第54回中小企業団体全国大会決議

1. デフレ脱却のための景気対策を重視した経済運営
 構造改革の実をあげるため、何よりもデフレ脱却のための景気対策を重視した経済運営を推進し、民需喚起と新規雇用創出のための措置を早急に講ずること。
 また、補正予算の早期の編成と早期執行を行うとともに、平成15年度予算においても、中小企業を抜本的に支援する政策を思い切って講ずること。

2. 景気回復を目指した中小企業対策予算の大幅増額
 平成15年度の予算編成に当たっては、新たなビジネスフロンティアの開拓や地域の活性化等に積極的に取り組む中小企業に対する支援の強化を図るとともに、景気対策としても中小企業予算の大幅な増額を図ること。
 その際、事業費について都道府県の負担が軽減されるよう国の補助要件を弾力化すること。

3. 中小企業金融対策の充実強化
 金融機関等の経営の安定を図るため、国の中小企業対策予算の55倍を超える総額10兆4,000億円強の資本注入を行ったものの、中小企業の資金調達環境は未だ不安定であり、金利引上げ要請が横行していることから、資金調達手段の多様化・安定化を積極的に支援するため、以下のような金融支援措置を講ずること。
(1) 平成15年4月からのペイオフ全面解禁は、地域の中小金融機関等の資金流失が一層増幅し、中小企業の資金調達が困難となり、地域経済への影響が甚大となることから、景気が自律的に回復し、金融システムの安定が確実となるまで延期すること。
(2) 金融システム不安が払拭されない中で、政府系中小企業金融機関による金融セーフティネット機能は極めて重要であることから、中小企業金融対策として現状レベルの民間補完機能は維持されるべきであり、政府系中小企業金融機関の改革論議は凍結すること。
(3) 中小企業信用補完制度の一層の充実を図るため、中小企業総合事業団の保険準備基金、融資基金及び信用保証協会の基金補助金の大幅な増額を行うこと。
(4) 中小企業のセーフティネット施策である中小企業倒産防止共済制度について、最高掛金の引上げ、共済貸付手続の簡素化、貸付実行期間の短縮を図ること。

4. 中小企業連携組織対策の充実強化
(1) 企業組合について、法人への組合員資格の付与、従事比率・組合員比率の緩和など制度を改善するとともに、企業組合に対する税制・金融面での支援策を抜本的に強化すること。
(2) 中小企業組合の決算関係書類・議事録等の電子化を容認するなど、さらに中小企業組合制度の改善を図ること。
(3) 循環型社会の構築・安全対策など社会的課題に対する業界単位での対応を図るため、商工組合等による取組みに対する支援策を強化すること。
(4) 国は、一般財源化された都道府県中小企業団体中央会職員の人件費について、交付税面での所要の手当て等に万全を期するとともに、都道府県においても、中央会の指導体制の整備・充実、事業の円滑な実施等について特段の配慮を行うこと。

5. ITによる経営革新推進のための支援の強化
 中小企業の経営革新には、IT活用による効率化の追求とともに、新たなビジネスチャンスへの積極的な挑戦が不可欠であるが、人材、資本、技術力等の制約により、中小企業のIT化対応は必ずしも十分な状況にはなく、大企業等との情報力格差が拡大しつつあることに鑑み、早急に次の措置を講ずること。
(1) 組合等が行うIT活用型ビジネスモデルの開発、受・発注等を目的とした電子商取引システムの構築等に対する支援策を充実・強化すること。
(2) 電子商取引等中小企業の情報化推進に必要な人材育成策を充実・強化すること。
(3) 行政の情報化及び公共分野のIT化推進において、中小企業が適切に対応できるよう、申請システム等の簡便化を図るとともに、普及・PRの徹底を図ること。
(4) 電子商取引等の基盤となる情報通信ネットワークの安全性及び信頼性確保に向けた所要の施策を推進すること。

6. 法人事業税への外形標準課税導入断固反対
 賃金・資本金等を課税標準とする外形標準課税の導入は、我が国経済の活力を削ぐばかりでなく、最重要課題である雇用創出に逆行すること、赤字法人や大多数の中小法人への課税強化となること、さらに、新規創業支援に逆行することなど、中小企業への悪影響は極めて重大かつ深刻であることから、法人事業税への外形標準課税は絶対に導入しないこと。

