短期連載 マガさんの激動中国記 その9
1978年、改革開放を打ち出した中国はその後遅々とした歩みながらも路線を維持し92年、 小平による「南方講話」から一気に加速、日本の円高による海外拠点建設にも乗り、華南地区から始まった経済成長には目を見張るものがあります。その中国に94年から現在まで10年に亘って単身乗り込み、成長の「表」も「裏」も知り尽くした「マガさん」が見ている中国の真実の9回目です。
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「深 空港のクリスマスツリー」 |
皆様、新年あけましておめでとうございます。こちらでは(新年好 シンネンハオ)と言います。その後へ(恭賀発財 ゴンシーファーツァイ)と付けると年長者は独身の年少者にお年玉(紅包)をくれる習慣があります。これは旧暦の正月(今年は2月9日です)の事で新暦の正月にはありません。
中国の新年は旧暦で祝いますので新暦の休みは1月1日だけです。以前はあまり感じられなかった新年も最近は方々の工場正門にお祝いの横断幕が掲げられたり、街のスーパーがセールを、またTVもショーを放映したりと、こんな所にも国際化を感じます。
昨年後半から中国国内の利上げなど金融引き締めと、原材料の値上げなどで厳しい局面が見えましたが、果たして今年はどうなるでしょう?
2005年(中国では日本の様な昭和とか平成の呼称はなく西暦です)が皆様にとって素晴らしい年であります事をお祈り致します。
今年も引き続き皆様に、中国の現状や身の回りの出来事をお伝えしていきたいと思っています。
急激に経済発展する中国において、電力問題と交通事情は、そのスピードにインフラ整備が追いつかない代表でしょう。電力事情はここ2、3年良くなってきたと思ったのですが一昨年、昨年はまた逆戻りした感があります。政府も各所に発電所(殆ど火力)を建設中で1、2年の間に電力問題は解決される、と言ってますが果たして?そんな事情から自家発電を導入する会社が増えてジェネレーターが品不足、また値上がりしています。そして中古のジェネレーターを修理する為には、部品が必要になるわけですが、それを何処から調達するか!?私の会社がその調達先になってしまいました。7月初旬の夜間、排気口の鉄格子を壊して侵入され、オイルポンプ、制御盤その他の重要部品が盗難に遭いました。金額およそ6万HK$(100万JP\)。その部品の外し方も素人の仕業ではない。めぼしを付けて狙われたとすれば、会社内部に何らかの形で関係した人間が存在する(公安の見解)様ですが、おそらく犯人は見つからないでしょう。
交通事情も最悪に近づいている!
道路はいたる所で渋滞しています。車もこの10年で6倍になっているそうで、その上、華南は香港経由での輸出荷物が多い為、大型の貨物車が非常に多くて従来からの一般道路はこの大型トラックやトレーラー、大型バスが道を占領し、その間をぬって一般車が走っているといった感じです。その上この大型車の運転手の質が悪いので渋滞に拍車をかけています。高速道路もかなり建設されていますので近い将来、交通事情は改善されるかも?車の増加とイタチごっこのような気もしますが、いずれにしてもここ常平は現在常平~蛇口、常平~虎門と2本の高速道路が建設中で2004年中には完成する予定です。これで深 、広州、珠海等華南各地への車の便はかなり良くなると期待していますが、どうでしょう?。
一般道路での交差点は、以前は殆ど左回りのロータリーでした。さすが土地の有る中国だなあ、と信号付の平面交差しか知らなかった私には非常に新鮮に感じられた物でした。ところがルール違反車が有るとたちまち渋滞するこの方式は車の量が多くなり、また頻繁に発生するルール違反とで2000年頃からこのロータリー方式が機能しなくなってしまいました。そこで各地で信号付の交差点への改修工事が行われ、04年現在はロータリー方式の交差点は殆ど姿を消しました。新たに登場した信号機付の交差点も初めの内は信号を守らない車が多くて、いたるところの交差点が渋滞していましたが公安の指導?と違反車を写真に撮ってナンバーから罰金を科す、地元のテレビで放映する(実際に違反車が画面に出てナンバーと所有者の名前が写し出される)などが行われた結果、最近では信号付の交差点は比較的スムースに流れています。ところが相変わらず信号の無い交差点や、工事等で車線が少なくなる所では物凄い渋滞です。私が感じる一番の原因としては各車の運転者が自分の事しか考えていない、渋滞していても前の車の後ろへ着こうとしない、反対車線を走ってでも前へ出ようとする車があります。その結果、例えば2車線の道路に4~5車線分の車が渋滞し我先にと前進する。結果お互いに動けなくなって更に大渋滞へと発展してしまう、交差点のまん中で両方から来た車が鉢合わせ状態でそこに後続車が突っ込んでどうにもならなくなっている。こんな状態がいたるところで起こっています。こんな状態が無くなるのはいつの事でしょうか?