公的資金注入銀行における
中小企業向け融資増計画の未達成について
全国中央会会長の所見が発表されました。
去る8月7日、金融庁より「経営健全化計画履行状況報告(集計ベース)」が発表されました。
これは、公的資金を注入した銀行に義務づけられている中小企業向け融資の増額について、本年3月時点での各行の達成状況を取りまとめたものです。
同報告により、各行の中小企業向け貸出状況の実態が次のように浮き彫りにされました。
●中小企業向け融資の増加計画に対する未達成金額
大手6グループの未達成金額総額 5兆6,563億円
(備考)みずほ・三井住友グループの融資が大幅に減少している。また、地銀・第二地銀6行においても融資の大幅減少がみられる。
これを受け全国中央会では、8月12日計画未達成銀行に対し、深く反省し、具体的な計画達成のための実現方策を明らかにしてその実施状況を逐次説明すべきであること、金融庁等政府に対しては、指導監督を求めるといった骨子の所見を、石川全国中央会会長所見として公表するとともに、この所見を金融庁担当課及び計画未達成銀行に対して送付しました。以下はその所見の要旨です。 |
1. 約束した融資計画未達成を糺す
金融庁が8月7日に発表した「経営健全化計画履行状況」によれば、公的資金の注入を受け、中小企業向け貸出を増加させると自ら約束したにもかかわらず、大手6グループのうち、みずほ、三井住友が大幅に減少、地銀・第二地銀6行でも大幅に減少していることが明らかとなった。
この事実に対し、331万社の中小企業が参画する中小企業組合等を構成メンバーとする全国中小企業団体中央会として、強い憤りを感じる。資本注入を受けた大手金融6グループで総額5兆6,563億円という巨額に上る計画の未達成は、金融機関による貸し渋り、貸し剥がしといった実態が昨年に引き続き再び証明されたといってよい。
2. 金融機関に深い自省を求める
目標計画未達成の銀行が、その理由として、「長引くデフレ経済の中で、中小企業の業績も停滞しており、引き続き資金需要が低調であったこと」を要因としてあげていることに驚きを禁じ得ない。中小企業向け融資計画を達成した銀行があることを見れば、上記理由は誠に理解に苦しむ。
また、先に融資増を求める業務改善命令を受けながら、今回も目標未達成であった銀行、以前本会が行ったヒヤリングに対し、「金融庁との公約を果たせないのは、景気が低迷している現状から当たり前」と開き直り発言をする銀行など、これらはそもそも中小企業向け融資増に真剣に取り組み、目標を達成しようとする姿勢がないのではないかとさえ思われる。
計画未達成銀行は、深く反省し、具体的な計画達成のための実現方策を明らかにしてその実施状況を逐次我々に対して説明すべきである。
3. 金融庁等政府への要望
金融庁等においては、我々の血税である公的資金注入の事実を踏まえ、計画未達成銀行の責任を追及すべきである。
また、今後、目標未達という事態が発生しないよう、さらには、中小企業への融資が十全に行われ、旺盛な資金需要に応えるよう、各行が早急に改善のための具体的なプランを策定し、その実施による結果を出すよう指導監督するなど強力な対応をされるよう要請する。
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