「銀河に翔け 人・知恵・組織の輪で」
第52回中小企業団体全国大会
岩手県 岩手産業文化センターにて開催


来年の長野県大会に向けて
大会旗が和田会長に引き継がれる

 「銀河に翔け! 人・知恵・組織の輪で」をテーマに第52回中小企業団体全国大会が、去る10月19日、岩手県岩手産業文化センターにて開催された。全国から約5000人が参加し、長野県からは163名が参加した。
 情報技術(IT)革命への中小企業支援強化、中小企業金融の充実、中小企業対策予算の大幅増額等を盛り込んだ17項目の大会決議を採択した。
 全国中央会の井上会長は「事業者自ら経営革新を図り、組織連携によって課題を解決していきたい」と挨拶した。
 議事では、IT革命の進展に伴って生じた中小企業の情報力格差(デジタルデバイド)の解消に向けた措置を求めることや、政府に対し、法人事業税の外形標準課税導入に反対すること等意見発表を行い、議案を決議する他、中小企業の自律的発展を誓った大会宣言を全会一致で採択した。

 続いて優良組合等の表彰が行われ、長野県からは優良組合として次の三組合が受彰された。

○松本市駐車場事業協同組合
 理事長 大野正信

○テクノハート坂城協同組合
 理事長 小宮山多賀雄

○中箕輪自動車協業組合
 理事長 重盛芳郎

 受彰された皆様に、改めてお祝い申し上げます。

大会副議長に就任した和田会長(右)



 続いて、中村利雄中小企業庁長官より国の中小企業施策に関する所見が述べられた。
 最後に次回の第53回中小企業団体全国大会は、長野県で開催されることが決定し、大会旗が長野県中央会の和田会長に引き継がれた。和田会長は次回の大会の成功に向けて万全の体制で臨む旨挨拶し、長野県をPRするビデオが放映され、盛会のうちに終了した。

大会会場から見た岩手山
大会会場:岩手産業文化センター「アピオ」


表彰された県内優良組合


松本市駐車場事業協同組合
       長野県松本市城西2丁目1番35号
理事長    大野正信
設立年月日  昭和46年11月27日
組合員数   210人
主な共同事業 駐車場管理事業・共同購入事業・共済事業
▲大野理事長
松本市駐車場事業協同組合
 


テクノハート坂城協同組合
       長野県埴科郡坂城町大字南条4861番地35
理事長    小宮山多賀雄
設立年月日  平成4年3月31日
組合員数   120人
主な共同事業 人材確保、人材高度化事業・共同購買事業・研究開発事業
▲小宮山理事長
テクノハート坂城協同組合
 


中箕輪自動車協業組合
       長野県上伊那郡箕輪町大字中箕輪1833番地
理事長    重盛芳郎
設立年月日  昭和46年12月25日
組合員数   9人
主な共同事業 12ヶ月定期点検整備事業
▲重盛理事長
中箕輪自動車協業組合
 



17項目の大会決議が行われた


 わが国経済は、IT(情報技術)関連を中心に自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきているものの、個人消費は伸び悩みの状態が続き、完全失業率も高水準で推移するなど、先行き不透明感は未だ払拭されておらず、特に、中小企業においては景気回復の足取りは重く、引き続き厳しい状況が続いている。
 また、中小企業は、経済のグローバル化の一層の深化、下請分業構造の流動化、ものづくり基盤の弱体化の懸念、中小小売商業を巡る流通 構造の変化、規制緩和の進展、環境、エネルギー等の制約の増大など、大きくかつ急激な構造変化に直面 している。
 さらに、インターネットの急速な普及を背景としたIT革命の進展により、わが国経済社会は極めて大きな変革の渦中にあり、特に、ITを活用した新たなビジネスモデルの開発をはじめとする新業態の叢生など、新たな経済活動が増大しており、今や中小企業にとって、デジタル経済社会への対応は最重要の経営課題となっている。
 こうした状況の下で、中小企業は、わが国経済のダイナミズムの源泉としての積極的な役割を果 たしていくことが強く求められており、このような期待に応えていくためには、ITへの対応をはじめ、経営革新や創業・新事業展開、ものづくり基盤の強化、循環型経済社会の構築など新たな課題の解決に向けて積極的に取り組み、自らの発展基盤を形成・強化していくことが不可欠である。
 しかし、市場原理尊重の流れがますます強まり、中小企業を取り巻く競争環境が一段と厳しさを増す中で、経営資源に制約のある中小企業が個々でこうした課題に挑戦していくことは容易ではなく、前向きの自助努力を本旨とする組合をはじめ、同業種・異業種の多様な連携組織に結集し、経営資源の相互補完やリスクの適正な分散・軽減、市場への訴求力の強化等を図っていくことが極めて重要である。
 政府は、全国500万余の中小企業が、持ち前の機動性、柔軟性、創造性を活かし、企業家精神を大いに発揮し、経営の発展と活力の増進を図ることができるよう、新しい中小企業基本法の制定を契機に、中小企業施策を抜本的に強化すべきであり、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
 また、新たにスタートする中央省庁体制の下にあって、経済産業大臣は、中小企業担当大臣として、国の最
重要課題である中小企業政策を一層強力に推進すべきである。


