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月刊中小企業レポート
更新日:2006/03/30

特集1 市場は自分たちが創る
~平成15年度経営セミナー「売れる価値」の創造と提案第11講座・(株)日立製作所より~

 時代の潮流を的確につかみ、市場において独創的な価値創造をめざして経営資源の高度活用を図ることにより変化の激流に挑む、勝ち組企業。高さと振幅の度をますます高める変化の激流の中で、勝ち組と負け組の差は一段と鮮明になっている。
 長野県中小企業団体中央会ではこのような状況をとらえ、県内中小企業が勝ち組企業の最前線にふれ、新たな市場の発見と自らの経営資源の強化に役立てることを目的とした「経営セミナー」を開催している。コーディネーターは長野経営開発研究所長の荒井和雄氏。
 今年度11回目(全12回)となる今回は、去る2月18、19日の2日間、茨城県日立市の(株)日立製作所日立事業所および日立研究所で開催された。県内中小企業18社・27名の経営者および経営幹部の皆さんが参加。「市場は自分たちが創る」をテーマに、「CEATEC JAPAN 2003」で試作品を初出展し、さらなる小型化をめざす同社の携帯型燃料電池の技術開発への取り組みと、その総合力について研修した。

日立製作所創業の地を見学
 1日目は、1910年創業の日立製作所発祥の地、日立事業所での研修。同事業所は火力・水力タービン機器、原子力機器、発電機システムなど、同社創業の精神が息づく一大拠点だ。
 まず広大な同事業所敷地内にある、同社最初の製品である五馬力モートルが作られた修理工場を復元した「創業小屋」、創業社長小平浪平翁の偉業と創業の志を伝える「小平記念館」を見学。同社創業以来の製品と技術の発達の歴史を解説する展示に、参加者たちは興味深そうに見入っていた。
 次に同事業所のコアを成す、巨大な発電機工場とタービン工場へ。水力・火力、原子力の各発電機を製造する工場では、機械ショップ、コイル組立ショップ、全体組立ショップ、出荷の各工程を順に見学。組立中のガントリー装置といわれる医療機器や、試作段階という超伝導の発電機も見ることができた。ガスタービンや蒸気タービンの工場では、機械加工と組み立て工程を見学。削出加工されたチタン製の翼、巨大なシャフトや、それを加工する超大型NC旋盤の精度の高さに、参加者は一様に驚いていた。

参加企業との技術交流に高い関心―交流会より。

 2日目は、日立市大みか町にある日立研究所において、新しい技術についての研修と参加者と同研究所研究員との交流会が行われた。
 日立研究所は同社6研究所の中の一つで、社会・産業インフラを支える総合システムの研究に取り組む研究施設。約6百名の研究者が2人で1テーマ、年間3百もの研究を進めているという。
 材料・デバイス研究センター、IT応用研究センター、環境・パワー研究センターの三部隊に分かれ、デバイスコンポーネント、材料基盤、システムの各研究開発分野を手がける。
 デバイスコンポーネントでは次世代の電池、液晶ディスプレイ、システムLSIなど、材料基盤では原子力・火力の基盤材料、半導体実装材料、ナノガラス、材料基盤技術など、システムでは道路情報制御、電力情報制御、次世代鉄道情報制御など。最近は超伝導技術の応用や電池関係の研究開発にも重きを置いている。
 同社は研究開発技術の有償提供にも力を入れており、ホームページで提供可能な技術を紹介している。「ご利用ください」との案内もあった。

