先進組合事業例集 IT革命への対応

協同組合物流ネットワーク茨城〔茨城県〕
群馬情報通信事業協同組合〔群馬県〕
マルチメディア・コンテンツ・ソリューション協同組合〔東京都〕
エス・シー・エム推進協同組合〔東京都〕
協同組合横浜マーチャンダイジングセンター〔神奈川県〕
伊那市コミュニティーカード協同組合〔長野県〕
インテリジェントコミュニケーション事業協同組合〔山梨県〕
協同組合森の腰商栄会〔静岡県〕

協同組合物流ネットワーク茨城〔茨城県〕
■住所 〒310-0803 水戸市城南2-4-28 ■設立:平成5年3月
■出資金:950万円 ■電話番号:029-300-2210 ■FAX番号:029-300-2230
■組織形態:トラック団地組合 ■地区:茨城県 ■主な事業:一般貨物自動車運送業
■組合員:19人 ■組合従業員:1人 ■専従理事: -
■URL: -

全国物流情報網加入で組合員車の稼働率が向上
組合が全国物流情報網の共同配送コンピュータネットワークシステムを導入し、組合員は求荷・求車情報を迅速かつ的確に入手して、受注機会の増大や稼働効率向上を実現
 荷主と相対で取引を行うトラック物流業界では、帰り荷の確保が難しく、運送車輌の積載率を充分に確保できないことが問題となっている。また、燃料費をはじめとする経費の削減、事務手続きの効率化といった課題への対応についても、組合員の要望が強かった。そこで、平成5年に組合を設立し、日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会に加入。受注ならびに配送効率向上のための「荷物・車輌情報システム」の導入や、組合員によっては「車輌情報システム」の導入や、組合員によっては「車載端末システム」を導入して経費削減や事務作業の効率化を目指すこととなった。
 導入した「荷物・車輌情報システム」は、全国にいる連合会の会員企業をコンピュータネットワークで結ぶことで、会員同士が24時間常に、荷物や車輌情報を交換することを可能とし、組合員に受注機会の増大と積載率の向上をもたらした。また、「車載端末システム」により、車輌の走行距離やブレーキ回数といった情報をパソコンで管理することで、燃料費や事故費・有料道路代の削減、事務作業の効率化等を実現した。
 こうした事業の成功の背景には、日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会が全国組織であることがあげられる。コンピュータネットワークにより全国の運送事業者を結ぶことで、それぞれの会員企業が営業窓口の役割を果 たすことになり、それが組合員の受注機会の増加につながっている。また、進歩の早いIT分野での投資を最大限に活かすため、組合が積極的にマニュアルの整備や勉強会の開催、電話によるサポート体制の整備等を行ったことで、多くの組合員企業が、導入直後からシステムをフル活用できる体制を整えることができた。
 急速な成長を遂げるIT分野は、中小企業にとっては強力な武器となり得る。しかし、それに伴って、次代の変化するスピードも加速しており、そうした変化についていくための情報収集や技術開発、人材の確保・育成を怠っては、生き残ることは難しい。組合は、そうした組合員のニーズに応えるとともに、組合事業の利用率の向上や組合の財政基盤の強化といった課題にも取り組んでいくこととしている。

群馬情報通信事業協同組合〔群馬県〕
■住所 〒370-0857 高崎市上佐野町706 ■設立:平成10年10月
■出資金:140万円 ■電話番号:027-330-1234 ■FAX番号:027-324-4572
■組織形態:同業種同志型組合 ■地区:前橋市、高崎市、富岡市及び甘楽部
■主な事業:電子情報通信処理サービス業
■組合員:7人 ■組合従業員: -■専従理事: -
■URL:http://www.g-networks.or.jp