決議

1.景気回復を最優先とした経済運営の推進

 わが国経済は、自律的回復軌道に乗ることができるかどうかの極めて重要な時期にある。
 このため、民需主導の本格的な景気回復の実現に向けて、IT、環境、高齢化、都市基盤整備などの分野の対策を中心とした強力な補正予算の早期編成・成立、景気情勢に配慮した来年度予算の編成を図るとともに、中小企業の金融、税制対策に遺漏なきを期するなど、引き続き景気回復を最優先とした経済運営の下で、切れ目のない景気対策を推進すること。


2.IT革命への中小企業の対応円滑化のための支援強化

 IT革命の急速な進展により、わが国経済社会はかつてない大きな変革の渦中にあり、中小企業と大企業等との情報力格差(デジタルデバイド)が拡大し、深刻化しつつあることに鑑み、中小企業がIT革命に円滑に対応していけるよう、次の措置を講ずること。

  1. ITの導入や電子商取引等に中小企業が円滑に対応するため組合等の連携組織が行うビジネスモデルの開発及びネットワークシステムの構築等に対する支援施策の充実強化
  2. ITコーディネータによる情報化支援等、IT革命に対応する中小企業の経営戦略策定への支援施策の充実強化
  3. ITの導入や電子商取引等情報化推進のための中小企業の人材育成への支援施策の充実強化
  4. 中小企業のIT対応を積極化するための、税制及び金融面における支援施策の拡充強化


3.中小企業の発展基盤の抜本的強化に向けた中小企業対策予算の大幅な増額

 平成13年度の予算編成にあたっては、新中小企業基本法の下で、経営革新、創業・新事業展開やIT革命、環境、エネルギー問題への対応等に積極的に取り組む中小企業に対する支援を抜本的に強化するため、中小企業対策予算の大幅な増額を図ること。
 また、地方財政が逼迫化している状況に鑑み、事業費について国の補助要件の弾力化を図ること。
 さらに、中小企業施策に係る受益者負担の導入については、中期的な観点から慎重に対処すること。


4.中小企業連携組織対策の充実強化

  1. 経営資源に制約のある中小企業が、ITへの対応をはじめ、経営革新や創業・新事業展開等への取組みを行っていく上で不可欠な、中小企業組合や「緩やかな連携」等による中小企業の連携を推進するとともに、商工組合等業種別 組織の持つネットワークの活用による環境、エネルギー問題など社会的課題への取組みを促進するため、中小企業連携組織対策の一層の充実強化を図ること。
  2. 地方財政が悪化している現状に鑑み、国は、一般財源化された都道府県中小企業団体中央会職員の人件費について、交付税面 での所要の手当て等に万全を期するとともに、都道府県においても、中央会の指導体制の整備・充実・事業の円滑な実施等について特段の配慮を行うこと。


5.法人事業税への外形標準課税導入絶対反対

 法人事業税への人件費を課税標準とする外形標準課税の導入は、①雇用の創出や投資に抑制的に作用し、経済の活力を削ぐ、②ベンチャーの育成など新規創業支援に逆行する、③赤字法人や黒字法人も含め、大多数の中小法人への課税強化となる、④納税・徴税コストが新たに増大する、⑤二重の応益負担となる、⑥国際的な潮流に逆行するなどの多くの問題があり、わが国経済や中小企業への悪影響は極めて重大かつ深刻である。  よって、外形標準課税の導入は、絶対に行わないこと。


