小規模企業共済制度の内容が変わります
(平成16年4月1日から)

 平成15年6月18日に「小規模企業共済法の一部を改正する法律」が公布され、16年4月から改正制度がスタートします。その制度改正の背景および改正内容の骨子をご紹介いたします。

《制度改正の背景等について》

 今回の制度改正は次のような背景から行われました。
 平成2~3年頃から急激に金利が低下し、その低金利情勢は現在も継続しています。 現在の制度が必要としている運用利回りに見合う運用収入を確保できていない状況にあり、このままでは、将来的に共済制度の長期的安定性の確保に懸念が生じる可能性かあります。
 この様な事態を回避し、本制度を安定的にかつ健全な共済制度として末長く運営していくためには、すでに加入している契約者の方々のこれまでの期間については保証しつつ、今後の契約期間について共済金等の額の水準を引き下げ、制度全体としての総支給額を下げていくことが不可欠です。

《制度改正の内容について》
1. 共済金等の額の変更
共済金額規定の政令事項化
 現在、小規模企業共済法に規定されている共済金額等について、資産運用環境の変化に即応できるよう、政令で規定されるようになりました。
共済金の額の変更(平成16年4月から)
 今回の改正では、共済制度の長期的な安定性を確保するため、予定利率が変更(現行2.5%から1%へ)されることにより、基本共済金の額が引き下げられます。
準共済金の額の変更(平成16年4月から)
 準共済金額についても、基本的に「②共済金の額の変更」と同様の取扱いとなります。
基本準共済金は改正後の基本B共済金の91%相当額に引き下げられます。
但し、付加準共済金および改正前期間保証部分を加えた合計額がその掛金区分に係る掛金合計額を下回る場合は、その掛金合計額がその掛金区分に係る準共済金額となります。
解約手当金の額の変更(平成16年4月から)
 自己都合で解約した場合などに支給される解約手当金は、掛金合計額に対して一定の割合を乗じて計算されますが、この割合が上記※のように引き下げられます。
但し、新法施行日前(平成16年3月以前)から加入されている方の場合、平成16年4月以降の掛金納付済期間分については改正後の支給割合が適用されますが、平成16年3月以前の掛金納付済、期間分については旧制度下の支給割合が適用されます。

平成16年3月31日までに共済(解約)事由が発生した場合は、現行制度に基づき共済金(解約手当金)が計算されます。

【改正後の基本共済金の額】

【改正後の基本共済金の額】

但し、新法施行日前(平成16年3月以前)から加入されている方の場合、改正前(平成16年3月以前)の期間分については、旧制度下での共済金の額が保証されます。

解約手当て金(変更後の)支給割合

解約手当て金(変更後の)支給割合

※ 注1: 240月までは、現行通りの支給割合となります。
※ 注2: 240月以降は、6ヶ月経過する毎に支給割合が0.25%ずつ上がります。
※ 注3: 480月以降は、110%に、480月を超える6ヶ月毎に0.25%ずつ加えた割合となります。(但し、120%を上限とします。)

共済金額・準共済金額に関する経過措置イメージ図

この資料では、「旧法」とはH8.3までの法律、「七年法」とはH8.4からH12.3までの法律、「十年法」とはH12.4からH16.3までの法律、「新法」とはH16.4からの法律を指します。

(イ) 平成12年4月から平成16年3月までの間に加入した方 
平成16年3月までは十年法の基本共済金が保証されます。

共済金額・準共済金額に関する経過措置イメージ図

(ロ) 平成8年4月から平成12年3月までの間に加入した方
平成12年3月までは七年法の基本共済金が、平成16年3月までは十年法の基本共済金が保証されます。

共済金額・準共済金額に関する経過措置イメージ図

(ハ) 平成8年3月以前に加入した方
平成8年3月までは旧法の基本共済金が、平成12年3月までは七年法の基本共済金が、平成16年3月までは十年法の基本共済金が保証されます。

共済金額・準共済金額に関する経過措置イメージ図

(注1) 付加共済金(各年度)の算定に用いる付加支給率は、各年度の前年度末までに経済産業大臣が定めることになっています。
なお、平成8年度から平成15年度までの実績はゼロとなっています。
(注2) 差額利率は、平成12年3月までは1.5%/年、平成12年4月以降は0.4%/年。平成16年4月以降は、それまでに経済産業大臣が定めることになります。

《改正後の率》

分割支給期間 10年の場合:分割共済金の額=共済金の額×(0.0263+α)
分割支給期間 15年の場合:分割共済金の額=共済金の額×(0.0180+α)
 但し、平成16年3月31日以前に分割支給の請求をした場合は、現行の支給率
(10年の場合 0.0283、15年の場合 0.0200)が適用されます。
※ αについては経済産業大臣の定める率で、15年度中に定められます。

2. 分割共済金の支給率の変更(平成16年4月から)
 平成16年4月以降に共済金の分割支給の請求をする場合は、分割で受け取る場合の1回あたりの分割共済金額(年4回、3ヶ月ごとに支給される額)を算定するための率が引き下げられます。(上表参照)

3. 契約者貸付制度の創設・拡充(平成16年4月から実施)
緊急経営安定貸付制度の(仮称)の新設
 経済環境の変化等に起因した一時的な業況悪化により、資金繰りに著しい支障をきたしている共済契約者の経営の安定を図るために必要な事業資金を、納付済掛金総額の範囲内で貸し付ける制度が創設されます。
既存貸付制度の拡充
 貸付限度額の引き上げ。(一般貸付制度:現行700万円→1,000万円 等)傷病災害時貸付けの貸付要件の緩和。
全ての貸付制度の貸付利率の引き下げ
 一般貸付制度の貸付利率は、さらに低い利率へ(現行3.0% 1.5%程度)
その他貸付制度の貸付利率は、政府系金融機関特別利率等を考慮した低利へ。

4. その他
前納減額金の減額割合の変更
 掛金を前納したときに前納した月数に応じて割り引かれる前納減額金について、平成16年4月以降に前納された掛金に係る前納減額金の減額割合が、1,000分の2.1から1,000分の0.9へ引き下げられます。
短期掛金区分に係る解約手当金算定方法の改善
 現在、解約手当金の算定において、納付月数12月未満の短期掛金区分については「掛け捨て」として扱われていますが、他の掛金区分が12月以上あれば掛金納付月数が12月未満の掛金区分であっても掛け捨てとはならないよう解約手当金の算定方法が改善されます。

問い合わせ先
独立行政法人中小企業基盤整備機構 共済相談室
TEL.055-5541-7171
            〒105-8453
            東京都港区虎ノ門3-5-1虎ノ門37森ビル


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