インターネットでワンストップサービス
異なる専門性を有する組合員の総合力で、パソコン操作からネットワークシステムの構築までを幅広くカバー。インターネットに関する総合サービスを提供する
組合パンフレット
組合パンフレット
 ユーザーがインターネットを活用するためには、運用・保守、利用者教育などのさまざまな作業が必要になる。これらの作業はユーザーにとって負担が大きいためアウトソーシングによる場合が多い。ところが一般 的に、インターネットに関するサービスを総合的に提供できる大手プロバイダは価格が高いのが実情である。
 一方、高い技術力を有し、右記サービスの1部を低価格で提供できる中小企業も存在するが、サポートできる範囲が限定されており、トータルなサービスを低価格で提供できる事業者は非常に少ない。
 当組合では、このような顧客のニーズに応えるべく、インターネットに関して高い技術レベルを有する7名が組織化し、窓口を一本化することで、インターネットを活用したい顧客が必要とするあらゆることをワンストップサービスで提供できる体制を構築している。
 インターネット利用サービスの中核となるプロバイダ事業は、組合が直接ユーザと契約し、組合員である3人のプロバイダ事業者が設備能力に見合った仕事を引き受けている。その情報通 信設備は、組合員であるメンテナンス事業者がメンテナンスを実施し、組合員であるコンテンツ作成、プログラム作成事業者がプロバイダ事業者あるいはユーザーに対してソフトウエアサービスを提供している。さらに、組合員であるユーザ教育、コンサルタントサービス、保守サービスなどの事業者が、ユーザーからのサービス依頼に応えられる体制を作っている。
 このように当組合では、インターネットという共通点を持つ業種の異なった組合員が協力することにより、中小企業の身軽さを生かしながら、 顧客への総合サービスを提供できるシステムを作り、大手プロバイダに対して技術面、価格面 、サービス面における競争力を高めている。また、将来的には、組合で開発したグループウエアソフト等をASP事業化することも検討しており、さらに広範囲なサービスの提供を目指している。

マルチメディア・コンテンツ・ソリューション協同組合〔東京都〕
■住所 〒160-0018 東京都新宿区須賀町2-3 ■設立:平成10年6月
■出資金:400万円 ■電話番号:03-3355-1199 ■FAX番号:03-3355-4334
■組織形態:同業種同志型組合 ■地区:東京都、埼玉県、神奈川県 ■主な事業:広告写 真撮影業
■組合員:23人 ■組合従業員: -■専従理事: -
■URL: -

色の識別を視覚ではなく、聴覚で
人間の視覚より鋭敏な聴覚を利用することにより、測色計を使用せずに色合わせを行い、色合わせの誤認識を防止
 色を合わせる場合に、2つの色を表示してそれぞれの色を測色計によって、物理的に測定し色を数値化し、表示する色を数値的に変化させて、数値が一致するまでこれを繰り返す方法が一般 的である。しかし、この方式だと測色計がないと色合わせができず、また測色計を使用しても熟練者でなければ色合わせに相当の時間を必要とした。また色合わせを目視で行う場合には、人の目が同時に256色までしか判別 できず、また色の濃淡が近接するものについては数色しか判断できないので、誤認識が多いという問題があった。
 本発明は人間の視覚より鋭敏な聴覚を利用することにより、測色計を使用せず色合わせを行い、色合わせの誤認識を防止することを課題とするものである。色合わせをする2つの色が表示できる表示装置において、色に対応した音を発生する音源装置を前記表示装置に接続し基準色を前記表示装置に表示し、該基準色と色合わせをするテスト色を同時に並べて表示し、基準色とテスト色に対応した音をそれぞれ前記音源装置から出力し、合成器によって合成しスピーカより出力し、テスト色を順次変化させた場合にスピーカから出力される音色の変化によって色の違いを判別 することが特徴である。

聴覚による色調確認システムフロー図

聴覚による色調確認システムフロー図

エス・シー・エム推進協同組合〔東京都〕
■住所 〒101-0031 千代田区東神田1-7-2 弥助第3ビル3F ■設立:平成12年2月
■出資金:300万円 ■電話番号:03-5823-7621 ■FAX番号:03-5823-7623
■組織形態:同業種同志型組合 ■地区:東京都、大阪府、石川県、富山県、兵庫県
■主な事業:情報処理業
■組合員:9人 ■組合従業員:2人 ■専従理事: -
■URL:http://www.scm.gr.jp

