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更新日:2006/03/30

短期連載 マガさんの激動中国記 その10

短期連載 マガさんの激動中国記 その101978年、改革開放を打ち出した中国はその後遅々とした歩みながらも路線を維持し92年、小平による「南方講話」から一気に加速、日本の円高による海外拠点建設にも乗り、華南地区から始まった経済成長には目を見張るものがあります。その中国に94年から現在まで10年に亘って単身乗り込み、成長の「表」も「裏」も知り尽くした「マガさん」が見ている中国の真実の10回目です。

 

中国、日本、韓国、米国の国旗が
中国、日本、韓国、米国の国旗が

 ゴルフのことについて書いておこうと思います。1年の半分近くクローズする長野県のゴルフ場と違い、ここ中国華南は1年中ゴルフが出来ます。特に長野がすっぽり雪に覆われる12月~4月は絶好のゴルフシーズンです。逆に6月頃から9月は暑さとの戦いで体力勝負になります。中国でのゴルフの歴史は未だ20年そこそこで、それも80年代に広東省に進出した外国企業の人達によって始められたようです。”中山温泉ゴルフクラブ“と”深ゴルフクラブ“がその草分けで、日中合弁により開発されたものです。私も94年赴任当初順徳でしたので、中山温泉ゴルフクラブへ行きました。当時は日曜日でもビジターだけでプレーが出来ましたが、最近の中国のゴルフ場も多くは土、日はメンバー同伴でないとプレー出来ません。華南地区には50ケ所のゴルフ場があります。全国で150ケ所ですから1/3はこの地方にあるという事です。中でも深の觀瀾鎮にあるミッションヒルズGCは10コース180ホールを有し、95年にワールドカップが開催された時、観戦に行きましたが大勢のギャラリーで、こんなにゴルフ人口があったのかと驚きました。
 ところが子供は遊園地と勘違いして、そこらじゅうを飛び回るは、女性がハイヒールでグリーンを歩くはと、とんでもない光景を見ました。がその後このミッションヒルズはタイガーウッズを呼んだり、BJシン、グレッグノーマンと世界のトッププロを招いてイベントを行い、コース環境も整って一流のゴルフコースになりました。
 中国でのプレー代は週末が1,000RMB(15,000j¥)前後が多くビジターにとっては非常に高価です。やはり一般に普及するにはパブリックコースが必要ですが、未だ中国では深に1ヶ所あるだけでまだまだ日本のような身近なスポーツとは程遠い状態です。この地区での会員券は30万RMB(450万j¥)前後が多く前記のミッションヒルズ、深GC等は1、000万~1、500万j¥もしますし、安い所で150万j¥と、バブルが弾けた今の日本に比べたら非常に高価です。しかし、企業経営に成功した第一世代に代わってそれを引き継いだ第二世代が30、40歳代になり外国相手の仕事が増えてきたため、その延長でゴルフをするようになり、90年代外国人が95%だったゴルフ人口が00年以降中国人が20%近くとなり、一方日本人ゴルファーはしぼんでいる。日系企業は増えたがゴルフ人口は増えていない。日本の深刻な不況はこんなところにも現れているようです。
 お金賭けると真面目になるでしょう!賭けないとどーでもよくなっちゃう、これが中国人のゴルファー気質。ゴルフはVIPの娯楽として”麻雀“に次ぐポピュラーなスポーツ?になってきています。彼らの上達は非常に早いです。基本的に”賭けゴルフ“だから眼の色を変えて練習するわけです。彼らの賭け方は半端じゃあないみたいです。日本人は精々チョコレート1枚10元(150j¥)ですが彼らのそれは一桁違うようです。
 中国ではゴルフクラブが安い、と言っても見た目はれっきとしたブランド品?です。クラブフルセットにキャディバッグ、おまけにボストンと手袋まで付いて1、500RMB(22,500j¥)で買えます。 最近はゴルフ場の近くには必ず2軒ぐらいのゴルフショップが出来ていますが、これが結構ちゃんとしていて充分使えます。しかしドライバー等のウッドは今イチ性能が悪いようで、台湾製の物はもう少し値段も品質も高くて3,000RMB(45,000j¥)位します。世界中のブランド品があり、最新モデル等も頼めば1週間位で届きますが、各メーカーもこの贋物対策に日々、法廷の場で戦っているようです…。
 ゴルフ場に行って一番感じる事は中国人、台湾人、韓国人は、このマナーを一番大切にするスポーツに対する考え方が少しチョット間違っているのでは?ということです。前記の賭けに集中する余りに後続組に対する配慮が全然ない、仲間同士大声で騒いでいる、ホールとホールの待ち時間に賭けトランプをしている、など我々日本人には理解出来ない人達がいます。
 ここ広東省では今後新しいゴルフ場は許可されないだろうと言われています。工業化が進み農地が減少して、農産物輸入国になってしまった。もうこれ以上農地を減らす事は禁止という事らしいです。が、他省ではここ数年でかなりのゴルフ場が新設されるようです。中国が今後も7~8%の経済成長を維持し続けるとすれば今後更に多くのゴルフコースが誕生する事でしょう。北京オリンピックが終わり上海万博の熱が冷めた頃には中国は世界に誇るゴルフ環境が整った場所になる事でしょう。私も健康管理と体力維持の為に殆ど毎週末はゴルフに行きます。最短距離(車で約30分)にあるコースの会員券を買いました(10万HK$=150万j¥)ので1回200RMB(3,000j¥)ですから1ケ月7~8回やっても20,000円前後で済みます。またここでのゴルフコンペは色々な企業の人達と知り合う場所にもなっています。数ヶ所のコンペに参加していますが中でもユニークな会があります。
 会の名前が”なすびの会“。何でこの名前が付いたかと言うと発足当初は関西系の人が多くしかも初心者で発足した為へたな人達が多かった。下手な人達の会と言う事で、関西方面では野菜の茄子の事をなすびと言い、茄子にはヘタがありますので、なすびの会としたそうです。ところが回数を重ねる毎に多くの人が上達したり上手な人が新規に入会したりでへたな人達の会では無くなって来ました。そこで今度は映画のジョーズから取って上手な人の会、サメの会にしようと提案があり、そうなる日が近くなって来ました(笑)。
 この会に参加して、多くの知り合いが出来ましたし仕事に繋がったこともあります。今、中国のゴルフはかつての日本のように顧客との接待の場所として、また多くの人達との交流の場所として重要な位置付けになっています。

