トピックス東西南北
『小判型商品券』の発行
~須坂商業サービス協同組合~

話題性を喚起して、地域商業の活性化を目指す
 長引く景気低迷の中、地域商業に元気を取り戻してもらいたいというのが、今回の企画の始まりだった。全国をくまなく調べて、何かユニークなイベントや取り組みを行っている商店街を探した結果、埼玉県秩父市で、コイン型の商品券を発行している商店街に辿り着いた。
 すぐにその商店街でコイン型商品券の企画から発行までの一連の業務に携わった役員の方を組合に招待し、コイン型商品券の発行に至るまでの経緯について講義を受けた。その結果、当組合でも話題性と遊び心に着目した、コイン型ではなく、須坂の特色を生かした小判型の商品券の発行を実施することが決定した。

『小判型商品券』の発行に至るまで
 今年、当組合は設立十五周年を迎えるが、その記念事業の1つとして計画した小判型商品券を発行させるには多くの問題を抱えていた。
 一番の問題は、設立以降何回かプレミアム付きの商品券を発行してきた実績があり、そのプレミアム分は地元商店街の活性化の視点から、須坂市が補助金として負担してきた経緯があったので、今回も従来どおり須坂市からの補助金を見込んでプレミアム付き小判型商品券の発行を計画していたのだが、今回は須坂市から補助金が一切予算化してもらえなくなった。これにより、計画は一旦暗礁に乗りかけたが、今回の計画に対する組合の思いは強く、プレミアム分を組合で負担してまで、計画を実行させることに決まった。
 また2番目の問題は、年々徐々に商品券の発行売上げが減少してきていることだった。図表で見ても分かるように、平成元年度の12月から発行してきている商品券が、平成10年度の売上げ82,732千円をピークに、平成14年度では60,000千円台を割ってしまうまで減少してきていたので、果たして今回の新型商品券が売れ残り、完売できるかどうかという危惧があった。
 3番目の問題は、今回の新型商品券を取り扱えるお店を増やすことだった。既存の組合員(商品券加盟店)の数は159名。既存の加盟店だけで取り扱いができるのでは、なんら従来と変わりがない。商品券の話題性・知名度をあげるには、それだけ商品券が多くのお店で使えることが必要であった。そこで組合は、須坂商工会議所や須坂市商店会連合会の協力を得て、市内の大型店や温泉施設、量販店等に対して、今回の商品券の取扱店としてこの計画に参加してもらうように協力を求めた。そして最終的には既存加盟店を含め、260店が参加するに至った。
 4番目の問題は、金属の小判をどこで作ってもらえるかであった。安価で大量に作ってもらえる企業を探すことは時間もかかり大変な作業だった。県内の企業はもちろんのこと、県外の企業まであたってみたが、なかなか組合の要望と折り合いがつかないでいたが、最終的には地元にある企業で注文を受けてもらえることになった。
 このように、小判型商品券は、企画から作製までに多くの時間と労力を費やし、遂に完成した。
年度別商品券売上高

『須坂小判』の概要
 今回の小判型商品券の形状は真鍮製。幅30mm×長さ60mm×厚さ0.8mm。重さ10g。1枚の額面は1,000円。1人3万円までの限定販売。発行金額2,200万円(うちプレミアム分200万円)。予約申込期間は平成15年6月20日~30日の10日間。予約申込方法は、新聞の折込ちらし及び地元新聞広告に印刷された予約申込書を、組合へ持参するか郵送、もしくは商品券販売店に設置した応募箱にて申込み。7月1日に応募を締め切ると同時に抽選し、当選者には引換券を郵送した。ちなみに当選率は約2倍となった。7月11日~16日引き換え期間を設け、売れ残りなく完売した。

これからの展望
 今回発行した商品券『須坂小判』は、今年の7月11日~来年の1月10日までの半年間という使用有効期限付きである。したがって従来から発行している『紙の商品券』に再び注目してもらうための起爆剤となることを期待されており、地元商店街での消費の落ち込みの活性化策として、県内各地の商店街からも注目を集めている。
 当組合では常に斬新的な発想でこれまで地元商店街の活性化に様々な形で寄与してきているが、今後も益々の活躍が期待される。

組合概要
組合名 須坂商業サービス協同組合 設 立 平成元年12月
所在地   長野県須坂市大字小山1278-1   理事長   中野幸一良
TEL   026-246-4721   出資金   1,590,000円
FAX   026-245-5096   組合員   159名

(取材構成/北信事務所 池田泰明)


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