トピックス東西南北
中小企業連携により地場産業活性化にかける
「地場商品の新用途・デザインの可能性の探求」
飯山仏壇事業協同組合 内山紙協同組合 野沢温泉旅館ホテル事業協同組合
北信地区の地場産業として固有のブランドを有する三つの協同組合が、結びついて活動できたら……。
それぞれが蓄積している技術、製品、サービスを武器にして、横の連携を密にし、地場商品の活路開発に取り組むためのスタートが切られた。
「飯山仏壇」は、飯山地区が古くから仏教信仰の厚い場所として、また近代の城下町・寺社政策によって独自の伝統を守り続け、発展させてきた。仏壇の原材料が地元で調達でき、漆塗りに最適な気象条件であること、豪雪地帯という仏壇産業の特殊性に適した立地条件であること等により、伝統産業工芸品「飯山仏壇」として育んできた。
愛宕町雁木通り(仏壇通り) |
内山紙(協)の組合事務所と原料のコウゾ(左) |
「内山紙」は、約400年の歴史があり、障子紙の代名詞となっている。その強靭さと通気・通光性は、原料にコウゾのみを用いているから。採取したコウゾの皮を雪の上に置きさらすことで、薬品の使用量が少なく自然な白さと日焼けしない丈夫さを持つ和紙ができる。製品は、障子紙だけでなく、その強靱さから筆墨紙としても使用されている。
古くからの温泉地として旅館等の受け皿が整っていたこともあり、長野県でいち早くスキー場として名乗りを上げた野沢温泉は、順調な発展を遂げてきた。行政による観光開発が図られ、近代的な施設が次々とできたが、野沢温泉の一番人気は情緒豊かな街並みで、のんびり温泉を楽しむこと。古さと新しさを併せ持った観光地である。
温泉とスキーという二大要素に加えて、野沢温泉の恵まれた自然を観光資源に活かすために「自然体験学習プログラム」が開発された。
野沢温泉の共同浴場(麻釜湯(左)・大湯(右))
飯山仏壇事業協同組合(高橋栄司理事長)は、新聞・ラジオ広告、各種展示会出展等の広報広告事業、各種祭り学校体験事業、未来の伝統工芸士発掘事業等のイベント事業、伝統技術・技法等講習会等の事業を実施し、飯山仏壇ブランドの活性化に取り組んできている。
内山紙協同組合(阿部一義理事長)は「内山紙」の共同販売事業、薬品・原料・資材の共同購入事業、児童の卒業証書の製作体験等の教育事業を中心とした事業活動を行っている。
野沢温泉旅館ホテル事業協同組合(森行成理事長)は、朝日マリオン宣伝、リクルート社発行誌への協調宣伝、マスコミ宣伝等の各種宣伝事業、組合パック商品の造成と販売、イベントの開催等の宣伝誘客事業を中心とした事業活動を行っている。
愛宕町雁木通り(仏壇通り)において
「飯山市第4回 花フェスタ寺町花街道」
が平成16年10月16日・17日の2日間で開催され、延べ約1万人が来訪した。
協同組合としては、第4回から参加して、花フェスタ実行委員会に参画している。
昨年は、展示・体験コーナーで、飯山仏壇伝統工芸士による「蒔絵」「彫金」「金箔」「彫刻」体験を行った。
今年も同時期に実施する予定である。
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「内山紙」の普及のため、次のような事業に参画している。
飯山市伝統工芸品の「内山紙」をつかった工芸品、美術・造形作品の公募
(主催:「和紙のしごと大賞」コンペティション実行委員会)
第1回和紙のふるさと飯山「和紙のしごと大賞」コンペティション
◆募集内容 |
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①クラフトの部 ②造形の部 |
◆出品料 |
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1点につき5,000円 |
◆応募締切 |
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2005年6月15日 |
◆問合せ先 |
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飯山市役所内 同大賞コンペティション実行委員会
TEL 0269-62-3111 |
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野沢温泉の恵まれた自然を観光資源として活かすために新たに商品開発された。
野沢温泉「自然体験プログラム」のコース
◆コース |
A「新緑の森・紅葉の森トレッキング」
B「毛無山登山と森のトレッキング」