6.事業承継税制の更なる拡充

 わが国経済のダイナミズムの源泉であり、雇用の担い手である中小企業が、次世代への円滑な事業承継を実現するためには、現行の税制ではなお不十分であるので、次の改善を図ること。

  1. 相続税・贈与税の最高税率の引下げと税率構造の緩和を行うとともに、贈与税の基礎控除額を60万円から大幅に引き上げること。
  2. 事業用資産について、生前相続特例制度(贈与税の相続時までの納税の繰り延べ)を創設すること。
  3. 中小企業の小規模宅地等の相続に係る課税特例措置の減額率を80%から100%に引き上げること。
  4. 相続税の支払いに係る負担を軽減するため、延納期間5~20年を大幅に延長すること。


7.IT関連税制をはじめとする中小企業税制の一層の拡充

 中小企業が21世紀に向けて経営基盤の強化と活力の増進を図ることができるよう、次により、中小企業税制の一層の拡充を図ること。

  1. IT革命への中小企業の円滑な対応を促進するための税制の拡充
  2. 情報関連機器等の法定耐用年数の見直し
  3. 事業協同組合等の留保所得の特別控除制度をはじめとする、中小企業関係租税特別 措置の延長
  4. 中小同族会社の留保金に係る重課税制度の廃止
  5. 法人税の中小企業軽減税率の適用所得限度額の引上げ
  6. 欠損金の繰越期間(原則5年)の延長
  7. 青色事業主の勤労性に配慮した所得控除制度の創設


8.中小企業金融対策の一層の充実

 中小企業の資金調達が円滑に行えるよう、次の措置を講ずること。

  1. 貸し渋り等中小企業の信用秩序の混乱の回避に対し、中小企業金融安定化特別保証制度は、極めて有効であったことに鑑み、今後とも中小企業信用保証制度について、金融・経済動向を注視しつつ、万全の対策を講ずることにより、貸し渋り対策に遺漏なきを期すること。
    また、中小企業総合事業団の保険準備基金、融資基金及び信用保証協会の基金補助金の増額を行うなど、その資本基盤の強化を図ること。
  2. 商工中金をはじめとする政府系中小企業金融機関の融資制度について、十分な貸出資金量 の確保と、低利・長期・無担保等の貸付条件の改善を図るとともに、資本基盤を強化すること。
    また、中小企業運転資金円滑化特別貸付等の貸し渋り関連特別融資制度についても、今後の金融・経済情勢を注視しつつ、必要に応じて再延長を行うこと。
  3. 中小企業総合事業団の高度化融資について、新規借入分に限定されている低減金利の年2・1%を既往借入にも適用すること。
  4. 小規模企業者等設備導入資金助成法に基づく設備資金貸付制度及び設備貸与制度の適用対象に、小規模企業者を中心として構成される事業協同組合及び小規模の協業組合を加えること。
  5. 中小企業倒産防止共済制度について、最高掛け金額(最高共済金)の引上げ、共済貸付手続の簡素化、貸付実行期間の短縮を図ること。
  6. ペイオフ解禁は平成14年4月に延期されたが、ペイオフの実施にあたっては、信用組合等の地域金融機関の融資余力の低下等により、中小企業の資金調達に悪影響が乗じることのないよう、事前の環境整備等に万全を期すること。


9.環境、エネルギー問題への取組みに対する支援の拡充

 環境、エネルギーに係る社会的規制が一段と強化される中で、中小企業がこうした課題に円滑に対応できるよう、次の措置を講ずること。

  1. 環境、エネルギーに係る社会的課題に積極的に取り組む中小企業を強力に支援するため、中小企業が行う技術開発やシステムの構築等に対する予算・金融・税制各面 における支援施策の一層の強化を図ること。
  2. 中小企業に対するきめ細かな情報提供や相談・支援のための体制の整備・強化を図ること。
  3. 商工組合等の業種別組織のネットワークを活用した環境、エネルギーに係る社会的課題への取組みに対する支援施策を拡充すること。
  4. 中小企業が共同で取り組む廃棄物処理のためのシステム構築に対する支援施策を強化すること。また、地方公共団体・民間による既設の産業廃棄物処分施設の改修及び存続に係る助成等を講ずるなどにより、最終処分場の確保・設置を強力に支援すること。


