受注能力の向上を実現し、もって官公需の受注を確保し、中小企業の経営の安定とその経済的地位の向上に資することを目的としている。
 平成17年9月21日に2年目の通常総会を開催し現在に至っている。役員は以下のとおりである。

会 長 佐藤信行氏(長野設計(協)理事長)
副会長 松澤一男氏(長野市水道工事(協)理事長)
事務局 中央会

官公需のことは中央会へご相談ください!!

編集 連携支援部

平成17年度中小企業者に関する国等の契約の方針 平成17年7月15日 閣議決定


 国は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律第4条第2項に基づき、平成17年度における中小企業者に関する国等の契約の方針(以下「国等の契約の方針」という。)を次のとおり定める。国等は、国等の契約の締結に当たっては、予算の適正な使用に留意し、世界貿易機関政府調達協定及び政府調達に関する我が国の各種行動計画との整合性を確保しつつ、中小企業者を取り巻く厳しい情勢を踏まえ、中小企業基本法第3条に掲げる基本理念に則り、中小企業の経営基盤の強化を図るため、国等の契約の方針に基づき、中小企業者の受注の機会の増大のための措置を講ずるものとする。その運用に際しては、国等の調達する物品等(工事及び役務を含む。以下同じ。)の受注を確保しようとする中小企業者の自主的な努力を助長し、公正な競争が行われるよう配慮するものとする。
 なお、消費税及び地方消費税については、その適正な転嫁を受け入れるものとする。
 また、国は、地方公共団体に対し、国等の契約の方針を参考として、地域の実情に応じ必要な場合には中小企業者に関する契約の方針を策定する等中小企業者の受注機会の増大のための措置を講じ、適切な運用が図られるよう要請する。

中小企業者の受注機会の増大のための措置

 国等は、前年度までの中小企業者に関する国等の契約の方針に定められた措置について一層の徹底を図るものとし、平成17年度においては、次の措置を強力に推進するものとする。

1.情報提供の促進
 国等は、中小企業者の受注の機会の増大を図る観点から、透明性の向上と公正な競争の確保に留意しつつ、情報提供の促進のため、次の措置を講ずるものとする。

(1) 国等は、中小企業者向け契約の実績金額及び目標金額について、各省各庁等別の情報提供を行うものとする。
(2) 国等は、上記に加え、中小企業者向け契約の実績金額及び目標金額について、物件、工事及び役務の別に詳細に情報提供を行うものとする。
(3) 国等は、競争促進に資する新たな指標として、入札件数等の情報提供に努めるものとする。

2.中小企業官公需特定品目等の発注情報等の提供及び受注機会の増大

(1) 国等は、中小企業官公需特定品目(織物、外衣・下着類、その他の繊維製品、家具、機械すき和紙、印刷、潤滑油、事務用品、台所・食卓用品及び再生プラスチック製製品)に関する発注計画を作成し、当該発注計画に関する情報を中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するものとする。
(2) 国等は、発注計画に関する情報の提供を行った特定品目のうち、落札価格等契約結果に関する情報の提供が中小企業者の受注機会の増大のため効果的であると認められるものを、適切な方法により、中小企業者の参考に資するよう、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するものとする。
(3) 国等は、中小企業官公需特定品目の発注を行うに際し、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等により中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。
(4) 国等は、特定品目以外の物品、工事及び役務であって政府調達協定等に基づき官報掲載されるものを除く一般競争の発注に関連する情報並びに工事であって公募型の指名競争の発注に関連する情報を中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。
(5) 国等は、工事であって政府調達協定等に基づき官報掲載されるものを除く一般競争及び公募型指名競争の発注に関連する情報提供を行ったもののうち、落札結果等に関する情報の提供が中小企業者の受注機会の増大のため効果的であると認められるものを、適切な方法により、中小企業者の参考に資するよう、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。

3.官公需適格組合等の活用

(1) 国等は、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等により、中小企業庁が証明した官公需適格組合を始めとする事業協同組合等の受注機会の増大を図るものとする。また、官公需適格組合の競争契約参加資格審査に当たっては、総合点数の算定方法に関する特例の一層の活用に努めるものとする。
(2) 特に、官公需適格組合制度については、官公需適格組合の発注機関別受注実績を公表するほか、各省各庁等は、中小企業庁と協力しつつ、発注機関に対し、当該制度の一層の周知徹底に努めるものとする。


