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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

特集1「2004年のものづくり白書」のポイント

第3章 ものづくりの基盤を支える研究開発・学習の振興

第1節 産業力強化のための 研究開発の推進

1. 大学等公的機関における基礎研究の推進
 ものづくり基盤技術に資する研究開発を推進するため、「科学技術創造立国」の実現とその担い手となる人材の養成・確保のため、競争的な各種研究費の充実、大学・大学共同利用機関の共同利用体制の充実等の各種施策を展開。

2. 重点4分野を中心とした実用化のための研究開発プロジェクトの推進
 主要4分野(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料)において、経済活性化に向けた明確な目標、具体的なビジョンを持った研究開発プロジェクトを戦略的に推進。

3. 産学連携策の強化
 TLOの設置や知的財産本部の整備の推進により、国立大学などと民間などとの共同研究が飛躍的に増大するとともに、大学発ベンチャー企業も増加。
 国立大学等における産学連携は飛躍的に増大。
 ―平成16年4月の国立大学等の法人化により、一層の進展が期待される。(図表32)

図表32 国立大学などと民間などとの共同研究の実施件数

図表32 国立大学などと民間などとの共同研究の実施件数

 

第2節 学校教育でのものづくりに教育に関する取組

1. 初等中等教育におけるものづくり教育の現状
 初等中等教育では、特に工業高校を始めとする専門高校において、我が国のものづくり産業の担い手となるスペシャリストを養成すべくインターンシップ(就業体験)などの実践的な教育を行っている。また、小・中・高等学校において、学習指導要領に基づき、関係教科の中で、ものづくりに関する教育を行っている。
 高校生などのインターンシップの実施率は着実に増加しているが、インターンシップについては、望ましい勤労観・職業観の醸成等極めて高い教育的効果が期待されることから、各種会議においてインターンシップの重要性について周知を図ったり、関係省が連携した受け入れ先の開拓などにより、普通科高校も含めた実施率の更なる向上を図っている。
 インターンシップ実施率は着実に増加している。(図表33)
 文部科学省では、科学技術・理科教育の充実のための取組を総合的・一体的に推進する「科学技術・理科大好きプラン」を開始。(図表34)

図表33 インターシップ実施状況

図表33  インターシップ実施状況

 

図表34

図表34 科学技術・理科大好きプラン及び関連施策

2. 「若者自立・挑戦プラン」における教育関係の取組
 「若者自立・挑戦プラン」における教育関係の取組として、就業体験(インターンシップ)などを通じたキャリア教育の充実を推進。また、インターンシップの充実、地域人材のキャリア・アドバイザーとしての活用、企業実習と一体になった教育を実施する「日本版デュアルシステム(実務・教育連結型人材育成システム)」や、企業等のニーズを踏まえた「短期教育プログラム」の開発・導入等により、若者の勤労観・職業観の醸成や就業に関わる基礎的な能力の付与を図り、若者の職業的自立を支援。
 「若者自立・挑戦プラン」における教育関係の取組。(図表35)

図表35 キャリア教育総合計画の推進

図表35 キャリア教育総合計画の推進

 

第3節 生涯学習分野でのものづくり人材の育成に関する取組

 ものづくりのすそ野を広げるためには、ものづくりの楽しさや重要性について普及・啓発を図ることが必要であり、学校教育以外の場においても、科学館活動などを通じてものづくりに親しむ各種機会を提供。
 経済のグローバル化や技術革新、労働者の就業意識の多様化の中、社会人が生涯を通じて最新かつ高度な技術や能力を身につけるため、社会人の大学等でのキャリアアップの機会を拡充。
 地域において、公民館、博物館や教室開放におけるものづくり教室・科学実験教室等、子どもたちに対する体験的な学習機会を提供。

金型・プレスのスペシャリスト養成をめざして。
「平林塾」―松本で来年3月まで毎月開催

 ものづくりを支える人材の能力低下、技能継承の危機が懸念されている。「ものづくり白書」(2004年6月1日閣議決定・国会報告)によれば、製造現場の技能継承について、6割の企業(大企業では8割)が危機感を抱いているという。
 工作機械のNC化・自動制御化により、製造現場の固有技術やノウハウが習得、蓄積され難く、高度生産技術者、つまりその道のプロ、スペシャリストが育ち難くなっている。しかし、その一方で、国際競争力のある付加価値の高いものづくりにおいて、このようなスペシャリストの存在が重要なカギを握る。
 そんな中、松本地方事務所、長野県テクノ財団アルプスハイランド地域センターなどでは今年8月から毎月1回、金型・プレスのスペシャリストを育成する講座「平林塾」を開催している(来年3月まで)。
 対象は主に松本地域の製造業で働く35歳未満の人。企業や訓練機関等を会場に工法研究から独自製品の試作までを行い、開発・加工一体型のプロのスペシャリスト養成をめざす。
 商品ライフサイクルの短期化、部品の最適調達が進む中、地域製造業にとって金型製造の高精度化・短納期化は至上命題。特に松本地域は人材育成を担う工業系大学・専門学校が少なく、諏訪地域のような企業間における技術伝承の仕組みもない。そこで企業の枠にとらわれず、地域全体で金型・プレス技術のレベルアップを図ろうという取り組みだ。
 超精密部品の金型開発、プレス加工のサイベックコーポレーション(塩尻市)の平林健吾社長を塾長に、企業等の外部講師が講師を務める。

◆主な講座内容
「プレス&金型関連の動向と新たな工法」
「製品の材質及び形状によるプレス加工技術のネックと対策検討」
「超精密プレス機等最先端加工機械のメーカー及び活用企業等の現場研修」 
「最適工法の発掘」
〈第2ステップ〉(高付加価値化事例研究)
「切削加工品等領域外品のプレス加工による高付加価値化研究」
「プレス加工による付加価値加工開発」
「難加工品へのグレードアップ検討」
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