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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

有限会社の皆様必見!
~~~株式会社と有限会社どっちにする?~~~

 最近、「新会社法」というタイトルの記事を様々な雑誌で目にするようになってきました。
 皆様も話に聞いたり、新聞でご覧になったりすることがあると思います。この新しい法律は18年4月から施行される予定で、主な改正内容として次のことが挙げられます。
 1.有限会社法の廃止   2.最低資本金規制の撤廃
 3.類似商号規制の廃止  4.株式会社の取締役任期を延長 (2年→10年)など
 今回はこれらの改正内容の中でも有限会社法の廃止に注目していきます。注目する理由は、有限会社の皆様がこの改正に戸惑っていらっしゃるように感じるからです。そこで、有限会社と株式会社のどちらかを選択しようとした際に、頻繁にご質問頂く内容をQ&A方式でご説明致します。

Q1 株式会社にした場合と、有限会社を存続した場合のメリットとデメリットは何ですか?
A1 次の表のようにまとめられます。
  メリット デメリット
有限

株式に変更
事業の拡大志向があり、株式にすることで新規の取引 先獲得に一役買う場合。
会社のイメージアップが期待でき、さらに従業員のモ チベーションアップにつながる場合。
役員改選の登記費用、手間がかかる
決算公告をする義務がある。
(怠った場合、100万円以下の罰則規定あり)
有限のまま
役員改選・決算公告が不要。
有限会社の設立廃止により、希少価値が高まる(将来 高く売れるかも!?)
小規模・家族経営というイメージがあるため、これが 経営の足かせになる場合はデメリットとなる。

Q2 有限会社のまま存続することでメリットのある会社の例はどのような業者ですか?
A2 「株式会社」という名前が営業に直接関係のない、次のような業者です。
屋号を前面に出して営業をしている業種(飲食業、美容業など)
今後、取引先・事業規模に変化がない会社(地域の公共事業に特化した建設業者など)

Q3 株式会社に移行する場合に必要な手続きとコストについて教えて下さい。
A3 次の項目などについて変更の届出が必要です。


 手 続 き

①商号、定款の変更 ②取引先、債権者に対する通知 ③各種名義変更手続:不動産、自動車、銀行口座等 ④社会保険・労働保険:事業所の名称変更届 ⑤許認可の変更届:建設業、飲食業、貨物運送事業、宅地建物取引業などの認可 ⑥異動届出書:税務署、地方事務所、市町村への異動届 ⑦消耗品の作り直し:名刺、印鑑、パンフレット、名入れタオル等(※有限会社のまま存続する場合は上記の手続きは必要ありません。)

 コ ス ト

登記・届出について外部へ委託した場合で12万~20万円というのが一般的な見方です。ただ、株式会社に移行する場合には次のことをご検討下さい。銀行対策として非常に有効な方法があります。
~18年3月まで!? 組織変更により債務超過解消!!~
 土地・株など、時価評価できる資産に含み益がある場合、有限会社から株式会社へ組織変更をすることで評価益を計上できます。これにより繰越欠損を相殺でき、債務超過を解消することが可能です。新会社法施行後は有限から株式への商号変更と見なされてしまうため、この特例を利用できるのは新会社法施行前の今だけです!この時には次の2点をご注意下さい。
 ①繰越欠損が十分にあれば評価益を相殺できますが、法人税が発生する可能性がある。
 ②資本金を1,000万円まで増資する必要がある。

 一般的には株式会社にすることで、「会社の対外的なイメージ・信用力が増す」というメリットが強調されていることがあります。しかし、新会社法の下では、全ての会社にとって株式会社に移行することがベストとは限りません。皆様が自社の状況に合った選択ができるように、また、これから新会社を設立される場合にも、今回ご紹介させていただいたそれぞれのメリット・デメリットを十分ご考慮下さい。詳しいことは監査担当者にお尋ね下さい。

本文は、松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。

 

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