参加者にも同研究所にも好評の交流会

 午前10時から行われた技術紹介では、相馬憲一燃料電池部主管研究員が「携帯機器用燃料電池」、横田孝義情報制御第2研究部主管研究員が「自動車向け情報制御」、平野聡エネルギー材料研究部主任研究員が「新しい接合技術(摩擦撹拌接合)」の各テーマで講演した(各講演の要旨は次ページ以降に掲載)。
 研修会場では、参加者と同研究所双方の技術を紹介する展示スペースを設置。講演後、参加者と同研究所研究員の皆さんとの交流が行われた。これは今回初めての試みだったが、参加者にも同研究所にも大変好評だった。
 同研究所では「携帯機器用燃料電池」「ナノガラス」「摩擦撹拌接合技術」「撥水・撥油膜と親水膜」「劣化診断技術」「各種分析技術」「日立モノづくり技術の総合マーケット(i-engineering)」の資料を展示するとともに、各技術ごとに担当研究員が説明。参加者はそれぞれ熱心に聞き入り、技術に関する突っ込んだ質問も出るなど、和やかな中にも真剣なやりとりが行われていた。
 一方、参加者側も持参した会社案内および製品案内のパンフレット、製品等を前に自社技術をプレゼンテーション。大勢の研究員の皆さんが各ブースを訪れ、製品を手に取って眺めたり、じっくりとパンフレットに目を通すなど関心の高さをうかがわせた。参加企業のすぐれた量産技術に触れ、ある研究員は「研究段階からこのような量産技術を考えていけば、もっと安くて良いものができると思う」と話していた。
 参加者とのやりとりも真剣そのもの。名刺交換も活発に行われていた。

技術交流、情報交換へ大きな期待

 昼食をとりながらのランチミーティングでは、同研究所が求めるモノづくり中小企業の役割について、相馬主管研究員は次のように話した。
 「例えば、こんな試作品が欲しいという時に、半年待ってくれ、といわれると、もういい、ということになってしまう。2週間待ってくれ、というなら待ちます。我々はいろいろなグループ企業の協力を得ながら作っていくが、スピードが求められる時には欲しいものが手に入らない状況になりがち。そんな時、中小企業の皆さんに試作的なものでもしっかりと作り、短期間で納めるという動きをしてもらえると非常に助かる」
 会終了後、同研究所から参加企業のパンフレット類を参考資料としてファイリングし、活用したいという要望が出た。今回の交流会での県内中小企業との技術交流、情報交換への期待の大きさがうかがえた。

「携帯機器用燃料電池の開発」
燃料電池部 アドバンストFCユニットリーダ 主管研究員 工学博士 相馬憲一氏

相馬憲一氏日本がトップに立つ、携帯型燃料電池の開発技術

 日立は20年ほど前から、さまざまなタイプの燃料電池の研究をしたが、事業性や社会の環境など諸条件で事業化できなかった。今度こそという気持ちで、メタノール燃料電池の開発に取り組んでいる。
 携帯電話、PDA、パソコンなどのモバイル端末は充電を頻繁に行う必要がある。充電不要で燃料を入れればいつでも使える携帯型燃料電池は、これからのキーデバイス。この分野は、国内ではNEC、東芝の他に、カシオ、ソニー。世界的にはモトローラ、サムソン、ノキアなどが開発を手がけている。
 携帯型燃料電池を飛行機等に持ち込むためには、航空法などいろいろな規制がかかる。そのため「安全性」「性能」「互換性」等についての国際委員会をつくり、国際標準化に向けて働きかけている。
 パソコンや携帯電話、PDAなどに燃料電池をいかに上手く組み込むかという悩みから、細かなシール材、ネジ、パッキング材料などの調達をどうするかまで、悩みは多い。
 早く携帯型燃料電池を実用化して世に出す、というのが私のミッション。そのために、全国を駆けまわって良い材料を探している。材料や微細加工技術が相当進展しているので、いろんな技術、材料を供給いただきながら作り上げていこうと考えている。どこの系列会社だろうが、良い材料だったら買いますということだ。もちろん、その逆もある。日本全体で、良い材料だったらどこのでもどんどん使っていくという考え方になっており、燃料電池開発においても交流が必要だと思う。

