先進組合事業例集 小売業組合の共同事業

上毛高原ターミナル振興協同組合〔群馬県〕
協同組合おがの黒枡屋〔埼玉県〕
協同組合東金ショッピングセンター〔千葉県〕
三崎朝市協同組合〔神奈川県〕
いーずら大町物産館事業協同組合〔長野県〕
湖西市谷上商業協同組合〔静岡県〕

上毛高原ターミナル振興協同組合〔群馬県〕
■住所 〒379-1305 利根郡月夜野町後閑737-1 ■設立:平成12年4月
■出資金:200万円 ■電話番号:0278-62-2811 ■FAX番号:0276-62-0055
■組織形態:地域型組合 ■地区:沼田市、利根郡 ■主な事業:異業種(小売業)
■組合員:8人 ■組合従業員:2人 ■専従理事: -
■URL: -

上毛高原駅コンコース内に共同販売施設を設置
観光客ニーズをつかみ商品開発に活かすとともに、地元特産品の販売を通 じ地域産業の振興にも寄与すべく、上毛高原駅コンコース内に共同販売施設を設置
上毛高原駅構内の共同販売施設
上毛高原駅構内の共同販売施設
 自社製品のパイロットショップ的なテストマーケティングの拠点として、上越新幹線・上毛高原駅のコンコース内に共同販売施設を設置した。各組合員の顧客とは異なる観光客ニーズを把握し新商品開発に活かすとともに、地元特産品等の販売を通 じ、地域内の特産品や名産品の発掘等、地元の産業振興にも貢献していくことを目指すためである。
 共同販売施設では、各社のプライベートブランドに加え、共同販売施設のプライベートブランドとして開発した「利根っ子」を取り扱っており、これも徐々に浸透してきており、特に季節限定の山菜やキノコなどを詰め合わせたパッケージは、良好な売れ行きをみせている。
 こういった施設のマーケティング戦略推進のポイントは、商品化計画(マーチャンダイジング)であって、その巧拙によって業績も大きく左右される。当組合の場合、構成員全員が安定した商品提供能力を保有しており、さらに、商品配送から返品処理までの物流機能も、それぞれの責任範囲において遂行されている。
 なお、共同販売施設での組合活動のプロセスにおいて、地域住民との円滑なコミュニケーションが図られてきたことは大きな成果 であり、組合活動の次のステップとして、住民参加のミックスカルチャー的な業態開発や将来のイベントプロモーション基地としての構想も、次第に具体性を帯びてきている。

協同組合おがの黒枡屋〔埼玉 県〕
■住所 〒368-0105 秩父郡小鹿野町大字小鹿野377-1 ■設立:平成11年6月
■出資金:970万円 ■電話番号:0494-75-4310 ■FAX番号:0494-75-4310
■組織形態:異業種型組合 ■地区:小鹿野町 ■主な事業:小売業・サービス業
■組合員:33人 ■組合従業員:1人 ■専従理事: -
■URL: -

上質なおがのの暮らしを”蔵“から提案
ふるさと小鹿野町の伝統と現在そして未来をみつめ、モノ、コトを問わずクオリティ重視の目でセレクト。歴史ある「蔵」を再生し、町生活者、来街者にモノを含めた情報を提供していく
黒枡屋夢鹿蔵全景
黒枡屋夢鹿蔵全景

店内
店内
 平成11年9月、旧埼玉銀行の蔵を改修後「小鹿野町観光商業情報館:黒枡夢鹿蔵(ゆめかぐら)」としてオープン。主に、1. 物販、2. 飲食、3. 販売促進事業を展開し、各事業の企画運営、実施ともすべて組合員が行っている。
 1. については、地元、周辺工芸作家、農家、団体と協力して行っており、野菜、オリジナル度の高い商品の確保を果 たしている。価格設定、ディスプレイ、PR等については、積極的に取り組んではいるものの課題となっているところがあり、今後は各地の蔵との情報協力によるユニーク商品の発掘(蔵交易)、「高齢者の暮らしにフィットした商品販売と供給システム」の実現を目指し、地元の感性に根ざした独自のセールスプロモーションの展開を計画している。
 2. は珈琲、縄文カレーを柱にスタートし、組合員の飲食店と協力した出前システム「役者便」などを実施、話題を集めた。現在は歌舞伎や郷土料理に想を得たセットスナックメニューを開発導入し、各事業の稼ぎ頭になっている。今後は町の行事やトレンドに合わせた惣菜や宴会食のメニュー化、テイクアウトの開発がカギになろう。
 3. の主体は集客と情報発信である。コミュニティとしての夢鹿蔵をアピールするセレクションである。オープニング以来コンサート、落語、フリーマーケットの開催を手がけ周辺市町村からもライブスポットとして知られるまでになり、80席程度のミニホールならではの手造り感覚の催事が話題をよんでいる。採算ベースの確保は困難だが、マチネーの導入や飲食とのセッティングが活路になる。情報発信についてはインターネットの整備と町内観光施設との連携が必要であろう。パッケージ化とメディアを使いアイデアが欲しいところである。いずれにしても、廃施設及び空店の再生から新たな商スタイル、商機会の創出を図る夢鹿蔵の事業と商店街の存続と発展のキープロジェクトとなり、今後の展開が大いに期待できる。

