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地域生活店舗 「本町おかず市場」オープン
~岩村田本町商店街振興組合~

「地産地消」による集客力アップを目指して
 当岩村田本町商店街は地域密着型商店街でありながら、衣食住の食の部分、特に生鮮三品業種が不足し致命的な状態で推移してきた。地域密着型商店街といえば、昔は近隣住民がほぼ毎日のように近所の八百屋・肉屋・魚屋でおかずを買い求め、冷蔵庫要らずと言われたものだった。
 そこで、商店街に生鮮三品を取り入れる事で地域住民の暮らしを支え、また地場農家に消費者の顔を見ながら販売してもらうことで農産物生産者・商人・お客様のネットワークを確立し、商店街の集客力を上げ組合店舗への波及効果を持たせることを目的に、近隣住民や車が運転できない高齢者を対象として地元産にこだわる地域生活店舗の開設に向けて活動してきた。

「本町おかず市場」 開設に至るまで
 平成14年7月から、組合内部において12回にわたり「何を売るのか、誰に売るのか、どのように売るのか」をテーマに勉強会を設け、シミュレーションを重ねることで問題点を抽出し研鑽を積んできた。その結果、商品構成において肉・魚については多額の設備コストと商品ロスが大きく大型店との差別化が難しい点を鑑みて日常的な商品提供を断念し、野菜と惣菜を主品目にしながら旬の肉や魚を不定期に提供することで、大型店と差別化し「地元産へのこだわり」をもった生活店舗を開設することに決した。
 その一方で、生鮮品を扱う店舗が地域の人々に受け入られるか生の声をお聞きするため、8月3日から11月までの4ヶ月間に6回、佐久市内や浅科村農家が栽培した生鮮野菜を直売する「いわんだ市」を開催したところ、毎回200人を超える来場者があり1回当たりの売上も20万円を超える盛況だった。来場者からのアンケートでは「商店街に惣菜屋が欲しい」との声を筆頭に、「野菜の売り場が欲しい」「魚屋が欲しい」「牛乳や納豆等、毎日食する品物を売って欲しい」等の回答が多く、商店街に生鮮業種店舗の出店を望んでいる実情を把握することができた。
 この結果、生鮮食料品に対する消費者ニーズは高いと判断し常設店舗での営業に強い手応えを感じ、平成14年9月佐久市の商工業振興事業補助金交付とともに店舗改装に着手し、地域生活店舗開設に向けて準備を進めていった。

「本町おかず市場」 店舗の概要
「本町おかず市場」は2年前に閉店した陶器店を改装し、総面積30坪・売場面積25坪の店舗に、惣菜六割(パック売りと量り売り併用で、きんぴら・おからや汁物を販売)、野菜3割、豆腐・牛乳等の加工品1割の商品構成。HMR(ホーム・ミール・リプレースメント)による食材提供と、調理場をガラス張りにすることで製造場面のショーアップ化により新鮮度をアピール、対面販売重視により消費者の顔が見える販売を心掛けている。また、店内にベンチを置くことにより地域の人々のコミュニティスペースとして活用していただくことを目指した。
 営業時間は午前9時30分~午後8時まで年中無休により、月商250万円を目標として、店長の坪田健治氏を筆頭に3人の従業員で運営していく予定。坪田氏は東京でジャズピアニストとして活躍後、健康器具販売会社営業を経て地元佐久市に戻り野菜直売に携わる中で組合と関わりを持ち、組合の店長職一般公募により店長に就任した。

これからの課題
 今回「おかず市場」オープンに向けて、商店街全体で勉強会を重ねる中で組合内部に全員でバックアップする一体感が生まれてきた。振興組合に於ける販売促進事業として各個店でPRパンフレットを配布するとともに、クーポン券を発行し「おかず市場」利用率アップを目指して活動していく予定。同時に「おかず市場」とともに各個店も共存していく団結力を維持していきたい。
 地域の人々にとって食材は毎日買い求める物であり、生鮮業種店が商店街にあれば毎日商店街に足を運ぶ回数も増え、商店街にとっても来街者が増えることにより活気と賑わいが増し個店の活性化に繋げることができる。当商店街には「手作り・手仕事・技のまち」とのコンセプトがあり、こだわりをもった商品とお客様に喜んでもらえるサービスを追求する点で「本町おかず市場」はそのモデルケースと考えている。商店街組合員に対しても「おかず市場」出店を契機として『老舗』が『死店』とならないよう自店の経営を見つめ直す機会として捉え、個店の活性化を図ることを通じて商店街活性化に繋げていきたいと考えている。
(取材構成/東信事務所 小池昭雄)


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