特集2
雇用創出等の施策概要

進行が止まらないデフレ経済、不良債権処理の加速など様々な背景のもと、経済・産業構造の改革が不可欠となりまた、長野県の中小企業をとりまく環境下でも改革は急ピッチで進んでいます。
しかし、こうした急速な構造改革は企業倒産やリストラ、これにともなう失業者の増大といったさまざまな歪みを引き起こす要因ともなっていることも否めません。
こうした中で、国では、さまざまな労働関係の施策を展開しております。
本特集では中小企業事業主の方々に関連の深い施策をピックアップしその概要を紹介します。


創業等の支援に関する制度について

 創業を行った事業主に対して、創業等に要した費用の一部について支援する制度として、「地域雇用受皿事業特別奨励金」、「受給資格者創業支援助成金」及び「高年齢者等共同就業機会創出助成金」があります。各助成金等の相違点は次のとおりであり、それぞれを重複して受けることはできません。なお、支援を受けるためには、創業に関する事業計画の認定を受ける必要があります。詳しい内容については下記の申請窓口にご相談ください。






地域雇用受皿事業特別奨励金
 地域雇用受皿事業特別奨励金は、地域に貢献する事業を行う法人を設立し、再就職を希望する者(65歳未満)を3人以上常用雇用した場合に、新規創業に係る経費及び労働者の雇入れについて支援する奨励金です。
受給資格者創業支援助成金
(以下「助成金」といいます。)  
 雇用保険の受給資格者自らが創業し、創業後1年以内に雇用保険の適用事業の事業主となった場合に、当該事業主に対して創業に要した費用の一部について助成することになり、失業者の自立を積極的に支援するものです。
 なお、この助成金は、(財)高年齢者雇用開発協会において支給業務を行う「高年齢者等共同就業機会創出助成金」とともに、「自立就業支援助成金」の1つとして位置づけられます。
高年齢者等共同就業機会創出助成金
 高年齢者等共同就業機会創出助成金は、45歳以上の高年齢者等3人以上が、自らの職業経験等を活用すること等により、共同して事業を開始し、労働者を雇い入れて継続的な雇用・就業の機会を創設した場合に、当該事業の開始に要した経費の一定範囲の費用について支給されます。










創業者等に関する
要件
なし 雇用保険の受給資格者
(支給要件期間5年以上)
3人以上の高年齢者等(45歳以上)の出資により設立
組織形態 法人 法人又は個人事業主 法人
事業計画の
認定申請時期
法人設立前
(ただし、法人を設立する3ヶ月から前日までの間に認定を受ける必要がある)
法人等を設立する前日まで
法人設立後
(法人の設立時期により年3回受付)
労働者の雇入れ
要件
65歳未満の非自発的離職者を3人以上雇用(うち、1人以上は30歳以上の雇用調整方針対象者(注1)又は再就職援助計画対象者(注2)) 1人以上雇用 高年齢者等を継続して雇用する労働者として1人以上雇用







支給対象経費
(創業部分)
①法人設立に関する事業計画作成費、②職業能力開発経費、③設備・運営経費 ①法人等設立に関する事業計画作成費、②職業能力開発経費、③労働者の雇用管理の改善に関する事業費、④設備・運営経費 ①法人設立に関する事業計画作成費、②職業能力開発経費、③設備・運営経費
支給額
(創業部分)
設立登記の日以後6ヶ月以内に支払った経費の3分の1(上限500万円(雇入れ労働者が3人又は4人の場合は300万円)) 事業開始の日以後3ヶ月以内に支払った経費の3分の1(上限200万円) 設立登記の日以後6ヶ月以内に支払った経費の3分の2(上限500万円)
支給額
(雇入れ部分)
労働者1人当たり30万円(上限100人)(30歳以上の非自発的離職者(注3)の雇入れに限る。) - -
申請窓口 (財)産業雇用安定センター長野事務所 公共職業安定所 (社)長野県雇用開発協会
注1 不良債権処理の加速に伴い、雇用調整を行わざるを得ない事業主が都道府県労働局に届け出るもの。
注2 経済的事情による事業規模の縮小等に伴い、常時雇用する労働者を離職させることとなる事業主が作成するもの(雇用対策法に基づくもの)と、定年、解雇その他の事業主の都合により離職することとなっている45歳以上65歳未満の労働者が再就職を希望する場合に、事業主が作成するもの(高年齢者雇用安定法)。
注3 自己の都合や自己の責めに帰すべき理由によらないで離職する方。