私は最近、中国人で日本に13年滞在し孔子の第75代直系子孫だと言う孔健氏の書いた講談社発行の”日本人は永遠に中国人を理解出来ない“の本にその原因の様なものを見つけました。それは…、中華民族は元々狩猟(騎馬)民族である。狩猟生活をしていた時代、人の後から付いていったのでは獲物にありつけない。また一定の場所に定住せず新しい獲物が居るところへ絶えず移動をして生活していた。そんな民族の歴史が今尚、脈脈と続いているとしたら、日常生活の中で感じる事、1.絶対に人の後ろへ付かない。若しチャンスがあればスッと前へ出る(これで獲物を得るチャンスは多くなる)2.人の事なんか考えていられない、先ず自分の事だけ考える。3.食べ物を食い散らかしても何とも感じない(絶えず移動しているから汚しても綺麗な場所へ移動すれば問題ない)それらが理解できるような気がしています。
それに比べ、大和民族は農耕民族で一定の土地を耕し、そこで先祖代々の場所を守る生活をしてきた民族です。私も在中国10年になり、多くの中国人の友達も出来ましたが、付き合いの中で「あーやっぱりなー」と言う事が結構有って、如何しても日本人同士の付き合いの様にはならないのが残念です。
”郷に入っては郷に従え“表面的には前記1、2、3の様な事を自分でもしている時があってハッとさせられますが、此方にいる以上多くの中国人と接し生活している訳ですから彼らを理解し自分もその一員になる努力はするべきでしょう。
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平成16年11月26日

曲渕@東莞です。
今回は先日出ました広東省の最低賃金に付いての情報を送ります。
以前は内陸からの出稼ぎと言えば広東省と相場が決まっていたものが、最近はその2/3は華東へ流れ、華南に人手不足が発生して来ています。特に低賃金企業は労働者不足が問題になっています。そんな企業の労働力を確保する為にも最低賃金の引き上げが必要になったというところでしょうか。
また外国人の個人所得税に付いては今年の6月に一旦調整申請の期限が有りましたが、実際には12月まで伸ばしていましたので来年から本格的に監査が入るようです。これで引っかかる人が相当出るような気がしますが、どうでしょう?
材料高騰、円高、RMB切り上げ問題、安定成長の中国でも怪しい雲行きになって来ていますが全体の雰囲気はまだまだ活況です。
広東省、最低賃金引き上げ(中国)
広東省労働・社会保障庁は、このほど2年ぶりに最低賃金の引き上げを発表した。平均で8.6%の上昇となっており、12月1日から適用される。
低賃金企業での労働者不足が問題となっている広東省では、労働力を確保するためにも最低賃金の引き上げが必要と言われてきた。今回発表された最低賃金基準は、これまでと同様に1~7類に分類されており、各市は現地の経済状況に基づいてこれらの中から1種類ないしは2種類の基準を選定、採用する。「1類」の基準額を採用するとみられる広州市では、1ヵ月当たりの最低賃金はこれまでの510元(1元=約13円)から684元に引き上げられることとなる。
分類 |
改定後
(社会保険料個人負担分込) |
改定前
(社会保険料個人負担分含まず) |
1 |
680 |
510 |
2 |
574 |
450 |
3 |
494 |
400 |
4 |
446 |
360 |
5 |
410 |
330 |
6 |
377 |
300 |
7 |
352 |
280 |
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同庁によると、今回発表された最低賃金基準には、これまで最低賃金に加えて別途支給すべきとされていた社会保険料(養老保険:8%、医療保険:2%、失業保険:1%)の個人負担分を組み込んでいる。広州市を例にとると、最低賃金レベルでの社会保険料の個人負担額は合計155元(注1)となり、改定後の最低賃金は実質19元の引き上げにとどまることとなる(注2)。
この背景には、これまで社会保険料個人負担分を支給しない企業も一部あったため、社会保険料を最低賃金に組み込むことで労働者の雇用環境を改善し、労働者不足問題の解決の糸口にしたいという意図があるようだ。一方で、企業に対する急激なコスト上昇は外資導入にも悪影響が出ることから、見た目には大幅な賃金上昇でありながら、実質的にはわずかいう措置が採られたものとみられる。
なお、深 市では「深 市経済特区最低賃金条例」が適用され、広東省の最低賃金基準の限りではない。2004年の最低賃金は特区内が月610元、特区外が480元となっている。
(注1) |
企業負担の社会保険料は含まれていない。 |
(注2) |
これまでの社会保険料の計上基準は、広州市の場合、2003年の平均月給の60%
(1,412元)の下限があてはまるため、規定値が155元となる(2004年8月5日記事参照)。 |
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