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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

資金調達のいろいろ

1.資金調達の裏技!?

 「すぐにでも投資をしたいが、資金調達は、実行までには2週間程度はかかる。もう少し早く実行される融資はないだろうか?」「営業利益は出ているのに、支払利息が高くて、経常利益は赤字になってしまう…」このように融資において悩まれておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?そのような皆様のために、即日決済可能な小規模企業共済・一般貸付制度と、低金利融資が可能となるセーフティネット保証7号認定をご紹介させていただきます。

 小規模企業共済・一般貸付制度

制度概要 経営者向けの退職金制度である小規模企業共済(注)の掛け金の範囲で簡易迅速に、事業用資金を貸付ける制度(即日決済可能)
※以下要件等になります。詳しくは中小機構HPをご参照ください。

資格要件 加入後、貸付資格判定時(4月末日および10月末日)までに、12ヶ月以上の掛金を納付していること(前納掛金は含まず)、かつ、掛金の納付月数に応じて算定される貸付限度額が、貸付資格判定時において10万円以上に達していること。
貸付額 掛け金の範囲内(上限1,000万円、下限10万円・複数契約者合わせての場合1,500万円上限)
利率 1.5%(平成16年4月1日以降)
貸付期間 ●貸付額105万~300万円・・・6ヶ月、 12ヶ月、24ヶ月
●貸付額305万~500万円・・・6ヶ月、 12ヶ月、24ヶ月または36ヶ月
※その他の貸付額についてはHP参照
償還方法 ● 貸付期間6、12ヶ月・・・期限一括償還
●24、36、60ヶ月・・・6ヶ月後との元金均等 (割賦)
担保保証人 不要

この貸付制度のメリットを列記すると
 ① 即日決済可能
 ② 節税効果(所得控除)+低金利
 ③ 印紙の節税
 ④ 書き換え可能
などがあげられます。
 ②については、たとえば、月々掛け金7万円・所得税率10%・借入額400万円・償還期間36ヶ月とすると、節税効果が約20万円(所得税のみ)、支払利息が約9万円となり、支払利息が所得税の節税効果の範囲内であり、実質無利息となります。③については、借入本数を分けることによって節税可能です。
(注) 小規模企業共済とは、国が運営する経営者向け退職金制度です。加入資格は「常時使用する従業員が20人(商業とサービス業では5人)以下の個人事業主等」で、毎月の掛金は1千円から7万円の範囲で選択可能です。その掛金全額が、所得税の所得控除の対象になります。


 セーフティネット保証・7号認定
制度概要
信用保証協会による金融審査を行い、保証限度額の別枠化を図る制度で、1号から8号までの対象者が定められており、該当する場合は有利な金利での融資を受けられる可能性があります。今回ご紹介させていただく7号認定は、『金融機関の相当程度の経営合理化(支店の削減等)に伴って借入れが減少している中小企業者』となります。
 長野県では八十二銀行、長野銀行、各信用金庫等が、当該金融機関に認定されています。当該金融機関からの借入があり、以下3つの認定要件を満たす場合は、該当することになります。
認定要件 
①金融機関からの直近借入総額のうち指定金融機関からの借入が10%以上占める②指定金融機関の直近借入残高が、前年同期より10%以上減少している③金融機関からの直近借入総額が、前年同期と比較して減少している
 自社の借入状況を見直し、少しでも財務リストラできる道は、まだまだ残されているのではないでしょうか?
金利・保証料
金利1.5~2.1%程度+保証料1%程度(市町村により補給あり)
審査過程
本店所在地のある市町村において認定→指定金融機関へ融資申込みとなります。
 以上ご紹介させていただいた、小規模企業共済一般貸付、セーフティネット保証7号認定はいずれも低金利での融資が可能になります。小規模企業共済一般貸付においては、現在融資を受けている金融機関への金利交渉の材料になり得るかもしれません。また、7号認定については、もし該当するのならば、低金利での融資の道が開かれる可能性もあります。7号認定とともに、5号認定(業況の悪化している業種)についても確認しておくことも大切でしょう。

2.個人の保証が軽くなる?!

 今年の4月1日に保証制度の改正がされ、保証の期限と金額が無制限である包括根保証制度が廃止になりました。その結果、今後の契約に関して期限と金額を定めない場合はすべて無効になります。包括根保証により、過大な責任と経営の再起を阻害されていましたが、廃止になったことで、個人に対する負担が軽減されました。保証は包括根保証だけではなく、他に一般保証と限定根保証があります(表1参照)。その中でも一番負担の大きい包括根保証が問題視されていました。
 包括根保証は、銀行が中小企業に融資を行う際に条件とするケースが多く、保証する期限・金額ともに無制限のため銀行としては都合が良い制度でした。しかし、契約を結んでから2~3年経つと保証人から一方的に任意解約をすることができるため、3年おきに再契約や限定根保証で契約をしています。今回の改正で、個人に対する負担が軽減されましたが、どのように影響するのか取り上げてみます。

表1 限定あり・・・○、限定なし・・・×

保証の種類 債務の範囲 保証の期限 保証の金額
一般保証
根保証 ①限定根保証 ×
②包括根保証 × × ×

I. 保証制度の改正3つのポイント
 保証内容を明確にし、個人に対する負担を軽減する目的で改正が行われ、この保証制度の改正で、書面・金額・期間の3点を明確にしない契約はすべて無効になります。

  改正前 改正後
1 口頭で根保証契約が可能 書面での契約が必要
2 保証する金額に上限がない 保証する金額に上限を定めなければならない
3 無期限で保証する契約が可能 5年以内の期間に発生した債務のみ保証
(期間を定めなかった場合は3年まで縮減されます)

II. 包括根保証の廃止による影響
 包括根保証の廃止で、どのような影響があるのか、1.債権者、2.従来の取引、3.保証人の観点から以下にまとめました。
1.金融機関(債権者)…融資引き上げ
金融機関は包括根保証制度廃止を口実に融資引き上げなどを申出る可能性がありますが、簡単に受け入れてはいけません。それは、金融庁より、それを禁じる指針が地方銀行に発表されているからです。
2.従来の取引…売買契約の保証は今まで通り
貸金等債務に関する根保証契約が廃止の対象になります。貸金等債務とは、金銭の貸し渡しや手形の割引を受けることによって負担する債務をいいますので、商品の取引(売買契約)など金銭を交付しない契約は対象外になります。

 貸金契約……………根保証制度の廃止
 それ以外の契約……今まで通りの保証内容 

3.保証人…解約権の行使
保証人は解約権を行使して一方的に解約ができます。そのためには、債務者が借金を重ね返済に困難な状況になり、これ以上保証を継続すると保証人がリスクを被る場合に限ります。
例
 このように、個人の保証範囲が明確になり負担も軽減される改正になりました。現在、契約している保証書、約定書、基本取引契約書等で自社が、どのような保証で取引をしているのか、また、個人がどの時にどの程度の保証をしているのか、ご確認されてはいかがでしょうか。
本文は松本市巾上の税理士法人成迫会計事務所で執筆していただいたものを掲載いたしました。
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