中小企業の雇用創出を支援

 雇用に関する助成金・補助金を中心に、従業員に対する福利厚生等、労働関係の助成制度の概要を、平成15年度版中小企業施策ガイドブック等より抜粋掲載しました。詳しい内容については表中の申請窓口、もしくは問い合わせ先にご相談ください。

助成金・奨励金

新規雇用創出のための対策

概  要 助成率/支給金額 助成機関 申請窓口















 創業・異業種進出に伴って労働者を雇い入れる中小企業事業主に対して、雇い入れた労働者の賃金の一部を1企業当たり8人を上限として助成。
労働保険の確定保険料に基づいて算定した対象労働者の勤務する申請事業所における労働者の平均賃金に相当する額の1/4
 ただし、雇用保険の基本手当最高日額に支給の対象となる日数を乗じて得た額に330を乗じて365で除した額を支給の限度額とします。
創業間もない等の場合で、確定保険料を有しない場合の支給額は、対象労働者1人当たり一律40万円です。
雇用・能力開発機構 雇用・能力開発機構長野センター
TEL:
026-224- 8000











 雇用失業情勢が悪化し、完全失業率に基づく発動要件を満たした場合(全国または対象地域)に発動され、中高年の非自発的離職者等を雇い入れた場合に助成(平成16年3月31日までの暫定措置)
通常の事業主
対象労働者1人につき30万円が支給
緊急対応型ワークシェアリング制度導入事業主
 
計画提出後の最初の雇入れに際し、当該事業所の労働者数が300人以下の場合は50万円、301人以上の場合は120万円が支給
対象労働者1人につき次の区分に応じて支給
一般被保険者(短時間労働者以外) :30万円
一般被保険者(短時間労働者) :15万円
6ヶ月以上の有期雇用による一般被保険者(短時間労働者以外)(中小企業に限る)
  :15万円
(財)高年齢者雇用開発協会 長野県雇用開発協会
長野市南県町1040-1 日本生命長野県庁前ビル6F
TEL:
026-226-4684















 新規・成長分野の事業主が中高年の非自発的離職者等を前倒しして雇用する場合または職業訓練を行う場合の助成(平成16年3月31日までの暫定措置)
雇い入れる場合(雇用奨励金)
対象者1人当たり70万円
職業訓練の場合
 
実施奨励金(事業主):訓練内容に応じ対象者1人1月当たり次の額
もっぱらOJTにより、実施されるもの 24,100円
座学が訓練時間の1割を超えるもの 90,000円
受講奨励金(受講者)
訓練受講日1日当たり 6,500円
(財)高年齢者雇用開発協会 長野県雇用開発協会
長野市南県町1040-1 日本生命長野県庁前ビル6F 
TEL:
026-226-4684


雇用対策の充実

概  要 助成率/支給金額 助成機関 申請窓口












(特定就職困難者雇用開発助成金)
 60歳以上の高齢者、障害者等特に就職が困難な方を、公共職業安定所または適正な運用を期すことのできる無料・有料の職業紹介事業者の紹介により継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金に相当する額の一部を助成。
(緊急就職支援者雇用開発助成金)
 雇用に関する状況が全国的に悪化した場合などに45歳以上の厚生労働大臣の定める年齢以上60歳未満の再就職援助計画対象者を継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して、賃金に相当する額の一部を助成。
特定就職困難者雇用開発助成金:重度障害者等1/3(1/2)
緊急就職支援者雇用開発助成金:上記以外の対象者1/4(1/3)
※1 ( )内は中小企業に対する助成率
※2 (特定就職困難者雇用開発助成金)
対象労働者雇入れ後1年間(重度障害者等は1年6ヶ月)に支払った賃金に相当する額に上記の助成率を乗じた額を助成。受給額は雇用保険基本手当日額の最高額の330日分(重度障害者等は495日分)を限度とします。
※3 (緊急就職支援者雇用開発助成金)
対象労働者雇入れ後6ヶ月間に支払った賃金に相当する額に上記助成率を乗じた額を助成。受給額は雇用保険基本手当日額の最高額の165日分を限度とします。
国(都道府県労働局) 県内の各公共職業安定所









