特集1 通常総代会
創業、経営革新、雇用創出…
デフレ脱却のための起動力として!

 去る5月23日(金)、平成15年度中央会通常総代会が、長野市「ホテル国際21」で開催された。厳しさが続く経済状況に加え、イラク・北朝鮮など緊迫が続く国際社会と日本のかかわり、さらには市町村合併に代表される国政と地方自治の新しい関係など、世情は目まぐるしく変化しながらも先の見通しがはっきりとしない混迷の時代。
 こうした時代のなか、経営問題の解決や新事業展開、環境対応や情報化、国際化など中小企業をとりまくあらゆる場面において「協同化」は今まで以上に重要なキーワードになりつつある。このキーワードの実現と発展に向け、本総代会では新たな事業展開が打ち出された。

今こそ創造力・技術力・行動力を高めよう

 今回で第48回目を迎える長野県中小企業団体中央会通常総代会は、和田守也会長の主催者挨拶で幕を開いた。和田会長は挨拶の中で、構造改革の副作用ともいえる土地・株式の下落による資産デフレや、長野県産業にも大きく影を落としつつある産業の空洞化とこれにともなう失業の増加と雇用の減少に触れ、またさらに補助金の削減にともなう予算減の現状といった四面楚歌の状況の中で、
1. 創造力、技術力、行動力を補完し競争力、経営基盤を一層強化するための巡回支援の実施
2. 企業組合の設立増加を目的とした創業支援の強化
3. 松本地域求職活動援助事業のさらなる推進
4. 全国中央会を通じた、国の委託事業の積極的受入れ
の4項目を重点項目として平成15年度に中央会が取り組むことを、力強く宣言した。

今再認識される「連携」の役割

和田県中央会会長
「創造力・技術力・行動力を高めよう」
和田県中央会会長
小泉長野労働局長
小泉長野労働局長
八重田県産業振興課長
八重田県産業振興課長
 会長の挨拶に引き続き本年度の叙勲・褒章・知事表彰者ならびに役員永年就任表彰、総代永年就任組合表彰が行われた(表彰者氏名はP.10に掲載)。
 引き続き本総代会のメインとも呼べる議案の審議が行われた。1号から10号までの議案審議に当たっては内藤武男氏(副会長・総代)が議長に選任され議事進行を務めた。
 第1号議案では平成14年度に承認可決、展開された事業計画について、組合等中小企業連携組織交流事業、中小企業連携組織支援事業、組合等への情報提供事業などを中心にその経過と成果が報告された。
 第2号議案では、5億2千万円に及ぶ収支決算書が提出され、その他の決算関係書類とともに承認された。
 第3号議案については、平成13年度から実施している松本地域求職活動援助事業について、人材受入情報の収集・提供、または企業合同説明会の実施など、その具体的な取り組みや成果が収支決算ともに報告された。
 第4号議案の平成15年度事業計画(詳細はP.8~9に掲載)については、中小企業連携組織対策事業、県委託事業、一般支援事業、共済事業の推進・協力、関係機関・諸団体との連携・協力、県等の委員会・審議会への委員推薦、中小企業施策の推進に関する事業が挙げられた。この7項目について活発に審議がとり行われ、本年度もまた本会が、組合並びに構成員企業を中心とする中小企業の競争力の強化、経営資源の潤沢化と経営基盤の強化に向け、その役割を果たしていく決意を新たにした。

新年度も強力に推進「松本地域求職活動援助事業」

 第6号議案では昨年度に引き続き実施される松本地域求職活動援助事業計画が発表され、新規事業の「起業・創業支援事業ガイダンス」、「しごとサポート・マップ(仮称)」の作成、「長野県産業活性化・雇用創出プランとの連携によるがんばるプラン支援事業」が、また新規学卒者を対象とする求職活動援助事業においては「職場実習の実施」、「職場見学会の実施」が平成15年度の同事業の重点実施項目として挙げられた。
 以上を中心に第1号議案から10号議案まですべてが承認可決された。

 議事終了後、来賓を代表して、長野労働局局長小泉哲雄殿、長野県産業振興課課長八重田修殿からそれぞれ、祝辞として、中小企業への期待などのお言葉をいただき、平成15年度の通常総代会は幕を閉じた。

議事内容
第1号議案 平成14年度事業報告承認の件
第2号議案   平成14年度収支決算及び剰余金処分(案)承認の件
第3号議案   平成14年度松本地域求職活動援助事業報告及び収支決算報告の件
第4号議案   平成15年度事業計画(案)決定の件
第5号議案   平成15年度収支予算(案)及び会費賦課基準(案)決定の件
第6号議案   平成15年度松本地域求職活動援助事業計画及び収支予算報告の件
第7号議案   平成15年度借入金残高の最高限度額(案)及び借入先金融機関(案)決定の件
第8号議案   理事の補欠選任の件
第9号議案   顧問及び参与推戴の報告の件
第10号議案   その他特別に議する事項