10.商店街等商業集積の活性化対策の充実強化、中小商業・サービス業の振興

  1. 商店街等商業集積の活性化を図るため、商店街組合等のマネジメント機能を大幅に強化し、商店街組合等が望ましい業種・業態構成、商品構成、人材育成、PR等を行うための支援措置及びIT導入のための支援策を積極的に講ずること。
    さらに、中小小売商業者の経営革新を一層推進するため、中小小売商業組合等が取り組む新規開業、新業態開発及び環境、リサイクル、福祉・高齢者対応事業に対する支援策を拡充強化すること。
  2. 中小卸売業者が流通構造の急激な変化に的確に対応するため、製・配・販の連携によるリテール・サポート、商品開発、共同化による物流効率化等、中小卸売業の経営革新に対する支援措置を拡充強化すること。
  3. 中小サービス業者が、ITへの対応を円滑に行い、事業の高度化が速やかに図れるよう、情報専門人材の育成及び確保の支援策を拡充強化すること。
    また、ニューサービス業の育成を図るため、ビジネスチャンス創出についての支援策を充実強化すること。


11.街づくりの整合性に配慮した大店立地法の運用、公正取引の確保のための施策の強化

  1. 大規模小売店舗立地法の運用にあたっては、地方自治体は街づくり三法の趣旨を踏まえた中心市街地の活性化はもとより、街づくり条例の制定など地域の実情を踏まえた多様で個性ある魅力的な街づくりに積極的に取り組むこと。
    また、国は、計画的な街づくりを推進するため、農地等もカバーした総合的な土地利用法制の確立を図ること。
  2. 大規模小売業が行う不当廉売、不当表示、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対し、国は、厳正かつ迅速に対処すること。
    また、公正取引委員会は、ネット取引が進展する中で、中小企業のネット取引への参画が排除されることとならないよう、所要のガイドラインの提示とその弊害の除去に努めること。


12.中小企業労働対策の充実

  1. 雇用情勢が依然として低迷する中で、中小企業における雇用のミスマッチを解消し、在職者等の職業能力を向上するため、職業訓練制度の拡充強化及びインターンシップの促進等を図ること。特に、中小企業に対するIT関連の教育訓練に関する支援策を積極的に講ずること。
  2. 特例措置対象事業所における週44時間制の円滑な実施を支援するための「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」を延長すること。
    また、労働時間短縮が自主的に行えるよう、消費者に対する啓発等環境整備を強力に推進すること。
  3. 確定拠出年金制度を早期に創設するとともに、制度の実施にあたって混乱が生ずることのないよう、制度の細目について事前の十分な周知・徹底を図ること。
  4. 定年延長・再雇用等高齢者の雇用機会の確保のため、事業主が行うべき諸条件の整備等に関し必要な支援措置を講ずること。
    また、高齢者自らが行う事業創出についても、既存措置の拡充を図ること。
  5. パートタイム労働者の円滑な確保を図るため、パートタイム労働者に対する所得税等の非課税限度額を大幅に引き上げること。


13.社会保障制度の抜本的な見直し

 わが国経済の活力の源泉であり、雇用の担い手である中小企業が、今後とも活力を発揮することができるよう、年金、医療、介護、雇用等社会保障制度全体のあり方について、総合的かつ長期的視点から、抜本的な見直しを速やかに行い、増加の一途をたどっている、これらに係る事業主負担の抑制を図るとともに、将来における税負担も含めた国民負担の上限値を明確にすること。


14.下請対策の強化


 激変する下請分業構造の中で、情報化の推進、技術力の強化、新製品開発などに取り組み、経営革新や新たな事業展開に積極的に挑戦する下請中小企業や下請組合等に対する支援施策を充実強化すること。
 また、下請中小企業が親企業から優越的地位の濫用等による不利益や不当なしわ寄せを受けないよう、下請取引の適正化を強力に推進すること。


