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中小企業支援施策の概要と今後の方向


中小企業庁経営支援部長 川口幸男 中小企業庁経営支援部長
川 口  幸 男

 我が国経済は、依然として厳しい状況が続いておりますが、我が国の太宗を占め、日本経済の屋台骨である中小企業は、イノべーションの創出、雇用の創造等を通じて日本経済再生の担い手となる存在であり、今後ともその活躍が期待されているところであります。
 我が国の中小企業は、過去に経済構造が大きく変化した時でも、多品種少量分野や需要変動の激しい分野に生き残る場所を見出し、安定的地位を確保してきました。今後日本社会において、個人のニーズがますます多様化するとすれば、こうした中小企業の存在意義はますます高まってくると考えられます。また、中小企業は大企業に比べ高成長を達成するものが多いため、現在沈滞ムードにある日本経済が再生し新たな成長発展経路にのるためにも中小企業の再生こそが最も重要であると言えます。
 日本という国が不況という暗い雰囲気にある中でも、各地域をつぶさに見ていきますと、それぞれの地域でご努力なさって、その地域を盛り上げている元気な中小企業者の方々がいることを知っております。将来、日本を盛り上げていくことができるのは、こうした地域でご活躍なされている中小企業者の方々であると信じております。中小企業庁としましては、厳しい時代にありながらも、積極的にチャレンジしている中小企業を今後も様々な形で後押ししていく所存です。具体的には、以下に述べるような3つの柱に重点を置きつつ、総合的かつ積極的に中小企業支援施策を展開することとしております。

1.金融セーフティネットと再生支援
 不良債権処理の進展等構造改革を推進するにあたり、やる気と能力のある中小企業までが連鎖的に破綻することを回避するため、金融面でのセーフティネット構築に万全を期すこととしております。具体的には、中小企業信用保険法を改正し、セーフティネット保証の拡充を行うとともに、事業再生保証制度(DIP保証)を創設いたしました。また、本年2月には、保証付借入金の借換えや複数の保証付き借入金の債務一本化等を促すことにより、月々の返済額を軽減し、資金繰りを円滑化する「資金繰り円滑化借換保証制度」を創設したところです。
 さらに、多種多様で、地域性が強いという特徴をもつ中小企業の再生を支援するために、各地域の商工会議所等に中小企業再生支援協議会を設置して、中小企業の再生支援について知見を有する有能な専門家を配置することにより、地域の関係者の協力を得て中小企業に対する相談助言や再生計画の作成支援等を行って参ります。中小企業再生支援協議会は、既に5月現在で各都道府県の8割以上にあたる40箇所に設置されたところです。

2.挑戦する中小企業への支援
 我が国のものづくりを担う、やる気と能力ある中小企業による新事業、新分野への挑戦及び個人による創業への挑戦に対して多面的に後押しし、元気な中小企業を育成・支援することとしております。
 具体的には、中小企業挑戦支援法により、企業組合制度を創業のために使いやすくするなど、制度改善をしたところであります。
 また、技術革新支援として、我が国製造業の国際競争力を強化するため、基盤的・戦略的分野(金型・ロボット部品分野等)の技術開発プロジェクトに対して、集中的に支援する「戦略的基盤技術開発プロジェクト」を新たに実施しております。
 人材の充実と育成を支援するために、企業OB等の有為な人材と、それを必要とする中小企業とのマッチング支援(企業等OB人材マッチング事業)や、全国の商工会・商工会議所で創業のための実践的な能力の習得を支援する創業塾の開催等を行っております。
 さらに、中小企業の新市場創出を促進するため、個別分野(ロボット、医療・福祉等)での特色ある見本市を開催して販路開拓・取引拡大を支援しております。

3.中心市街地・商店街活性化支援
 個性と活力ある中心市街地を実現するため、ニーズに即したきめ細かな支援を行っております。具体的には、中心市街地では大型店が退店したり、空き店舗が増加するなどの空洞化が進みつつありますが、大型空き店舗対策支援として、中心市街地の集客力を取り戻すためにTMO(タウンマネジメント機関)等が行う空き店舗対策事業を支援しております。

 最後に、地域の中小企業者がこうした支援策を活用しつつ、積極的な事業展開を図られることを期待致します。


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