背後には工場が建ち並ぶ市街地が
背後には工場が建ち並ぶ市街地が

 最近の華南では日本人がキャディー仲間での評判が悪い。それはチップの額の問題です。一般に台湾人は100元、香港人は50~80元、韓国人が50元に対して日本人は20元か、払わない人もいます。何故でしょう。これはゴルフそのものに対する考え方の違いとゴルフをする人の層の違いだと思います。日本人以外はゴルフを特定層の人達の社交や賭け事の手段としている為に経済的にも余裕のある人達が多いので面子を考えています。日本人は健康や身近なスポーツとしてとらえています。そして日本人はキャディーに対して20元位が相場との考えがあります(工場の工員の日給が一日15~20元位)。又くれない人はチップを渡す事そのものを知らないのでしょう。華東(上海方面)では殆どのゴルフ場は日本同様にキャディーに対するチップは必要ありませんからね!聞く所によると、あるゴルフ場はキャディーに対して給料は無くて客からのチップが彼女達の収入の全てという所もあるようですし、又ある所は個人的に貰ったチップは1ヶ月全部まとめて全員に均等割りをするというような話も聞きました。いずれにしてもゴルフに限らず他の娯楽場(カラオケ等)でも日本人はケチだと言われていますが、元々我々日本ではチップそのものに対する習慣が無い社会で生活して来ていますので、チップに対する考え方が理解できていない事も大いに影響しているのでしょう。中国では自分達に都合の良い事は外国の真似を取り入れ、都合の悪い事は中国の古くからの習慣ですから、と使い分ける傾向が強くある事も事実です。

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