得意分野の連携で相乗効果を発揮
製品―物流―販売という商品の供給連鎖に関わる企業が「組合」をベースに価格・品質・品揃え・場所・時間といった消費者の要望に最適な組織で応えていこうとするものである
 A企業の専門領域「アパレル製造向けのCAD」、Bの専門領域「販売データの分析からMD計画策定分野のシステム化」、C「卸売企業、小売企業の業務系」、D「インターネットによる連携システムの開発」、E「画像処理を中心とした仕組み作り」、F「全体システムの設計とSIを中心とした事業展開」以上繊維産業に軸足を置くそれぞれの領域ではトップレベルの会社があったとする。A社は、A社の専門領域ではトップレベルであるが仮にB社、C社の領域の仕事を請けたとしてもA社単独でやり遂げるのは不可能である。そこで各社が協力して共通 の活動方針のもと、活動組織、活動拠点、活動ルール等を整理統合することで、より高度な仕事を受注することが可能となる。
 これを解決してくれたのが協同組合の設立である。協同組合を活動の中心組織に置くことにより、今後の普及活動、サービスにあたり、ローコスト対応、迅速対応が可能となる。開発各社の個別 活動で普及させることは、サポートの規模の面からも、単独企業での知識面 からもノウハウ的に限界がある。しかし、開発各社が集まって普及させるため組合を組織することにより、相乗効果 (シナジー)を発揮することができたのである。ITの先端を行く企業が協同組合の設立によりシナジーをあげた例である。

協同組合横浜マーチャンダイジングセンター〔神奈川県〕
■住所 〒236-0003 横浜市金沢区幸浦2-26-1 ■設立:昭和52年2月
■出資金:61,400万円 ■電話番号:045-784-1501 ■FAX番号:045-784-1504
■組織形態:卸売団地組合 ■地区:神奈川県 ■主な事業:卸売業
■組合員:74人 ■組合従業員:6人 ■専従理事:1人
■URL:http://www.e-cals.co.jp/~mdc

組合有志でインターネット通販サイトを運営
新しい流通形態を模索する目的で、12社の組合員が産業財を中心に120のアイテムをインターネットで販売する。今後は販売主体組織づくりも行う
組合トップページ
組合トップページ

総合支援サービスのページ
総合支援サービスのページ
 日常生活も多様で高度なものになり、消費者のニーズはますます個性化を強め、新しいライフスタイルを求める消費行動が顕在化している。そのため、流通 も時代に対応できる新しい改革が求められてきている。
 このようななか、組合(74社)の有志12社が平成12年2月からインターネット通 販を開始した。ホームページ作成等のウエッブ構築は組合が出資する民間企業が担当している。ホームページはあくまで「場所貸し」に徹し、問い合わせや注文は各組合員に直接入るようになっており、配送や代金決済も各組合員と顧客が直接行う仕組みとなっている。これまで8ヶ月で1、800のアクセスがあり、思わぬ 顧客開拓が進んだ。さらに長期的に異業種製品を組み合わせて付加価値を生む方向を見出すことができた。
 販売する製品は、産業機器、家庭用品、身の回り品、DIY用品、生鮮食品、化粧品、紳士衣料品、住宅資材、家具、文具・事務用品、菓子類、お茶、加工食品であり、12社から計120アイテムの商品が掲載されている。
 成功の要因は、組合と組合員の危機感である。高度化融資が完済し次の組合求心力を模索していたところであった。また、順調な経営をしていた組合員がある日突然倒産するということもあり、わが国の流通 が大きく変化している。この不透明感が組合員の時代の変化を先取りする動機付けになっている。

伊那市コミュニティーカード協同組合〔長野県〕
■住所 〒396-0011 伊那市大字伊那部4605 ■設立:平成8年9月
■出資金:315万円 ■電話番号:0265-72-4177 ■FAX番号: -
■組織形態:地域型組合 ■地区:伊那市 ■主な事業:売業・サービス業
■組合員:219人 ■組合従業員:1人 ■専従理事: -
■URL: -

いーなちゃんICカードで地域商業活性化
サービスポイント・キャッシュ・クレジットの諸機能を持つICカードにより、地域の人々との連帯を深めることを通 じ大型店による地域商業の停滞を打破し活性化する
いーなちゃんカードパンフレット いーなちゃんカードパンフレット
いーなちゃんカードパンフレット
 買い物ポイント機能にキャッシュ機能、クレジット機能を付加したICカード「いーなちゃんカード」は郊外大型店に対抗する地元商店街の有力手段として活動している。このカードは参加小売店に設置されている端末及び金融機関と組合設置のウエブサーバーによるECネットにより運営されているが、全市共通 なポイント制による買い物サービスのほか、バスの乗車料金や1部の公共料金支払いにも利用でき、市民の生活カードの役割も果 たしつつある。このため当初10,000人程度の利用者が、事業開始から約3年経った現在では20,000人へと倍増している。このことは商店街や地域商店等と住民との接触を高めることとなり町の活性化に貢献している。
 しかしこの種の事業は、ネットワークシステムの構築のほか、大蔵省の認可、金融機関との連携等の問題も多いため、行政や地元経済団体等との連携も欠かせないが、その点この事業はこれら諸機関の支援が得られていたため短期間で立ち上げることができた。
 現在組合では次世代のIT化に備えてCATVネットを活用したテレビショッピングの実験に入っている。