試作品を初出品し、5日間連続稼働の快挙


 当社は昨年10月「シーテック・ジャパン2003」に、初めてパソコン用とPDA用の燃料電池の試作品を出品し、会期の5日間連続して稼働させた。
 私たちが手がけているのは、反応部にメタノール水溶液を直接入れる「直接型メタノール燃料電池」。ナノテクノロジーを使い、室温でスムーズに反応を起こすための電極触媒、イオンだけを通し、メタノールを通さない電解質膜、この膜と2つの電極を接合した膜/電極接合体(MEA)の技術開発が中心。
 メタノール燃料電池の課題は、フッ素系電解質膜を使っているため。
 メタノール燃料電池はメタノールの濃度によって特性が変わる。電池の特性はメタノール水溶液濃度が最大64%まで有効に上げられ、30%でリチウムバッテリーに勝る性能を発揮するが、世の中の現状はまだ10~20%程度。それは濃い濃度のメタノールを使用すると、膜のクラスター構造に浸透して、膜を溶かしてしまうため。
 そこで我々はナノテクノロジーを使い、プロトン(陽子)が膜に入ってきたら玉突きのようにして押し出す「プロトン・ホッピング」方式による分子構造を設計。メタノールの透過が現在一般に検討されているフッ素系電解質膜の7~10分の1という、メタノール透過性が非常に少ない電解質膜の合成に成功した。
 燃料極と空気極の2カ所につける触媒は、白金などの貴金属を使う。触媒は表面積がたくさんあったほうが反応が活性化するため、白金粒子を2~3ナノメーターに細かくする技術を開発した。しかし、それをカーボンの表面に乗せて固定化する担持技術が非常に難しい。我々は、カーボン担体表面の化学的処理によって、この問題点を克服した。
 良い電解質膜と良い触媒ができたが、それで完成とは、まだ言えない。膜/電極接合体だ。これはカーボンの粉をサランラップのような電解質膜に黒く塗ったものだが、塗るにも高度な技術が要求される。
 最新の試作品は、メタノールを入れた燃料カートリッジをポンと入れるもの。これでPDAを10日から2週間程度動かすことができる。難しいのは、燃料カートリッジの燃料の出入り口。入れたときに燃料が入り、抜いたらこぼれない機構が必要だ。その点で100円ライターの機構がよくできているため、昨年末にあ(株)東海とノズルの共同開発を行った。

「自動車向け制御技術の開発」
情報制御第二研究部 主管研究員 工学博士 横田孝義氏

横田孝義氏各種情報提供を行う、 テレマティクスサービス

 デジタル放送、GPSなど、最近自動車に情報を伝えるさまざまな手段ができつつあり、ETCなどに使われているDSRC、無線技術が多目的に応用されるようになっている。カーナビゲーションシステムをより高度化し、通信とつなげたサービスも始まっている。車内の制御機器をネットワークする技術(CAN)もでき、車内外をつなぐネットワークができつつある。
 このような環境変化に対して新しいビジネスができないか。当社では車と通信技術を使ってのいろいろなサービスを総称して「テレマティクス」と呼び、さまざまな研究を行っている。
 「オフロードナビ」を紹介する。従来はナビ内部に地図などの情報を納めたCDやDVDなどを入れていたが、これは通信で最新地図をダウンロードする方式。2002年夏、日産マーチに採用された。
 最新のツールを提供するセンター(テレマティクスセンターサーバ)が自動車のナビゲーションシステムに、最新のシステムのデータ、最新地図、店やガソリンスタンドなどのランドマーク情報、センター側の最新のアルゴリズムによる経路探査を送信する。現状では通信スピードが足りないといった問題もあるが、従来のナビと比較して圧倒的に価格が安いのがメリットだ。昨年のモーターショーにも出品した。
 日立では「テレマティクスプラットフォーム」として、アプリケーションにJavaを使い、ある約束事にのっとって作れば、どの会社のナビでも同じサービスが受けられるプラットフォームの共通化を業界に提案している。
 このシステムは、新しいソフトをダウンロードすることでナビが生まれ変わる。さらに音声認識を使い、電話番号だけで位置情報が分かる。また最初に選んだルートの途中で事故が起きている場合、センターがその情報をつかみ、気を利かせて別のルートを指示する。どの音楽を聴きたいかをドライバーに聞いて選曲したり、曲をダウンロードして購入することもする。ユーザーの使い勝手がとても良い。
 我々はセンターづくりや交通情報の加工と提供の研究に取り組んでいるが、昨年から規制緩和により民間企業も渋滞情報を出せるようになったのを受けて、カーナビ向け、運送業者などの業務用、家の中でも使えるものなど、従来なかったサービスの提供を考えている。また、国のVICSに頼らず、車載器が収集する情報から自前で交通情報を作り出そうという試みも行っている。