15.中小企業向け官公需の増大

 国は、「中小企業者に対する国等の契約の方針」に定められた措置事項の完全実施に努めるとともに、官公需の中小企業向け発注を大幅に増額すること。
 また、地方公共団体を含めた各発注機関に対して官公需施策の一層の徹底を図り、特に、官公需適格組合をはじめとする中小企業組合の積極的な活用を促進すること。
 さらに、政府調達手続の電子化の一環として行われる申請書類及び審査基準等の統一化等にあたっては、中小企業の実情に十分配慮し、中小企業が円滑に対応できるように努めること。


16.信用組合の充実強化

  1. 協同組織金融機関として中小企業金融の円滑化と地域経済の発展に重要な役割を果 している信用組合が、経営の健全性を確保し、引き続き中小企業と地域社会の負託に応えられるよう、その資本増強等による経営体質の強化と信用基盤の確立について強力な支援を行うこと。
  2. 信用組合が中小企業の多様な金融ニーズに積極的に応えられるよう、地方公共団体の低利預託金の増額等を図るとともに、政府系の各種機関の代理業務、収納業務等の取扱いについて拡大措置を講ずること。
  3. 中小企業金融の円滑化のため、信用組合に対する金融商品等時価会計基準の導入及び同会計基準導入に伴う自己資本比率規制の適用については、組合員の相互扶助を理念とする協同組織金融機関としての信用組合の特性や実情に配慮し、その弾力化を図ること。


17.地域中小企業振興対策の拡充

 地域経済の自律的発展を支援するため、地域産業集積活性化法に基づく施策等の充実、「地場産フェア」開催等の地場産業振興策の拡充・強化、自然・伝統文化等の地域資源を生かした産業の振興策の充実など、地域中小企業の振興対策の一層の拡充を図ること。
 地域改善対策特定事業については、引き続き一般対策への円滑な移行に努めること。



宣 言

 わが国経済は、バブル崩壊以降、金融機関の経営破綻、アジア経済危機などを背景に、デフレスパイラルの瀬戸際に直面 するなど、長期にわたり閉塞状態が続いてきたが、今日こうした状況からようやく脱却しつつあり、経済の新生に向け、国を挙げて懸命の努力が続けられている。
 また、わが国中小企業は、IT革命の進展や経済のグローバル化の一層の深化、下請分業構造の流動化、ものづくり基盤の弱体化の懸念、流通 構造の変化、規制緩和の進展、さらには環境、エネルギー等の制約の増大など、大きくかつ急激な構造変化の渦中にある。
 こうした中で、わが国経済の活力の源泉である中小企業は、持ち前の機動性、柔軟性、創造性を発揮し、経営革新や創業等をはじめ、直面 する新たな課題に積極的に挑戦し、自らの制約要因を克服し、成長要因に転換させていくような活力ある事業活動の展開が期待されている。
 全国の中小企業の代表5、000余名は、本日、第52回中小企業団体全国大会を開催すべく、歌人石川啄木が「おもひでの山 おもひでの川」と望郷の念を募らせたふるさと、詩人宮沢賢治が理想郷イーハトーブと呼んだ風と光の大地こそ岩手に集い、まさに当地がヒューマンネットワークと情報ハイウェイとの結合から、新しい価値や産業を創造しようとするこの時に、「銀河に翔け! 人・知恵・組織の輪で」を合言葉に、中小企業の新世紀創造の方策について鋭意討議を重ね、その自律的発展に必要な施策について決議した。
 政府は、全国500万余の中小企業が、その活力を取り戻し、21世紀への挑戦を可能にする環境を整えるため、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
 われわれもまた、それぞれが企業家精神を大いに発揮し、雇用の創出や地域経済の活性化に努めるとともに、中小企業組合をはじめとする連携組織に自主的にその力を結集し、夢と活力に満ちた経済社会を実現するため、新たな世紀に向かって大きく翔くことを期する。
 右宣言する。

     平成12年10月19日
     第52回中小企業団体全国大会



全国大会に参加して

〔南信地区〕
南信州精密事業(協)事務局長
         河手福男
 全国大会は、もう52回を数えるまでになり、来年は長野県で53回を迎えることになっているが、その準備は着実に進んでいるんだろうかと外野的な心配をしながら、明年の地元開催を意識して岩手県の大会に参加させて頂きました。
 まずは、会場の「岩手県産業文化センター」の岩手山を背景にした偉容もさることながら、それが、片田舎と思われる滝沢村に建設されたことに、岩手県の今後の発展を約束するような姿勢が感じられて感動しました。「さんさ踊り」で始まった大会の、特に若さあふれる知事の挨拶は大変好ましく思いました。そんな折り、膨大な大会資料のなかの地元「岩手日報」に長野県知事選にまつわる記事が掲載されていてなにかしら肩身の狭い思いがしたのは私だけだったでしょうか。
 とまれ大会は成功裏に終始したと思います。どうか長野県大会も印象に残るようなものにして欲しいと念願して会場をあとにしました。

