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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

トピックス東西南北
中小企業の技術結集により製品開発!
「組合設立、開発から1年半で、大量受注に成功」

諏訪圏工業メッセ2003会場
▲諏訪圏工業メッセ
2003会場

下諏訪町などの中小製造業者(18社)が、共同で製品開発、販売を目指す事業協同組合エス・アイ・ブイ下諏訪(エス・アイ・ブイは「Shimosuwa Industrial Venture」の頭文字。代表理事中村博洋氏)はそれぞれの独自技術を持ち寄ることで、個々の企業では困難であった開発上の課題を克服して、海外シフトの波にもまれる下請けからの脱却を図ることを目的に平成14年6月に設立。設立からわずか1年で、工作機械向けの小型エアポンプや小型スライダー等の製品化(特許取得)にめどをつけた。
 大手企業からの仕事が激減しているところから、これからは、自ら生き残る道を考えなくてはいけないという危機感と、自分で考え・自分で造り・自分で値段がつけられる製品を生み出したいという思いにより、町内の精密加工、組み立て、鋳造、金属加工、ソフト開発などの中小企業者が集まった。地元大手メーカーの技術者をアドバイザーに迎え(現在当組合事業部長)、テーマを提示してもらうことから実際の開発が始まった。
 参加企業がそれぞれの役割を分担し、週1回、各部門ごとに研究会を開き、形にしていった。どの企業も課題をクリアするため、要求どおりの部材や機能を仕上げてくる。諏訪地方を支えてきた個々の技術力の高さを再認識させられた場面も多かった。
 これまでは大手企業・親会社のために使っていた技術を、自分たちのために、目に見える製品として使う。ものづくりの原点、ものづくりの楽しさも味わっている。結束すれば、不可能を可能に変えられるという自信も生まれつつある。
 昨年、10月中旬に開催された諏訪圏工業メッセ2003(諏訪地方の製造業が力を結集し、全国・世界に技術力を売り込もうと開催(第2回目))に出品した小型ポンプ、スライダーの大量受注に成功。組合員の空き工場に量産拠点を設け、昨年12月より生産に入り、今年の5月より販売開始を予定している。事業化のめどがついたところで、昨年8月には共同出資の株式会社を設立し、融資も取り付けた。
 開発の過程でアドバイスを受けたある大学教授の「中小企業が年月をかけて開発してもだめ。今ある技術に自分の技術をプラスし、その中から不要なものを引いたのが新製品。要は足し算、引き算」という言葉も励みとなった。営業マンを抱えているわけではないので販売も組合員でやる。性能、品質さえ良ければ、いけるという自信もある。幸い、当組合の取り組みは金融機関や他の企業からも評価されているため、期待を裏切らず、量産化により、地元産業に貢献できると考えている。(中村理事長談)

コントローラーと小型ポンプとスライダーの組み合わせ
コントローラーと小型ポンプとスライダーの組み合わせ
小型スライダー「レースミニ」
ポンプと連動して部品を運ぶ(部品移動用)
小型エアポンプとスライダーを組み合わせれば工作機メーカーにも売り込める。
自立型小型ポンプ「エコダンボ」
工作機械を動かすために圧縮した空気を送り出す小型ポンプ
高さ21cm、幅9.5cm、奥行き17cm。工作機械のそばに置け、ポンプの周囲から空気を直接吸引するため、工場内の配管が不要となり、省エネ、省スペースを実現。振動も少なく、騒音は従来品の4分の3ほどの水準。

取材構成 南信事務所
取材協力 下諏訪商工会議所
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