インテリジェントコミュニケーション事業協同組合〔山梨県〕
■住所 〒400-0041 甲府市上石田3-12-12 ■設立:平成9年4月
■出資金:400万円 ■電話番号:055-230-1711 ■FAX番号:055-220-7601
■組織形態:異業種連携組合 ■地区:山梨県 ■主な事業:情報サービス業、小売業他
■組合員:20人 ■組合従業員:1人 ■専従理事: -
■URL:http://www.ice-net.or.jp

ネットビジネスで1to1マーケティングを展開
情報サービス業者をはじめ小売業者等で構成された当組合は、ITの武装化により取引先や顧客に対して、インターネット上でのマーケティングに取り組んでいる
 高度情報化社会が進展していくなかで、IT革命によりネットビジネスの市場が注目されている。当組合は、情報サービス業をはじめ小売業等の多彩 なメンバーで構成されており、また中小零細企業である各組合員は経営資源に乏しく、独力のみでは情報化システムの構築は困難を極めていた。
 そこで、情報サービス業の組合員を中心として、インターネットを活用しホームページの開設、オリジナル掲示板の開発、メーリングサービス等の販促ツールでのマーケティングを展開することにした。
 まずは、実験的研究事業として補助金を利用し、衛星放送のための組合と組合員のPRコンテンツを製作した。番組においてプレゼント・プロモーションを実施し、消費者等からのアクセスデータを収集することができた。これを分析し、消費者ニーズを把握してマーケティング活動に活かす狙いである。
 また、ホームページのデザイン制作が容易にできる定型フォームを提供して、組合員がネットビジネスを立ち上げる環境づくりを行った。そして、掲示板や100を越えるメールアドレスを配布し、取引先や顧客との双方向のコミュニケーションを図るマーケティングの展開を目指している。
 今後の課題としては、販売指向のソフト開発、ユーザーのアクセスしやすいウェブサイトの作成、各組合員のコンサルティングの推進が求められている。専従の情報技術者の確保も課題である。

協同組合森の腰商栄会〔静岡県〕
■住所 〒412-0045 御殿場市川島田639-2 ■設立:昭和39年11月
■出資金:500万円 ■電話番号:0550-82-5477 ■FAX番号:0550-82-7787
■組織形態:商店街組合 ■地区:御殿場市 ■主な事業:小売業
■組合員:80人 ■組合従業員:2人 ■専従理事: -
■URL: -

Eメール配信で鮮度のよい情報、新鮮なお買い物を
中小商店が、協同で携帯電話のメール機能を活用して400人の消費者に新鮮な買い物情報をダイレクトに配信し、販売促進を図ろうとする商店街の『IT革命』である
 新鮮な買い物情報を、急速に普及して話題となっている携帯電話へのEメール(モコメール)で発信している販売促進のイベントである。
 森の腰商店街においては、若者の感覚で販売促進活動を推進しようとして青年部が中心となり、商店街の販売促進とスタンプ事業を推進するための株式会社アクテブモコを設立して、日常的に活発な活動を展開していた。この新鮮な感覚が、携帯電話会社の販促活動と結びつき、鮮度のよいお買い物情報をダイレクトにしかも商店や組合、モニター(消費者)も費用の負担なく、モニターにEメールで発信する事業を創りだしたのである。
 モニターは、着信専用の携帯電話を持ち、そこへメールを利用して情報を送りこむのである。販売促進情報は、商店から事務局へFAXまたは電話で伝達される。事務局は、伝えられた情報を150字以内という限定の中で「楽しく」「おもしろく」「読みやすく」をモットーに情報加工してメール送信する仕組みになっている。『ゲーム感覚で』『楽しく』『話題性がある』イベントとして取り組み、地域消費者に支持され、『森の腰商店街は、いつも活き活き何かをやっている』ことが伝わり、モニターを通 して400人のファンを作ることができ、商店街と個別商店の認知が高まっていった。
 商店においても、1部ではあるが鮮度のよい情報の発信の必要性・重要性についての認識を高めることができた。また、販売促進に経費をかけることができないでいた商店も、情報発信ができるようになった。


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