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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30
短期連載 マガさんの激動中国記 その8 1978年、改革開放を打ち出した中国はその後遅々とした歩みながらも路線を維持し92年、小平による「南方講話」から一気に加速、日本の円高による海外拠点建設にも乗り、華南地区から始まった経済成長には目を見張るものがあります。その中国に94年から現在まで10年に亘って単身乗り込み、成長の「表」も「裏」も知り尽くした「マガさん」が見ている中国の真実の8回目です。

案内してくれた工場の通訳小姐
案内してくれた工場の通訳小姐
 上海近郊の蘇州についてお話します。
 蘇州の街は上海とは趣きが違います。上海がアヘン戦争によって植民地(租界)となって、世界の列強がそこを拠点に中国貿易を始めて上海が発展する前の清の時代までは、この蘇州は、この地方の中心地であり、京杭運河を利用してかなり国内貿易が盛んに行われ「上に天堂、下に蘇、杭有り」と言われるぐらい、物が豊富で豊かな地方でした。ところがそんな所にも世界各地から工場が進出して、新区、園区と2ヶ所の巨大な工業区が出現。かつての穀物畑も工場群の下に埋もれつつあります。
 運河の街、蘇州市の中心街では殆どそんな雰囲気はありませんが、一部城壁が残る郊外は縦横に運河が走っています。この運河は隋代(AD500年頃)に中国大陸を南北にかけ(北京~杭州間、約1,700km)造られたのです!想像を絶する人手と日数が掛かった事でしょう。今でもその運河を利用し、船による輸送が盛んに行われています。特に日本では張継の詩(楓橋夜泊)で有名な寒山寺の近くは多くの運河があり蘇州の雰囲気が充分味わえました。
観光客が必ず訪れる拙政園
観光客が必ず訪れる拙政園
 上海を拠点として華東地区と言われているこの地方には、上海市近郊の松江区、青浦区、嘉定区などに、台湾企業を中心として、多くの生産工場があります。そして1~2時間で到達する昆山、蘇州、無錫(江蘇省)、杭州(浙江省)には日本の大手電機メーカーの殆どが進出しています。ですから中小の場合も殆どがメーカーとの縦系列の関係企業が多く、系列を持たない多くの部品企業が進出している華南地区とはこの辺がチョット違う感じがしました。
 華南の話に戻ります。ここで一般の人達の交通手段を紹介します。まず公共のバス。これはバスターミナルがあって、そこから市内各所へ、またかなり長距離へのバスが出ています。短距離のバスは木の椅子で空調もなく停留所も定まっていないから、適当な所で手を上げると止まって乗せてくれますし、声を掛けると何処でも降ろしてくれます。
 ところが、最近は短距離でも殆どのバスが冷暖房付のソフトシートに変わってきました。しかし時刻表なし、停留所なしは相変わらずで、何処でも右によって止まる、発車して中央へ出る。交通ルールを守らない代表がバス、次いでタクシーと、本来公共の乗り物で一番ルールを守る立場の人達のモラルが低くて交通渋滞の大きな原因の一つになっています。
1. バス バスの次はタクシーです。2. 一番安いのはバイクタクシー
以前のままの空調のない木椅子のバス 最近は空調付、窓は閉めてソフトシート 客待ちタクシーの運転手達(公認のユニホーム)
以前のままの空調のない木椅子のバス 最近は空調付、窓は閉めて
ソフトシート
客待ちタクシーの運転手達
(公認のユニホーム)
3. 次がトラックタクシー 4. 最後は通常のタクシー
時には後部シートに何人も乗れる 最近は空調の効くこんなタイプが多い 未だこの辺はバイク、トラックに比べて少ない
時には後部シートに
何人も乗れる
最近は空調の効く
こんなタイプが多い
未だこの辺はバイク、
トラックに比べて少ない

 バス以外、全て乗車前に料金交渉、タクシーはメーターが付いているが単なる飾り。
 大体の料金は2~3kmでバイク=5元(70円)、トラック10元(140円)、タクシー20元(240円)位です。
 タクシーは都市部で初乗り3kmで8~10元だからタクシーの近距離は非常に高い、だから近距離でタクシーを利用する人は殆どいません。最近深市内はメーター通りに走るタクシーが殆どになって来ましたがここ東莞は未だ料金交渉して納得してからでないと、とんでもない料金を請求される事があります。
 上海は発票(領収書)がパンチされて出てくるので黙っていても領収書を貰えるが、当地では言うと仕方なしの感じで紙切れみたいな領収書をくれます。
 今年も1年が過ぎようとしています。中国には日本でいうところの「年末年始休暇」はなく、元日の1日だけが休みとなります。そのかわり、旧正月(今年は2月9日)に2週間前後の「春節休暇」があります。皆さんの中には中国は旧暦で1ヶ月遅れだから2月1日が新年と思っている方がおられると思いますが、中国では個人の誕生日や各節の行事は太陰暦(農暦と言います)を使いますので毎年正月が異なります(1月下旬から2月の中旬)。この時期は中国名物、出稼ぎ労働者の帰郷で各地の交通機関が混雑して毎年死者が出たりします。ですから最近はこの時期をずらして帰郷したり、逆に家族を呼び寄せたりする人達も多くなって来ました。中国の正月の様子は3月号のコラム等で紹介しようと思っています。
 皆様にはよいお年をお迎えください。

コラム マガさんのホットレポート

11月16日

 こちらは、10月の初め降って以来1ケ月半以上一滴も雨が降りません。かなり空気が汚れてきていますがその割に適当に湿度があって1年中で一番過ごしやすい季節と言えるでしょう。今日久し振りに雨が降りました。そして少し寒くなり初めて長袖のワイシャツを着ました。
 景気の方も何か怪しい雰囲気になってきました。材料の高騰で利益率が大幅ダウン。値上げ交渉に営業は四苦八苦しています。年末に掛けての景気の冷え込みが心配です。
 ところで先日フイリピンで鉄道のレールが盗まれて列車が転覆した事故をTVで報道されていたのを見て、中国では高圧送電線の鉄塔のカスガイ部分の鉄アングルが盗まれたのをTVが報道していたのを思い出しました。死人が出る列車転覆に繋がる盗難に比べたらまだ可愛いか!
 11月7日に当地東莞東部日本人会の行事として、初めて日帰りのバス旅行を実施しました。30名の参加でしたが、中国革命家で有名な孫中山の故居と珠海、澳門(マカオ)観光でした。当地での娯楽と言えばゴルフにカラオケが相場。たまにはこんな楽しみもあって良いかなといった感じでした。


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