4.指名競争契約等における受注機会の増大

(1) 国等は、指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保すること等により、中小企業者の受注機会の増大を図るものとする。また、一般競争の場合についても同様の配慮を払うものとする。なお、資格等級に対応する契約の予定金額については、価格水準の変動等をも勘案しつつ、適時見直しを行う等一層の適正化を図るとともにこれを公表するものとする。
(2) 特に、中小工事等に係る発注及び中小企業官公需特定品目に係る発注に当たっては、できる限り中小企業者を指名するなど、特段の配慮を払うものとする。
(3) 少額の契約案件にあっては、法令の規定に基づく随意契約制度の活用により、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。

5.中小企業者への説明の徹底
 国等は、物品等の発注を行うに際しては、中小企業者の入札等が円滑に行われるよう、性能、規格等必要な事項について十分説明に努めるものとする。

6.銘柄指定の廃止
 国等は、物品等の発注に当たっては、真にやむを得ないと認められる場合を除き、直接の銘柄指定はもとより原材料等の間接の銘柄指定等を行わないものとする。

7.分離・分割発注の推進

(1) 国等は、物品等の発注に当たっては、政府調達協定等との整合性の確保に特段の配慮をしつつ、価格面、数量面、工程面等からみて分離・分割して発注することが適切であるかどうかを十分検討し、可能な限り分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。なお、公共工事においては、公共事業の効率的執行を通じたコスト縮減を図る観点から適切な発注ロットの設定が要請されているところであり、かかる要請を前提として分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。
(2) 国等は、分割発注が、公正性・経済合理性に反する形で恣意的に実施されることを回避するため、経済合理性を満たしつつ、中小企業者の受注機会の増大を目的として分割発注を実施した場合には、当該分割発注に係る理由を公表するものとする。また、国は、地方公共団体においても同様の取組が実現されるよう要請する。
(3) 国等は、中小企業庁が取りまとめる効率的な分離・分割発注に係る事例を参考として活用するとともに、分野に応じて、部内の人材育成又は外部人材の活用等により、発注能力の向上等体制整備に努めるものとする。

8.計画的発注の推進及び労働時間短縮への配慮
 国等は、物品等の発注に当たっては、可能な限り、計画的な発注を行うとともに、法定労働時間の週40時間制の実施、中小企業者の週休2日制等の動きを踏まえ、適正な納期、工期の設定に配慮するものとする。

9.適正価格による発注
 国等は、中小企業者に対する物品等の発注に当たっては、需給の状況、原材料価格の実情、消費税及び地方消費税の負担等を勘案し、適正な価格での発注に配慮するものとする。

10.地方支分部局等における地元中小企業者等の活用
 国等は、地方支分部局等の契約の限度額について、適時見直しを行い所要の引上げを図るとともに、地方支分部局等において消費される物品等については、極力地方支分部局等における調達を促進することにより、地元中小企業者等の受注機会の増大を図るものとする。

11.中小建設業者に対する配慮
 国等は、上記に掲げるもののほか、中小建設業者を取り巻く現下の諸情勢にかんがみ、中小工事の早期発注等により中小建設業者に対し特段の配慮を払い、その受注機会の増大に努めるものとする。
 また、指名競争を行うに際しては、極力同一資格等級区分内の者による競争を確保することとするが、優良な工事成績を上げた中小建設業者に対しては、施工能力等を勘案し、上位の等級に属する工事に係る競争に参加できるようにする等積極的に受注機会の確保に努めるものとする。
 特に公共工事に関する発注に当たっては、共同による請負の一層の活用等により、中小建設業者に対する受注機会の増大に努めるものとする。
 また、地元建設業者、専門工事業者等の中小建設業者を活用することにより円滑かつ効率的な施工が期待できる工事については、極力分離・分割して発注を行うよう努めるものとする。

12.技術力のある中小企業者に対する受注機会の増大

 国等は、技術力のある中小企業者の受注機会(公共事業を除く。)の拡大を図るため、次の措置を講ずるものとする。

(1) 国等は、政府調達(公共事業を除く。)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について」に基づく入札参加機会の拡大措置について、これまでの実施状況を取りまとめて公表し、これを踏まえて当該拡大措置の一層の活用に努めるものとする。
(2) 国等は、技術力の正当な評価を踏まえ、技術力のある中小企業者に関する入札参加資格の弾力化、法令の規定に基づく指名競争入札や随意契約制度の活用等の措置を一層進めるよう努めるものとする。なお、技術力の評価に際しては、中小企業技術革新制度における技術開発補助金等の交付先中小企業のデータベースの活用など、客観的評価に努めるものとする。