7. 事業承継税制の一層の拡充
 中小企業の経営資源について、次世代への事業承継を円滑にするため、次の改善を図ること。
(1) 相続税・贈与税の税率の引上げと税率構造の緩和を図ること。
(2) 中小企業の事業用資産に対する相続について、包括的な軽減措置を認めるなど事業承継税制を充実・強化すること。
(3) 中小会社の取引相場のない株式等に係る評価方法の改善を図ること。

8 .中小企業関係税制の一層の拡充
 我が国の雇用創出や地域経済の活力の源泉である中小企業が将来に向けて積極的な事業展開を図り、その活力を維持・増進させ、経営基盤を強化することができるよう、一層の税負担の軽減等を図ること。
(1) 法人税率の引下げ等
(2) 研究開発、設備投資を促進する税制等の充実・強化
(3) 消費税の中小事業者特例措置の維持・存続
(4) 協同組合等の留保所得の特別控除制度など、中小企業関係租税特別措置の延長
(5) 中小同族会社の留保金に係る重課税制度の全面的廃止
(6) 交際費の損金算入限度額の引上げ等
(7) 固定資産税の税率の引下げ
(8) 青色申告者に対する勤労所得控除制度の創設

9. 信用組合の充実強化
 信用組合が、経営の健全性を確保し、引き続き中小企業者と地域社会の負託に応えていくため、地方公共団体等による資本増強支援と低利預託金の増額等を行うこと。
 また、信用組合にとって、地方公共団体の預金は受信面で大きなウェイトを占めており、信用組合の基盤確保となることから、預金保険制度とは別途の特別立法等の措置によって、全額保護すること。

10. 中小企業労働対策の充実
 完全失業率が5%を超え高水準で推移するなか、雇用面のセーフティネットに万全を期するとともに、中小企業の活力の増進と雇用の維持・増大等を図るため、以下の施策の早期実現を図ること。
(1) 労働基準法制度等について次の措置を講ずること。
1. 有期労働契約について、現行原則1年に制限されている契約期間を最長5年に延長すること。
2. 裁量労働制について、中小企業も活用できるよう、対象業務の拡大、導入要件の緩和等を図ること。
3. 労働者派遣法について、派遣期間の制限、派遣の除外業務等の見直しを行うこと。
(2) 雇用保険制度については、給付の徹底した見直しが大前提であり、保険料率の更なる引上げは行わないこと。
(3) パートタイム労働者について次の措置を講ずること。
1. パートタイム労働者に対する所得税等の非課税限度額を大幅に引き上げること。
2. パートタイム労働者の均衡処遇のためのガイドラインの策定等については、企業の人事・労務管理を阻害することのないよう、その必要性も含め、慎重に検討すること。
(4) 地域別最低賃金の改定のあり方、産業別最低賃金の廃止など、最低賃金制度のあり方を見直すこと。
(5) 雇用関係各種助成制度の支給要件の緩和・弾力化と申請手続きの簡素化を図ること。

11. 環境・リサイクル・安全問題への支援の拡充
 環境・リサイクル・安全問題等の社会的規制が一段と強まる中で、中小企業がこれらの問題に円滑に対応できるよう、次の措置を講ずること。
(1) 環境負荷低減の技術開発やリサイクルシステムの構築等、中小企業が行う環境問題への取組みに対する予算・金融・税制・情報・技術各面における支援施策の充実・強化を図ること。また、グリーン製品市場の拡大など、環境産業の育成を図ること。
(2) 国は、最終処分場を始めとする廃棄物処理施設の設備・確保を促進するとともに、中小企業が共同で取り組む廃棄物処理のための設備導入や技術開発等のシステム構築に対する支援施策を強化すること。
  また、産業廃棄物処理事業及び産業廃棄物処理施設設置に係る許可制度や手続きについて簡素化を行い、中小企業者や中小企業連携組織の負担を軽減すること。

12. まちづくり、中小商業・サービス業等への支援策の充実
(1) 中心市街地及び商店街等商業集積のマネジメント機能を強化するため、商店街組合等が行うITを活用した新業態・新商品開発等のためのビジネスモデルの策定、大型空き店舗等の市街地空洞化対策、コミュニティビジネスなどへの取組みを強力に支援すること。また、経営コンサルタントの長期派遣など、個店の経営力の強化に向けた支援も一層充実すること。
(2) 地方自治体による地域の実情を踏まえた大規模小売店舗立地法の運用を確保するための環境整備に努めるとともに、市町村において、まちづくり条例等の制定が促進されるよう支援を強化すること。
(3) 中小卸売業が流通構造の変化に的確かつ迅速に対応できるようITの活用によるリテール・サポートの強化、情報マッチング機能の強化、共同化による物流の効率化など、経営革新への取組みに対する支援を強化すること。
(4) 中小サービス業の創業や新事業展開のための情報、人材養成、マーケティング、資金等に対する支援策を一層充実させること。特に、高齢者や働く女性等を対象としたコミュニティビジネス等の多様なサービスの創出を促進するための支援策を強化すること。

