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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30
短期連載 マガさんの激動中国記 その2 1978年、改革開放を打ち出した中国はその後遅々とした歩みながらも路線を維持し92年、小平による「南方講話」から一気に加速、日本の円高による海外拠点建設にも乗り、華南地区から始まった経済成長には目を見張るものがあります。その中国に94年から現在まで10年に亘って単身乗り込み、成長の「表」も「裏」も知り尽くした「マガさん」が見ている中国の真実の2回目です。

あるレストランでの出来事、栓抜きは手製の素晴らしい物でした、おもわずシャッター
あるレストランでの出来事、栓抜きは手製の素晴らしい物でした、おもわずシャッター
 一般の人達の日常生活では国や他人を信用しない風潮が強く感じられます。公安(警察)も信用できない、とか何をするにも裏が存在する社会では人を信用する事などなかなかできないのです。人を見たら泥棒と思え!という諺が、日本でもありましたが正に今の中国はそれです。私も2ヶ月で自転車を3台盗まれたことがあります(太いワイヤーのしっかりした鍵をかけておいてです)。また日本の会社関係者でも出張に来て沢山の人が泥棒にあっています。かつて中国の治安ワースト1は東莞、2は深と言われていました。
 信用が通用しない社会だからすべて現金先払い(電話等の公共料金も)です。そして一般道路を利用しての車移動ではいたるところで入村料なる通行料を徴収している(日本の高速や有料道路の料金とは意味が違う)。この金が何に使用されているか?皆知らないと言う。多分大部分はその地区の役人達のフトコロに入るらしい…?
 1997年7月1日の香港返還は世界的に大きく報道され、お祭り騒ぎの返還行事を経て以前と何も変わることなく中国へと返還され、150年に亘る英国支配に終止符を打ちましたが、返還前の5~6月頃、中国内陸部では英国と中国が返還をめぐって戦争になる、と言う噂が広まり多くのワーカー(出稼ぎ労働者)が帰郷してしまい広東省地区の工場が大パニックになりました。私の駐在した工場も急に1日で30~50人ものワーカーが退職、帰郷して納期トラブルが発生、急きょ工場長が自分の故郷である海南島へ行って人集めをして30数名を連れてきて急場をしのぎました。この様に内陸部の田舎では村人同士の噂話を信用して新聞やラジオ、テレビが信用されないという我々にはとても想像できないことが起こりました。だからいくら工場で皆に説明し戦争等絶対ないと言っても親からの手紙の方を信用して帰郷するワーカーが続出したのです。否定された儒教思想が脈脈と受け継がれているという事でしょうか。後で判った事ですがこのデマを流した張本人は長距離バスの運転手で、彼らはこれによって平時の数倍の利益を得たそうです(普段より20~30%運賃値上がりし、その上多くの乗客が利用した)。今の中国ではこのようにアイディア1つで大儲けができる要素が沢山あるのです。例えば、タクシー運転手は一定額(8千~1萬元/月・約15万円)を会社へ納めるとそれ以上は全部自分の収入になるシステムです。だから兄弟や友人と組んで2交代で24時間営業して稼いでいる人達が沢山います。彼らは数年間一生懸命稼いで自分の車を買って営業許可を取る、今度は会社へ納める分がなくなるから更に収入が増える、又若い連中は何人かで組んで白タク(違法)をしてかなり稼いでいる。こういう人たちは,その稼いだ資金を元に会社を起こして将来は金持ちの仲間入りをして行くのでしょう。
現在は文中の11ヶまではいきませんが!
現在は文中の11ヶまではいきませんが!
 現地での日常生活は工場まで歩いて3分ぐらいの所にアパートを借りました。安全面を考慮して1、2階は工場幹部の宿舎、3階にオーナー家族が住んでいるアパートの4階を我々の宿舎としました。1フロアー5LDKで家賃は電気、水道を含めて1、500元/月(約24、000円)です。食事代は3、000元/月(約5万円)有れば充分です。そのほかに炊事、洗濯、掃除のメイドさんを雇っても月10万円以下で生活できます。これは97年頃の事ですが04年の現在も大都市(北京、上海、etc)以外は殆んど変わっていません。しかし決して住み易い環境とは言えません。シャワーの最中突然水道が止まって裸のままどうしようもない事も有りました。又時々停電もするからローソクは何時でも用意しています。その他にゴキブリが同居していますので時々夜寝ているときに枕もとや顔の上を飛びます。そして蚊がいるので蚊取り線香(電気式のものが売られてます)は1年中使用しています。これでも一般的には程度の良い方ですが決して快適とは言えません。綺麗好きの人や神経質の人はとても生活できる環境ではありません。特にトイレはよほどの覚悟が必要です(場所によってかなりの差はありますが)。観光地はほとんどが有料(2角:3円)ですが決して綺麗ではありません。その上日本人には考えられないことですが、大便所が個室になっていないので、観光で中国へ行く人は朝必ずホテルで用を足して行かないと大変なことになります。工場でもワーカーのトイレは個室にはなっていますが中央に50×70cmぐらいの溝が前後に走っていて水が流れているだけなので、前の人の放出物が眼下を流れてゆきます。自然状態ですからトイレ周辺はとても臭い。トイレは文化のバロメーターだと思いますがこの辺からも中国の文化水準はまだまだですが、最近はかなり改善されてきました。トイレさえ鍵が必要ですからすべて鍵の世界です。腰に沢山鍵を下げていることがハイステータスなのです。ちなみに私の日常は①アパート1階②アパート4階③自分の部屋④部屋の中の引き出し⑤荷物用バッグ⑥⑦工場の事務所のあるフロアーキー2ヶ⑧事務所入口⑨事務所引き出し⑩ロッカー⑪トイレと11ヶの鍵を下げての生活で、これも泥棒にたいする自己防衛策です。それも毎日の習慣になると別に気にならないものです。 他人が信用できない社会、特に一般の人達は国を信用していない、これは政府の政策等ではなく、自分達に直接関係する地方役人が信用できないということなのです。それが一般の人達同士もなかなか信用できない事へと発展してしまっているのです。だから逆に信用できる仲間は非常に強い信頼関係ができています。その結果、国の決め事等で不明確な事について日本なら役所の窓口へ電話等で確認しますが、中国では信用できる友達に確認します。だから時には間違って判断する事も有りますが、しかし自分達仲間同志で決めたことが正しいとして行動しています。中央共産党の方針が地方政府の役人に何処まで浸透して正しく政治が行われているか、共産党一党独裁の良い悪いは別として、こんな中国の社会が一般の人達が貧富の差が少なくなって民主的な住み良い国になるにはもうしばらく時間が掛かるでしょう。
 次号に続きます。