※中央会実施の主要事業のみ抜粋掲載
I 中小企業連携組織対策事業

1. 巡回支援の実施
 会員組合及び構成員企業等を計画的・効率的に巡回し、中小企業施策等の情報を普及するとともに、組合事業の活性化、業界・地域のかかえる問題を把握し、その解決のため協力支援する。

2. 組織化の推進
 企業、個人の連携による創業・新事業創出及び企業経営刷新を支援するため創業連携に努めるとともに、未組織中小企業者の組織化をはかる。特に、組合制度改正と併せて新規創業者に向けて、企業組合制度の普及をはかる。
 また厳しい経済情勢のなか、組合事務所の設置の在り方、特に共同事務所の在り方について研究する。

3. 中小企業連携組織交流促進事業
 大手メーカーが製造拠点を海外にシフト化するなかで、国内中小企業は厳しい経営を強いられている。一方では、生産の高効率化や独自の技術・技能を活用して、海外生産に対抗しているメーカーもある。
 そこで、好業績をあげている企業を訪問して、企業経営革新・中小企業連携・協力・共創を支援するため研修・交流会を実施する。
◎企業交流会(経営セミナー)12回

4. 中小企業連携組織支援事業
 会員組合・任意グループ等を対象に、時代の変化に適応した経営の在り方、受発注開拓・新技術の開発、ITへの対応、集客力の向上、労務管理等直面する問題に対応するための研修・研究会を行い、中小企業の体質強化・活性化をはかる。
(1)業界組織調査開発等支援 25回 (2) 受発注開拓に係る研究・研修会 8回
(3)新設組合研修会(設立3年以内組合) 8回   (4) 組合間交流研修会 20回
(5)地域問題研究会 10回   (6) 労働問題研究会 6回
(7)組合事務局強化研修会 2回   (8) 組合基盤強化研究会 53回
計132回

5. 組合等への活性化情報提供事業
(1) 活性化情報提供事業
  中小企業関係等の諸情報を収集し、会員組合及び関係機関へ提供する。
◎「活性化情報」年6回発行
(2) 資料収集加工事業
  会員組合が、先進的共同事業の実施によって組合員に貢献している事例を調査し、会員組合及び全国中央会等関係機関に紹介する。
◎対象組合 2組合
(3) 中小企業団体情報連絡員による情報の提供
  本会が委嘱する中小企業情報連絡員(50名)から毎月得た情報を、会員組合及び関係機関へ提供する。
(4) 官公需情報提供事業
  中小企業に対する官公需の発注情報等の資料収集を行い、会員組合へ提供する。

6. 組合等情報化対策事業
(1) 中小企業情報創造発信強化支援事業
 
1 会員組合等が自らホームページの作成及び更新を行えるよう、初心者向けと経験者向けの研修を行う。
2 インターネットショップ開設のための専門研修を行う。
(2) 組合指導情報整備事業
  本会の情報システム及び組合に係わる各種システムの開発・運用・管理方法等を研究し、組合の情報化推進支援のため、「システム運用管理委員会」を開催する。


II 一般支援事業

1. 3×3(スリー・バイ・スリー)産業コンソーシアム研究開発事業の支援
 長野県が健康・福祉、環境、教育分野と製造業、農林業、観光業の融合による3×3産業創出や建設産業の新分野進出を早期に実現するため、産学官連携コンソーシアム(地域企業・大学・公設試験場等からなる研究共同体)による研究・試作開発を行い、円滑な産業構造の転換と環境共生維持発展型産業の創出をはかることを目的に取り組む、産業コンソーシアム研究開発事業を積極的に支援する。

2. 地域リーディングカンパニー創造事業の支援
 地域経済の発展の核となる、活力ある挑戦する中小企業を育てる事業(チャレンジ枠)に積極的に支援する。


III 地域求職活動援助事業

1. 松本地域求職活動援助事業
起業・創業支援ガイダンス
 長野県中小企業振興公社中小企業支援センター等が実施している、起業・創業支援の各種事業との連携を図り、企業合同説明会の場等を活用し、起業・創業に係る各種情報の提供等を行い起業・創業を希望する者への支援を行う。
しごとサポート・マップ(仮称)の作成
 託児・託老施設、保育園等の設置状況、利用方法等を記載した「しごとサポート・マップ(仮称)」を作成し、求職活動及び就職時に発生する各種障害の軽減を図る。
長野県産業活性化・雇用創出プランとの連携によるがんばるプラン支援事業の実施
 長野県が策定した長野県産業活性化・雇用創出プランの「3×3による新たな産業づくり」による雇用対策として県内10ヶ所で開催される「サービス業就職マナー講座」と、中高年求職者の知識・体験不足、企業の若年労働者志向等から起因するミスマッチを解消するため、中高年求職者に対しサービス業を中心とした事業主団体等と連携し、必要な知識と基本的な技術を習得する技能講習等とを一体の事業として実施することにより就職の促進を図る。
○技能講習等の実施 10講座