C「野沢の秘境赤滝登山コース」
D「ホタル観賞」
E「魚のつかみ捕り&生態観察」
F「星空散歩」 |
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◆問合せ先…組合事務所 TEL 0269-85-2056
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2月25日、飯山市内において、(株)インターデザインアーレンスの代表取締役中條健之助氏を招いて三組合の交流会が開催された。
検討されたテーマは「地場商品の新用途・デザインの可能性探求」。中央会の指導員がコーディネーター役を務め、三組合の組合員による意見交換がなされ、次のような連携の姿が浮かび上がってきた。
ユーザーの立場を考えて商品開発する。今まで皆が取り組んできたと思う。しかし、ユーザーの思いは多種多様のため、最後は「企画者」「設計者」「デザイナー」等のセンスで商品化されたことも多い。商品の話題性や、機能の実装、コストダウン等については間違いのない従来の取り組み方も、「使いやすさ=ユーザビリティ」に関してはうまくいかない。なぜなら、「作り手」と「ユーザー」の思いの間に生ずるわずかなギャップが、そのまま使いにくさとなって現れ、積み重なっていくからである。よって、「使いやすさ」を実現させるには「ユーザー中心主義」といえる考え方を欠かすことができない。
地場産業活性化にかけるアライアンスのデザインの評価基準としては、「安全性」「採算性」「時代性」「環境性」「審美性」「本物性」がある。デザインは、これらの評価基準をあらゆるモノ・コトに踏襲することによって「金太郎飴」のようにどこを切っても同じ顔が現れる。わかりやすく、しかも豊かな表情をもった生活・情報・環境創造を可能にする。
デザインコントロールは、人材・技術・コストをコントロールするものであり、市町村にとっても大いなる資産として受け継がれるべきものである。
組合間・企業間連携の重要性
- それぞれの組合・組合員企業が不足している技術・ノウハウ・マーケティング等を補完する。
- それぞれが保有する強みである経営資源、経営ノウハウ等を共有でき、シナジー(相乗効果)が期待できる。
- 地域の特徴的な産業を持続させ、ときには新しい産業の創出を生み出すことができる。
- 限られた資本の中で、経営のスピードアップにつながり、効果をあげることができる。
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- ニーズを探り、マーケティング機能の役割・顧客との接点(新たな商品・サービスを開発するニーズとマーケティング機能は野沢温泉にあるのではないか)
- そのものには、物語性が必要ではないか(内山紙の和紙の良さと暖かみ、飯山仏壇の厳選された素材、彫刻、漆塗り、蒔絵等の要素技術)
三組合が連携してすぐにでも取り組める商品としては、「内山紙の小袋」「仕切板」等の意見が出された。「本物は残る
」という概念が理解でき、今後は新たな商品開発・新用途開発について連携を深めて取り組んでいくことでその可能性を追求していくことになる。
(取材構成 北信事務所)
~組合間連携のきっかけづくり~
もうひとつの組合間交流会開催
(協)北信州住まいと暮らしの情報館
(企)C&Cハーモニックス
平成17年2月2日(水)には、中野市内において、両組合の組合員が「地域を支える介護福祉」をテーマにNPO法人明日のシニアを考える会の児島昭理事長を専門家として研修会・組合間交流会が開催された。
(協)北信州住まいと暮らしの情報館(勝山要助理事長)は、建設関係の異業種で構成された協同組合。共同受注事業を中心に事業展開を行っている。一方、(企)C&Cハーモニックス(小山菜穂子理事長)は、それぞれ個々の専門性を仕事に活かすために女性だけで設立され、コンサルタント業務を中心とした事業活動を行ってきている企業組合。
このまったく関係のない2つの組合が何か連携してできないか、交流の場が設けられ、次のような意見交換がなされた。
- ハウスメーカーと違い、地域密着の仕事を行っているので、人と人の心と心のつながりが大切。コミュニケーションをとるためのコンサルタントとしての立場でC&Cのメンバーが支援。
- 住空間にはカラーが重要な要素を占める。カラーアドバイスと女性的なユーザー感覚としての情報提供が可能。
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