長野オリンピックへの対応から、長野県警と警察VICSを共同開発


 一方、視覚障害者に対してのサービスとして研究しているのが、歩行者ナビ。つくば市の国土交通省の研究所で実験を行っている。
 歩道上に点字ブロックをかねたタグを埋め込み、杖をつくとそこに仕込まれたトリガーが信号を受信。PDAの音声で「この先まっすぐ」などと経路情報を伝える。これは障害者用だけでなく、各種展示会や観光地などの案内用にも使える。
 また、国が行っている交通情報サービスVICSや、料金所の数では国内トップシェアのETC、AHS(車の安全走行を支援するシステム)など、国のインフラも手がけている。
 VICSは、都道府県警と国土交通省などが集めた道路交通情報をセンターで集約して提供するシステム。特に、高精度旅行時間推定技術を優位技術とする警察VICS(交通情報提供システム)は平成9年、長野冬季オリンピックへの対応として長野県警と一緒に開発した。全世界の注目を集めるため、非常に厳しい注文があり、精度評価も厳密に行った。おかげさまで賞をいただいたが、このシステムがベースになり平成10年に全国展開した。

「新しい接合技術(摩擦撹拌接合)の開発」
エネルギー材料研究部 主任研究員 平野 聡氏

平野 聡氏 溶接技術の一種である「摩擦撹拌接合技術(FSW)」について紹介する。この技術の基本特許はイギリスの公立溶接研究所(TWI)が持つ。日立はTWIと基本特許に関して契約を結び、応用展開を図っている。
 アルミ合板を2枚付き合わせた状態で接合する場合、FSWでは、先端にピンと呼ばれる細い突起を設けた形状のツールを回転させながら接合部に食い込ませる。回転によって材料とツールの間で摩擦熱が発生すると材料が軟らかくなる。イメージ的には粘土のような状態だ。その状態でツールを回転させることにより、2つの材料を混ぜ合わせる。その結果、2つの材料が接合する。
 この接合方法は、接合後の熱変形が小さい、機械的接合である、ヒュームおよびスパッタリングが発生しない、接合時の温度が低い、溶接棒のようなものは使わない、技術者が加工機械に条件設定するだけで簡単に接合可能、などの特徴がある。
 最大の特徴は、接合後の変形が非常に少ないこと。同じ材料(アルミ合金)をアーク溶接した場合大きな変形が生じるが、FSWではほとんど変形がない。しかもアーク溶接は火花や閃光が出るが、FSWにはそれがない。通常の溶接とはかなりイメージが違う。
 また、通常の溶融溶接では溶け込みの部分はいわゆる凝固組織などと呼ばれ、溶けたものが固まった状態の組織になる。一方、FSWは鍛造のように再結晶組織が細かい粒で存在し、接合部は母材と同等の接合強度が得られる。FSWの接合部は非常に強い。
 日立製作所ではこの技術を、鉄道車両のバルブ押し出しパネル部分の接合に使っている。変形が小さく、接合部の信頼性が高いので、このような部分で実用化されている。海外では、アメリカのボーイング社がデルタロケットの燃料タンク、ヨーロッパでは船舶のアルミ部分の接合に使っている。
 一方、FSWは別の適用先もある。例えば、ターゲット材を冷却しながら電極の役目もする銅製のバッキングプレートに対して使う。その理由は、バッキングプレートを接合する際、溝状の非常に大きな変形が起きるため、後工程を簡略したい場合に使う。まだ研究段階だが、鉄系材料にもこの技術を使おうと考えている。また、電池の箔の重ねのイメージだが、50ミクロンの箔を20枚重ねて束ねて接合する場合、レーザーや溶融で箔を接合すると表面張力で玉になってしまう。これをFSWでやると接合できる可能性がある。
 この技術は、日立製作所では接合機の販売という形態を取り、さまざまなニーズに応じた装置を開発し、納入している。