2. 新規学卒者を対象とする求職活動援助事業
職場実習の実施
 新規学卒者等が実際に就業を体験する機会を設けることにより、就職の促進を図る。
職場見学会の実施
 新規学校卒業者等が長野県内の事業所を訪問し、実際の職場環境、業務内容等を把握することができる機会を設けることにより、地域の事業所に関する理解を深める。
○職場見学会の実施 4回



新たに選任された理事(五十音順・敬称略)
近藤 正司 海野町商店街振興組合理事長
山浦 義里   小諸市管工事事業協同組合理事長
保科  誠   長野県中小企業団体事務主任者会会長
桑原 茂実   長野県中小企業青年中央会会長

表彰者ご芳名
叙勲・褒章・知事表彰受章会員顕彰ご芳名(五十音順・敬称略)
平成14年秋 勲五等双光旭日章 井上 哲男 下諏訪商業協同組合理事長
平成14年秋 勲五等双光旭日章 菅沼 盛和 上伊那林産協同組合理事長
平成14年秋 勲五等瑞宝章 細田 正志 松本市水道事業協同組合理事長
平成14年秋 勲五等瑞宝章 山本 和男 松代液化石油ガス事業協同組合理事長
平成14年秋 黄綬褒章 小澤 守章 長野県躯体建設事業協同組合理事長
平成15年春 黄綬褒章 江取 義直 飯伊広告塗装事業協同組合理事長
平成14年 長野県知事表彰 小林 勇生 北信プラスチック事業協同組合理事長
役員永年就任表彰ご芳名(五十音順・敬称略)
牛山今朝治 長野県プリント回路工業協同組合理事長
大窪 幹夫 長野県菓子工業組合理事長
原   亙 長野県鍍金工業組合理事長
総代永年就任組合表彰ご芳名(支部別・順不同・敬称略)
佐 久 佐久管工事事業協同組合
小諸市管工事事業協同組合
佐久広告塗装事業協同組合
小海駅前ショッピングセンター協同組合
上 小 上田ソフトパーク事業協同組合
諏 訪 信州通信機工業協同組合
諏訪生コン協同組合
協同組合長野県中小企業労務協会
岡谷米殻企業組合
上伊那 上伊那自販サービスセンター協同組合
伊那中小企業振興協同組合
飯島ショッピングセンター協同組合
中箕輪自動車協業組合
上伊那 飯田味噌醤油工業協同組合
陽皐ショッピングセンター協同組合
飯田管工事業協同組合
松 本 中信高周波協業組合
安筑生コン事業協同組合
松本生コン事業協同組合
塩尻アルプス工業団地協同組合
長野県美容用品商業協同組合
中信企業振興協同組合
中信水産物商業協同組合
松本市駐車場事業協同組合
ヤマサ商工事業協同組合
松本市建設事業協同組合
上土商店街振興組合
大 北 大町青果協同組合
大北骨材事業協同組合
大北生コン事業協同組合
松川ショッピングセンター協同組合
長 野 長野市権堂商店街協同組合
長野県自家用自動車協同組合
長野市青果移出商業協同組合
長野地区タクシー事業協同組合
長野県セメント卸協同組合
長野県事務機販売事業協同組合
長野県営ガス工事業協同組合
篠ノ井中央商店街協同組合
北信葬祭事業協同組合
長野県遊技業協同組合
長野市生活環境協同組合
長野県管工機材商業協同組合
長野県歯科医師協同組合
協同組合ナガノ駅前センター
テクノハート坂城協同組合
長野自動車部品工業協同組合
企業組合まっち絵具製造
長野車検協業組合
北 信 新井工業団地協同組合
北志賀竜王高原協同組合
飯栄建設協同組合
飯山燃料協同組合
中央自動車整備協業組合
感謝状贈呈ご芳名(敬称略)
中村 俊治 長野県中小企業団体事務主任者会前会長
滝沢 正幸 長野県中小企業青年中央会前会長


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