 雇用機会増大促進地域等の事業主が新たに事業所を設置・整備し、その地域に居住する求職者等を継続して雇用する事業主に対し雇入れに要する賃金の一定割合を支給。 事業所の設置・整備に伴い雇い入れた支給対象者に対して完了日から起算して6ヶ月に支払った賃金に相当する額として厚生労働大臣が定める方法(雇い入れ事業所の前年度の確定保険料から労働者1人当たりの平均賃金を求めこれに一定の調整率を乗じて得た額)により算定した額の1/6(中小企業1/4)を助成します。 国(都道府県労働局・公共職業安定所) 県内の各公共職業安定所


職業能力の開発と向上
概  要 助成率/支給金額 助成機関 申請窓口











 企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職業訓練の実施、職業能力開発休暇の付与、長期教育訓練休暇制度の導入、職業能力評価の実施またはキャリア・コンサルティングの機会の確保を行う事業主に対して助成するもので、訓練給付金、職業能力開発休暇給付金、長期教育訓練休暇制度導入奨励金、職業能力評価推進給付金およびキャリア・コンサルティング推進給付金の5種類があります。 《訓練給付金》
職業訓練を受けさせる場合の経費(事業内で自ら行う場合は、外部講師の謝金または教材費等の運営費、事業外の施設で行う場合は、入学料または受講料等の派遣費)の1/3(大企業事業主1/4)
職業訓練期間中のその雇用する労働者の賃金の1/3(大企業事業主1/4)
《職業能力開発休暇給付金》
職業能力開発休暇期間中の教育訓練の受講および職業能力評価の受検に要した費用の1/3(大企業事業主1/4)
職業能力開発休暇期間中のその雇用する労働者の賃金の1/3(大企業事業主1/3)
《長期教育訓練休暇制度導入奨励金》
休暇制度を導入した場合30万円または15万円(最初の休暇取得者が発生した場合のみ1回限り支給)。
休暇取得者が発生した場合には、休暇取得者1人につき5万円(休暇取得者が20人を超えるときは20人を限度)。
《職業能力評価推進給付金》
職業能力評価の受検に要する経費(受験料等)の3/4
職業能力評価期間中のその雇用する労働者の賃金の3/4
《キャリア・コンサルティング推進給付金》
専門機関等へのキャリア・コンサルティングに係る年間委託費の1/2に相当する額(初回1年間のみ支給。また、その額が25万円を超える場合は、25万円を限度とする)
雇用・能力開発機構 雇用・能力開発機構長野センター
長野市南千歳1-15-3 TSビル3階
TEL:
026-224-8000
















 高付加価値化や新分野展開等を担う人材を育成するため、体系的・計画的な教育訓練を実施する事業主や創業・異業種進出に伴い新たに労働者を雇い入れ、必要な教育訓練を実施する事業主に対して、経費及び賃金の一部を助成します。 1/2 雇用・能力開発機構 雇用・能力開発機構長野センター
長野市南千歳1-15-3 TSビル3階
TEL:
026-224- 8000