協同組合東金ショッピングセンター〔千葉県〕
■住所 〒288-0068 東金市東岩崎8-10 ■設立:昭和46年3月
■出資金:8,266万円 ■電話番号:0475-54-3511 ■FAX番号:0475-54-3515
■組織形態:共同店舗組合 ■地区:東金市 ■主な事業:異業種(小売業)
■組合員:38人 ■組合従業員:10人 ■専従理事:3人
■URL:http://www.sunpia.co.jp

先進事業に積極的な取り組みをする共同小売業
若い組合員の行動力を活かし活発な委員会活動で、事業展開を進める小売業のショッピングセンター協同組合である
 当組合における事業実施の要点は、組合員参加による5つの委員会主導での企画運営である。設立から25年強が経過しているため、周辺環境や競合環境が大きく変化したことにより、事業の目的や実施方法も変化しており、その変化への対応力が問われているのが現状である。
 当組合は、設立時からの商圏人口の増加、近年の競合激化など商圏環境の変化へ積極的に対応してきたため、競合店対策においても一定以上の成果 をあげてきたといえる。売上減少予想が20%のところを5%減で持ちこたえている点は大きく評価できる。今後は、そのために実施してきた「サンピア逸品フェア」のさらなる充実によるMD(マーチャンダイジング)活性化、顧客対応力の強化を「5つの約束」(下図)をもとに消費者の支持を高めることである。
 現在、駐車場の拡大、施設の老朽化に対する対策を早急に計画化することが望まれている。また、情報化への対応は積極的に行ってきたが、組合員レベルでの対応力の強化が課題である。
 成功要因は、当組合の事業に対する取り組み方が優れていたことだが、具体的には、POSシステムやポイントカードシステム等の先進性に早くから積極的に取り組んできたことがあげられる。また、組合運営では、理事長は55歳で退くという慣例があり、若い理事の参加が多く、事業活動においても新しいことに対して積極的に取り組んできたことが、共同店舗として過去モデル組合にもなったことでもわかる。
 また、組合として行政の支援を積極的に受けるための努力と、民間コンサルタントなどの外部専門家のアドバイスを積極的に受け入れる体制が成果 に結びついたとも言える。今後の課題・方向性は顧客囲い込みの具体的対策の構築である。競合店対策としては、専門店の特色強化を狙うと共に、顧客対応における個店での対応強化だけでなく、組合全体としての対応策を強化することが必要である。また、Sカード(ポイントカード)事業による顧客情報の活用、ITの活用、地域住民に対する役割強化が求められている。

三崎朝市協同組合〔神奈川県〕
■住所 〒238-0243 三浦市三崎5-245-7 ■設立:平成12年6月
■出資金:380万円 ■電話番号:0468-81-4488 ■FAX番号: 0468-81-4488
■組織形態:異業種型組合 ■地区:三浦市、横須賀市 ■主な事業:農業、漁業、卸・小売業
■組合員:38人 ■組合従業員: - ■専従理事: -
■URL: -

農業、漁業、小売店が連携して魅力的な「朝市」を開催
農業者や漁業者、小売業者が「三崎」をキーワードに集結し、魅力的な「朝市」を継続している。地元の事業者が互いに協力し合い、10年以上の時を重ねて朝市を育ててきた
朝市会場
朝市会場
朝市会場
 地元三崎のまぐろや魚介類、新鮮な野菜等を活気あふれる市場の雰囲気をそのままに消費者に提供し続けていこうと、朝市の安定と継続した運営を目的に、三崎朝市協同組合が設立された。
 事業は、任意団体の頃から11年間継続している「朝市」がメーンである。全国的にも「朝市」を切り口にした組合は珍しい。朝市は毎週日曜日の朝5時から9時に漁港の800m2ほどの敷地で開催されている。これまで11年間継続して開催し、雨の日も雪の日も休むことなく実施してきた。
 成果は、毎週の集客数3,000名という大人気を博していること。また、組合員企業の後継予定者からも、「小売の面 白さを知った」と事業意欲が高まったとの声も聞かれることである。
 成功要因は、「三崎」そのものの持つ優れたロケーションにある。三崎は三浦半島の先端であり、潮風が吹き、かもめが鳴き、浜の声が聞こえる自然に恵まれた土地である。漁港の朝市に行くと、左に海、右に山があり、新鮮な魚介類と青果 が多数並べられる。このような恵まれたロケーションこそが、三崎の朝市を成功させた要因である。
 今後は、三浦半島を1つの店舗と考えた総合的な地域活性化を進めていき、観光、商業、イベント等が一体となった地域開発を進めていくことが課題である。
 これまでの活動に関して特に改善すべき点はないが、ひとつだけ、インターネットによる魅力の発信は今後速やかに進めるべき事項であろう。