3月25日(木)

 最近雨が降らないことからか?電力不足で週1日停電が行われています。鎮によってまちまちですが、私の工場は先週木曜日突然の停電があり、すぐに復旧すると思っていたら結局1日中電気が来ず工場は止まりました。その時来週から毎週木曜日停電ですと通告がありましたが…今日は木曜日なのですが全然問題なく朝から停電もなく工場は順調に稼動しています。どうなってんの?相変わらず訳のわからない情報に振り回されている今日この頃です(発電機の燃料代と市の電気代が2000年ごろから逆転した為、新設の工場は発電機を設置しない所が多くなっています)。再見。

3月26日(金)

 魚釣島の件で広州日本領事館から身辺に充分気をつける様にとの連絡が日本人会を通じて出ましたが、このあたりは工場地帯でそんな政治にかかわっている暇人は殆んどいませんので全然問題有りません。

3月31日~4月3日

 上海へ出張しました。3ヶ月ぶりの上海、美味しい日本食をたっぷり食べて来ました。上海ハイアット(金茂大厦)の前に3年近く中断していた森ビルが建設する500mの高層ビルの工事が本格的に始まっていました。又、渋滞解消の為、新しく作っている日本でもなじみのヤオハン(八百伴)近くのトンネルはその姿を見せ始めていました。上の写真はその現場です。

4月8日(水)

 何故か今週は昨日(火曜日)が停電になりました。今後2年は電力事情は良くならないとか!

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