■経営セミナーに参加して 参加者インタビュー

研究者の苦労話に親しみ 林 繁雄氏
〈オリンパス(株)総合経営企画室経営戦略部 部長〉

 1日目の見学で日立製作所の歴史や技術の変遷が分かっていたので、2日目の技術紹介も、その背景やその風土から理解できて良かった。交流会では研究員の皆さんの開発における苦労話などをお聞きし、親しみも持てた。
 経営セミナーにはほとんど参加し、楽しみにしている。最先端をゆく大企業から小さなトップ企業まで、それぞれの企業の生き方が学べる。とてもバランスが取れていると思う。一企業としてこれだけの企業に見学に行こうと思えば膨大な時間と手間がかかり、それでも競合会社など受けてくれない企業もあるはず。段取りも良く、至れり尽くせりだが、日程をもう少しバラしてもらえるとより参加しやすいと思う。

中小企業の頑張りを見たい 斉藤 隆氏
〈山京インテック(株)機器製造部 取締役部長〉

 携帯型燃料電池の開発は特に興味深く聞いた。製品開発によって世の中を便利にすること、社会インフラへの貢献を大企業の使命として行っているのだということがよく分かった。
 経営セミナーでは、やはり中小企業が参考になる。特に、規模は小さくても独自開発した機械と技術で大手と対等に競い合っている京都の企業の姿には感銘と刺激を受けた。大企業は個人的見聞を広げるという意味で有意義。またあらゆる面で先行しているので、将来の技術の方向性など、時代の流れを見ることができるのがメリットだ。
 これからもぜひ中小企業の頑張りを見たいし、大企業から時代の流れもつかみたい。今までと同様、両方うまく取り混ぜて企画して欲しい。

中央会ならばこそ 大井 隆氏
〈大井運送(株)代表取締役社長〉

 当社は各種製造装置の運送を手がけているので、日立グループの物流会社ともおつき合いがある。それだけに今回は日立製作所のことが分かってとても有意義だった。
 今年度の経営セミナーは最先端の製造業が多く、工場内はもちろん、機械内部まで見られてとても参考になった。またグローバル調達の紹介では大企業のシステムが理解できた。クリーンルームまで見せてもらうなど普通はあり得ないことで、それは中央会ならばこそ。こういうことが経営セミナーに参加する大きなメリットだと思う。本などの知識ではなく、実際に見聞できるのはとても役に立つ。これからもぜひ最先端の装置やシステムを見せてもらえるよう企画していただきたい。

企業文化の受け継ぎに感銘 長田直樹氏
〈(株)サイベックコーポレーション バリューテクノロジー研究所 課長〉

 日立製作所の長い歴史の中で、その企業文化が脈々と受け継がれていることに感銘を受けた。また、日立研究所では2人で1テーマを進めると聞き、たとえ会社自体は大きくても1人ひとりが力を発揮できる組織づくりをしているところがすごいと感じた。日立製作所を含め、有名企業も始まりはベンチャー企業。当社は創業30年になるが、企業文化をいかに受け継いでいくべきかという点でとても勉強になった。
 経営セミナーは今年度初めて参加したが、ぜひ今後も参加したい。特に今回は見学や講演だけでなく、交流会で研究員の皆さんと直接話ができてとても良かった。当社の量産技術にも関心を持っていただき、中小企業の生きる道が分かったような気がした。

企業戦略づくりの参考に 塩澤和彦氏
〈(株)塩澤製作所 代表取締役〉

 今回は普段見られない、超大型の機械設備や製造物を見ることができて勉強になった。NC旋盤など加工機械は予想以上に大きかったが、それでもミクロンオーダーの精度を実現していると聞いて驚いた。
 今年度は特に山形県の(株)マーク、福島県の(株)コスモテックが印象に残っている。将来の当社の企業戦略づくりの参考にしたいと考えている。
 経営セミナーは毎年テーマをもって企業を選定し、狙いがはっきりしているのでできるだけ参加したいと考えている。ぜひこれからのモノづくりに参考になるテーマ設定をお願いしたい。今回、研究員との交流会がとても良かったので、次年度以降もさらに期待している。
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