第1部 最近の中小企業をめぐる動向(要旨)

 第1部では、2001年度の中小企業の景気動向を分析しています。
 2000年度後半以降顕著となった中小企業の景況の落ち込みについて、IT産業の減速に注目しつつ、前回景気後退期との比較、大企業との比較の下に、業種別に概観するとともに、設備投資動向、資金繰り動向、労働動向、倒産動向について分析。また、小規模企業と下請企業の動向、地域別の動向についても併せて概観しています。
 また昨今の物価下落傾向や、製造業の海外進出の進展(いわゆる「空洞化」)の現状をもとに、国内中小企業に及ぼす影響について分析しています。

第1章 景気後退下の中小企業の動向(要旨)
 2001年度の中小企業の景気動向は、大幅な悪化が続いた。1999年1月を景気の谷として景気回復を続けてきた我が国経済は、米国景気減速を契機にした輸出の減少、IT産業不況による電気機械等の関連産業の急速な生産減に主導される形で、2000年10月をピークに後退局面に入った。2001年に入るとその減速は顕著となり、企業の業況感も日増しに厳しさを増してきている。中小企業の業況を業種別に見ても、電気機械を始めとする製造業を中心に業況の悪化が激しく、前回景気後退期(1997年5月~1999年1月)を上回る落ち込みとなっている。

第2章 物価下落と中小企業(要旨)
 90年代後半以降の持続的な物価下落が中小企業の経営に影響を及ぼしている。その収益に与える影響については、大企業製造業と比べても大きい。

第3章 製造業の海外進出と 国内中小製造業(要旨)
 高水準で推移してきた海外投資であるが、通貨危機を契機にアジア向けの直接投資が1998年度以降急減したことを受け、急速に低下した。また既に進出した現地法人の活動状況は、全地域で見ると売上高・従業員数が緩やかに上昇している中、特に中国現地法人の成長が著しい。またASEANの現地法人も若干の上昇傾向にある。
 こうした海外での企業活動が活発化する一方で、国内製造業の事業所数、従業者数は減少傾向にあり、産業の空洞化の影響が及んでいる。

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