〔北信地区〕
東法出版事業(協)専務理事
         星沢哲也
 “銀河に翔け! 人・知恵・組織の輪で”との大会スローガンのもと、全国中小企業団体の同志が一堂に会し、自からの決意を内外に表明するとともに連携の輪を広げる契機としたいとの大会会長の挨拶の通 り、大会は盛り上りを見せ、目的は達成されたと思います。
 私は全国大会への参加は初めてであり、それ故新しい発見は多分にありましたが、次年度は当県主催ということで終始参考になることがらについて情報収集に徹しました。
 21世紀初の大会成功に向けて頑張りたいと思います。

〔東信地区〕
佐久市工場団地事業(協)事務局
         土屋怜子

 西暦2000年という記念すべき年に、岩手県産業文化センター「アピオ」において中小企業全国大会が盛大に開催されました。
 大会場では、次年度開催県である私達長野県勢は、最前列に席が設けられ、長野県大会も近いことを感じさせられました。
 全国大会参加の目的と同時に組まれている研修旅行(親睦旅行)ですが、日頃家庭と仕事に追われる毎日の中で、3日間大変楽しませて頂きました。初めて訪れた岩手県ですが、海に山にとあふれる自然と、すばらしい景色を堪能して参りました。
 この旅行でご一緒させて頂きました上小支部の女性の皆様と出会え、交流ができましたことも嬉しく思います。お世話になりありがとうございました。
 大会に参加し、大会県の皆様の御苦労に感謝し、お礼申し上げます。
 また、来年は私達が全国の皆様をお迎えする訳ですが、21世紀のスタートにふさわしい、中小企業全国大会が開催できるよう協力し、盛り上げていきたいと思っております。

〔中信地区〕
松本市駐車場事業(協)副理事長
長野県中小企業組合士協会会長
         石井茂一
 みちのく盛岡、石川啄木、宮澤賢治のふるさとで開催された全国大会、キャッチフレーズ「銀河に翔け! 人・知恵・組織の輪で」のもと、5千名余の参加により盛大に開催された。
 長野県知事選挙の余韻をあとに松本を出発、5時間半の旅(長野経由)早くも盛岡に着く。
 新幹線の速さ、便利さに驚く。曇り空を心配しながらも、岩手は南部の観光視察、景勝「浄土ヶ浜」、リアス三陸海岸に一夜を過ごす。ウミネコの歓迎をうけながらの航行、神秘の「龍泉洞」の見学時、みちのくの風は肌寒く早めの宿入りがほしかった。
 鶯宿温泉の豪華なホテルは大会関係者で満員、懇親の場として最適と思う。
 晴天に恵まれた大会当日、焼走り溶岩流で有名な南部の名山「岩手山」、広大な小岩井農場を懐に、その一角、大会会場の「岩手県産業文化センター」の建物がある。
 多くのボランティアの案内で広い駐車場は既に多くのバスが先着。隣接の特産物即売会場は大会会場にアプローチ、100以上のブースでの県内特産品の販売は凄まじい呼び込み、中央に休憩・試食チェアーの設置は便利であった。
 我が長野県は最前列に着席。演壇の正面にモニタースクリーン、左右にモットー・スローガンを配し、「中小企業の力こそ」の意気込みである。しかし、来賓の多くが代理出席であるなか、中小企業庁長官の政策と予算についての所見は有意義なものであった。
 反面、大会半ば頃より空席が目立ったのは、大変残念であった。多分みやげの購入に走ったのであろう。
 第53回は長野県の担当、我が和田会長に大会旗が継承された時には大きな責任を感じた。今大会参加により感じた「反省点」を踏まえ是非とも長野県大会の成功を期したい。参加出来て誠に有意義であった。
 帰りのミニ新幹線「こまち」は在来線だ。中信にもほしい~それが実感である。



目次に戻る