13.新規開業者に対する受注機会の増大に向けての措置

 国等は、新市場、新産業の創出・育成による雇用創出の重要性にかんがみ、新規開業中小企業者の受注機会(公共工事を除く。)の増大を図るよう特段の配慮に努めるものとする。
 国等は、新規事業者の入札機会を拡大するために、物品の製造・販売等に係る入札参加資格のあり方の検討を行うものとする。

14.調達手続に関する簡素・合理化

(1) 国等は、競争契約参加資格者の審査について、申請書類の統一化及び申請手続の簡素化等を一層推進するものとする。
(2) 国等は、国における競争契約参加資格審査申請手続の電子化の実施状況及び入札・開札手続の電子化の導入状況等を踏まえ、中小企業者の円滑な対応に留意しつつ、電子的手段の導入に努めるものとする。

15.中小企業者の自主的努力の助長

(1) 国等は、中小企業者の自主的努力を助長するため、官公需に関する情報を、実情に即して電子的手段により提供するよう努めるものとする。特に国等の発注情報の提供については、中小企業団体中央会の協力を得て、中小企業庁を通じて発信される電子メール等電子的手段を活用し、中小企業者へ直接提供するよう努めるものとする。また、競争契約参加資格申請の情報については、官報、掲示等によるほか、中小企業団体中央会等を通じて広く中小企業者に提供するよう努めるものとする。
(2) 国等は、官公需の受注に意欲的な中小企業者の受注能力の向上に資するよう、中小企業者の相談に応じ、資格登録、入札に関する手続等について情報を提供する等必要な指導に努めるものとする。このため、特に、契約担当官等(公団等においてはこれに準ずる役職)を置いている部局ごとに官公需相談担当者を明確にし、「官公需相談窓口」を常設するほか、国等の主要発注機関一覧及び官公需施策の概要の活用等により、中小企業者からの相談が円滑に行われるよう努めるものとする。
(3) 国等は、中小企業者の創業を支援するため、国等の支援策を利用する等研究開発に意欲的な中小企業者の研究成果に関する情報の周知を図る等により、中小企業者の自主的努力を助長するよう努めるものとする。
(4) 国等は、中小企業者が売掛債権を担保とした資金調達を通じて新たな受注機会の確保を図ることができるよう、売掛債権の譲渡禁止特約の解除等の措置を通じ、売掛債権担保融資保証制度、下請セーフティネット債務保証事業等の利用の促進に努めるものとする。
(5) 国等は、中小企業者の活力の再生支援に資するため、中小企業庁において取りまとめる発注機関所在情報等を、中小企業再生支援協議会、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に提供するよう努めるものとする。

中小企業者向け契約目標

 国等は、上記1~15に掲げる措置を講ずること等により、平成17年度における国等の契約のうち、中小企業者向け契約の金額が、約4兆3,441億円となるよう努めるものとする。この金額は、国については約2兆2,658億円、公団等については約2兆783億円とする。

官公需に係る施策の推進

(1) 国等は、本方針について、中小企業者向け契約目標の設定に係る透明性を確保するとともに、一層の普及及び徹底を図るものとする。また、国等の地方支分部局等は、官公需確保対策地方推進協議会の運営等により、地方の実情に即して、中小企業者の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。
(2) 各省各庁等は、上記1~15の各種施策の実施状況を十分に踏まえ、上記1~15の諸項目に関する措置状況を中小企業庁あて通知するなど、中小企業庁と密接な連絡を取るとともに、本方針の進行について地方支分部局等を指導する等適切な管理を行い、本方針の実施について遺憾のないよう努めるものとする。中小企業庁は各省各庁等から通知された措置状況について取りまとめ、その情報の提供を行うものとする。
(3) 国は、地方公共団体に対し、中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるよう要請しているところであるが、その実施に際しては、公共工事の効率的執行の確保に留意し、行き過ぎた施策をとらないよう要請する。
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