13. 不当廉売の防止、下請取引の適正化等公正取引の確保
(1) 大規模小売業等が行う不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法、不当表示等に対し、国は、厳正かつ迅速に対処すること。
また、公正取引委員会は、競争制限的行為により中小企業の電子商取引への新規参入が不当に阻害されることのないよう対処すること。
(2) 下請中小企業が親企業の優越的地位の濫用等により不利益な取引慣行を強いられ、不当なしわ寄せを受けることとならないよう、親企業への指導・監督機能を強化し、下請取引の適正化を図ること。
また、下請代金支払遅延等防止法について、一定の生産設備の製造委託及び役務委託を適用対象とすること。

14. 中小企業者・中小企業組合に対する官公需発注の増大実現と良好な受注環境の確立
(1) 各発注機関ごとの発注目標額の公表等を行うとともに、「平成14年度中小企業者に関する国等の契約の方針」に示された中小企業者向け発注目標額を上回る契約実績を確保すること。
(2) 中小企業者の適正価格での受注確保のため、国等の発注にも、地方公共団体の発注と同様に、最低価格制限制度を導入すること。
(3) 組合随意契約制度を「工事施工、物件製造、役務提供」にも適用すること。
(4) 中小企業者の協同組織である官公需適格組合等の中小企業組合の官公需共同受注事業を積極的に活用すること。
(5) 地方公共団体は、国と同様の官公需施策を講ずること。また、国はこれを強力に要請すること。


第54回中小企業団体全国大会・スケジュール
(敬称略)
開  会     10:00
開会宣言 埼玉県中央会副会長 原 宏 10:02
開会挨拶 埼玉県中央会会長 大久保 政一 10:05
国家斉唱・団体歌斉唱     10:10
主催者挨拶 全国中央会副会長 石川 忠 10:20
大会名誉会長挨拶 埼玉県知事 土屋 義彦 10:25
来賓紹介     10:40
議長・副議長選任 議長 埼玉県中央会会長
副議長 山梨県中央会会長
副議長 全国中央会副会長
大久保 政一
宮川 睦武
冨永 和信
10:48
議  事
(1)議案上程
(2)意見発表
  (3人)
 
(3)議案採決
 
 
全国工場団地協同組合連合会会長
埼玉県中央会副会長
石川県中央会会長
 
 
 
坂戸 誠一
小嶋 隆善
五嶋 耕太郎
 
10:50
 
 
 
 
 
来賓祝辞
内閣総理大臣(メッセージ代読)
経済産業副大臣
農林水産大臣政務官
厚生労働副大臣
商工中金理事長
 
西川 太一郎
熊谷 市雄
鴨下 一郎
江崎 格
11:30
表彰式 優良組合表彰
組合功労者表彰
中央会優秀専従者表彰
36組合
72人
39人
11:55
中小企業庁長官所見 中小企業庁次長 青木 宏道 12:13
大会宣言 埼玉県中央会副会長 小川 逸樹 12:28
次期開催地発表     12:34
次期開催地中央会会長挨拶 全国中央会副会長 佐伯 昭雄 12:36
閉会挨拶 埼玉県中央会副会長 仁科 一二 12:37
万歳三唱 中小企業総合事業団理事長 見学 信敬 12:40
閉  会     12:45
アトラクション
(9:00~9:40)全国民謡メドレーなど(岡宏とクリアトーンズ・オーケストラ)
(9:40~9:55)アメリカン・クラウンズ(2人)のショー(木下サーカス)
(12:45~13:15)全国民謡メドレーなど(岡宏とクリアトーンズ・オーケストラ)

大会名誉会長として挨拶する埼玉県知事 来賓祝辞を述べる西川経済産業副大臣 埼玉県中央会大久保会長による開会挨拶
大会名誉会長として挨拶する埼玉県知事
来賓祝辞を述べる西川経済産業副大臣
埼玉県中央会大久保会長による開会挨拶

意見発表では景気対策の即断・実行などが力強く述べられた 木下サーカスによるアトラクション 表彰式では36組合111名が受彰
意見発表では景気対策の即断・実行などが力強く述べられた
木下サーカスによるアトラクション
表彰式では36組合111名が受彰


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