朝市開催広告
朝市開催広告

いーずら大町物産館事業協同組合〔長野県〕
■住所 〒398-0002 大町市字大町3200-1 ■設立:平成9年9月
■出資金:120万円 ■電話番号:0261-23-7511 ■FAX番号: 0261-23-7511
■組織形態:地域型組合 ■地区:大町市 ■主な事業:地場産品販売業
■組合員:25人 ■組合従業員:5人 ■専従理事: -
■URL: -

“いーずら物産館”から情報発信
観光地である地域特性を活かし、地元消費主体の地場産品業者が新天地を求め、共同販売を突破口に観光土産品市場に参入し成果 をあげつつある
 大町市は北アルプス、黒四ダムの玄関口であるほか、市内にも大町温泉郷、青木湖・木崎湖等の観光地を抱える観光都市である。この立地を生かして地元での消費が主体であった地場産品を観光消費と結びつけることにより新しい市場を開くべく有志が相寄り、「良い」を意味する地域の言葉を使った「いーずら物産館」を創設し、異業種による観光土産品の共同販売を始めた。
 店舗内は間仕切りがなく、顧客訴求を重点に商品陳列をしているため、組合員それぞれの商品が混在している。また喫茶施設を併設し地場食品も味わえるようにしているなど、外見は一般 の土産品と変わらないものの、これらレイアウト等の演出は全て事務局職員に任せたことで、店にも活気がある。また顧客の要望により、異業種の共同化ならではの異種商品のセットによる地域イメージの濃い商品も提供している。その他県の内外で市が実施する観光宣伝イベントにも積極的に参加し、「いーずら」ブランドを売り込んでいる。これらの努力が実り、販路の開拓も順調に進んでいる。

物産館全景 店舗内
物産館全景 店舗内

湖西市谷上商業協同組合〔静岡県〕
■住所 〒431-0043 湖西市鷲津3387 ■設立:平成9年6月
■出資金:500万円 ■電話番号:053-574-0300 ■FAX番号: 053-574-0345
■組織形態:共同店舗組合 ■地区:静岡県 ■主な事業:小売業・サービス業
■組合員:5人 ■組合従業員:1人 ■専従理事: -
■URL: -

新タイプの商業集積ゾーン”アルカミーノ“で夢を実現
静岡県湖西市の若手商店経営者による新たなタイプの商業集積。組合員の各個店が時代のニーズに合わせた大胆な業態転換に取り組む
 景気の低迷と消費者行動の変化により市街地の中小小売業・中小サービス業はとりわけ苦戦を強いられている。この現状を打開するための方策の1つとして共同で郊外に店舗を開発するのが有効な手段である。その際には、出店する商店は従来の業種店の延長での経営を行うのではなく、消費者の新しいニーズにマッチした業態転換店として経営ができるかがポイントである。
 当組合は、湖西市商工会青年部メンバーによる新たな商業集積の開発を目的として研究会(任意グループ)で様々な分野の研究と十分な意志疎通 を行い、協同組合を設立(平成8年)し、従来からの夢であった共同商業施設「アルカミーノ」を平成9年10月にオープンさせた。
 施設は、多面体の建物を通路で結び中央部にはパティオと呼ばれる自由空間の中庭を設けたユニークな外観が特徴である。施設内のテナントには、ガーデニングショップ、フォトギャラリー、ファッション、レストランなどの新たなライフスタイルを提案する地元業者が入居している。
 平成11年以降、組合から500メートルの地点に大手スーパーの近隣型商業集積ができ、ますます商業環境は厳しくなっている。移ろいやすい利用者のハートを掴み続けるには、より一層の努力が必要と考え、新たな共同事業や定期的なイベントの開催など、地域の情報発信基地としての役割を再度PRしていきたいと考えている。

アルカミーノ外観
アルカミーノ外観
アルカミーノ案内板
アルカミーノ案内板


先進組合事業例集のトップページに戻る

目次に戻る