制度・事業

中小企業労働力確保推進事業

 中小企業労働力確保法に基づく認定を受けた組合等及び個別中小企業者の方が雇用管理の改善のために行う一定の事業に必要な経費を補助します。

対象となる方 対象となる事業 施策の内容 手続きの流れ 問い合わせ先
 中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(中小企業労働力確保法)に基づき雇用管理の改善計画の認定を受けた事業協同組合等及び個別中小企業者の方
事業協同組合等が構成中小企業者に対して行う労働時間の短縮、職場環境の改善等の計画を円滑に実施するための指導事業
事業協同組合等が労働時間の短縮、職場環境の改善等のために行う技術・機器及びシステムの開発事業並びに開発した技術等に対応するための従業員の研修事業
個別中小企業者が職業に必要な高度の技能及びこれに関する知識を有する者の確保・育成を図るための労働時間の短縮、職場環境の改善等の計画を円滑に実施するための事業
個別中小企業者が新分野進出等に伴って実施することにより良好な雇用の機会の創出に資するための労働時間の短縮、職場環境の改善等の計画を円滑に実施するための事業
 対象事業に係る経費を都道府県とあわせて補助します。
補助金額
組合等:
最大約800万円(技術開発を含む場合は、最大約1,500万円)
中小企業者:
総事業費約300万円を限度として、その2/3相当額
各都道府県に対し補助金の支給を申請
各都道府県から補助金を支給
長野県商工部産業振興課
TEL:
026-235-7192(直)


中小企業退職金共済制度
中小企業も簡単で有利な退職金制度を設備できます。
対象となる方 施策の内容 手続きの流れ 問い合わせ先
中小企業者  本制度は、事業主の相互共済の仕組みと国の援助とによって、中小企業独力では困難な退職金制度の整備を支援するものです。
 中小企業者が従業員ごとに勤労者退職金共済機構と退職金共済契約を締結し毎月一定額の掛金を納付すると、従業員が退職したときに所定の退職金が直接従業員に支払われます。
 本制度は、確定給付企業年金法(平成14年4月1日施行)の成立に伴い、適格退職年金制度からの移行先の一つとなっております。
助成措置
新しく本制度に加入する事業主に掛金(5,000円から30,000万円までの16種類)の1/2(上限5,000円)を加入後4ヶ月目から1年間、国が助成します。
パート等短時間労働者の特例掛金2,000円、3,000円、4,000円には掛金の1/2の額にそれぞれ300円、400円、500円が上乗せされます。
〔注〕適格退職年金制度から移行する事業主は掛金助成の対象にはなりません。
18,000円以下の掛金月額を増額する事業主に増額分の1/3を増額月から1年間、国が助成します。
所定の申込書を金融機関又は委託事業主団体の窓口に提出
契約成立後機構より従業員ごとの退職金共済手帳を事業主あてに送付
毎月の掛金の納付は口座振替
勤労者退職金共済機構
中小企業退職金共済事業本部
TEL:03-3436-0151(代表)
http://chutaikyo.
taisyokukin.go.jp


特定業種退職金共済制度
建設業、清酒製造業、林業を営む中小企業のための、簡便で有利な退職金制度です。
対象となる方 施策の内容 手続きの流れ 問い合わせ先
建設業、清酒製造業、林業を営む中小企業者  本制度は、建設業、清酒製造業、林業で働く期間雇用者について、事業主の相互協力のもとに設けられた退職金制度です。
 特定業種(建設業、清酒製造業、林業)の中小企業事業主が機構と特定業種退職金共済契約を締結すると、その事業主に期間を定めて雇用される者(期間雇用者)は被共済者となります。
 事業主は、期間雇用者が所持する共済手帳に雇用日数に応じて共済証紙を貼付し、その期間雇用者が特定業種から引退したときに所定の退職金が直接期間雇用者に支払われます。
助成措置
 新たに被共済者となった期間雇用者について、掛金の一部を国が助成します。
共済契約申込書及び共済手帳申込書を機構の各都道府県支部に提出
事業主あて共済契約者証と退職金共済手帳を交付
毎月の掛金の納付は口座振替
勤労者退職金共済機構
建設業退職金共済事業本部
TEL:03-5400-4326
http://www.alles.or.jp/~kentai1/
清酒製造業退職金共済事業本部
TEL:03-5400-4350
http://www.seitaikyo. taisyokukin.go.jp/
林業退職金共済事業本部
TEL:03-5400-4334
http://www.rintaikyo.taisyokukin.go.jp/


目次に戻る