小売業景況調査結果の概要
平成12年1~3月分


 県中小企業情報センターでは(財)長野経済研究所に委託し、県下17市16郡内の小売・飲食業627社を対象に、平成12年3月末現在で調査を行った。
 回答企業は306社で回答率は48.8%である。
 本会では、この調査結果報告書について、その概要を掲載します。

 なお、この調査結果報告書についての問い合わせ等は、長野県中小企業情報センターまでお願いします。
TEL 026(226)560


概 況
業 況 ●業況判断は緩やかな回復基調に
 平成12年1~3月期の全般的な業況を前年同月と比較すると、「良い」とする企業割合は11.0%で97年1~3月期以来3年ぶりに1割を超え、「悪い」とする企業割合は前回調査より減少して62.0%となった。
 この結果、業況判断DI(「良い」│「悪い」)は△51.0と前回調査から10ポイント以上の改善となり、業況判断は回復基調にある。来期(4~6月期)の業況判断見通しをみても△30.4と引き続き改善を予想している。
 ハッピーマンデー採用による三連休やうるう年効果といった要因もプラスに作用し、売上高DI・客数DIとも10ポイント程度改善している。しかし、営業利益率DIは依然横這い状態を脱しないことから、業況の回復感には先行き不透明な要素が残る。


経営上の問題点と対応策
 当面する経営上の問題点をみると、「消費態度の慎重化」が61.8%で引き続きトップとなっている。「大型店等との競争激化」の回答割合は前回調査より減少し、一方で「消費者ニーズの変化」の回答割合が増加した。また、リストラの進展により雇用の過剰感が薄れてきたこともあり、「人件費・経費の増加」の回答割合が減少している。
 対応策では、依然「固定客増等の販売力強化」「経費削減」「品揃え・価格の検討」の三本柱となっているが、問題点で「人件費・経費の増加」が減少したことを反映し「経費削減」の回答割合は51.0%と前回より減少した。
デビットカードの導入について
 今回付帯調査として、本年3月6日より全国で本格的に開始されたデビットカードシステム(買物の際レジで銀行等のキャッシュカードを使い即時に現金決済ができる仕組)の導入意向とその理由について質問した。
 導入の状況をみると、「既に導入している」が3.6%、「導入を検討している」が26.3%と導入派は三割にとどまっており、業種別にみると「自動車関連」「家具・建具」「家電製品」といった業種で、既に導入したとする割合が高くなっている。
 「既に導入」または「検討中」とする小売店に理由を尋ねると、「顧客サービス、利便性の向上」が約六割を占め、次いで「代金回収が容易で確実」となっている。また「今のところ導入するつもりはない」理由としては「利用者が見込めない」との回答が高く、浸透度の低さを示している。次いで「端末機や手数料等コスト増大」と経費負担の増加を懸念する声が高くなった。





地域別動向
業 況 ●全地域とも改善方向へ
 業況判断DIを地域別にみると、各地域とも前回調査より改善し、DIの地域間格差は縮小した。東信、北信、南信の三地域では「良い」とする企業割合が増加し10%を超えている。一方で中信地域は、「良い」とする回答は前回調査を下回り6.9%にとどまったものの「悪い」とする回答が前回より大幅に減少した結果、DIの改善となった。
 売上高DI、客数DIは各地域とも前回調査より改善しており業況判断DIの改善を裏付ける結果となっている。
問題点と対応策
 経営上の問題点をみると、各地域とも「消費態度の慎重化」の回答割合が最も高く過半数を占めている。東信、北信地域では前回調査と同様に「大型店等との競争激化」の回答割合が第二位となっているものの、中信、南信地域では「大型店等との競争激化」の回答は減少し「消費者ニーズの変化」と順位を入れ替えた。
 対応策をみると、上位三回答が全地域とも同じ結果となった。中信地域では「固定客増等の販売力強化」のウエイトが高まり、前回調査で最も高かった「経費節減」を上回った。




業種別動向
業 況
 業種別の業況判断DIをみると、「ガソリンスタンド」「医薬・化粧品」「家具・建具」を除くすべての業種で前回調査時より改善がみられた。特に「飲食店」(△20.6)、、「家電製品」(△20.0)、「自動車」(△25.0)の3業種はマイナス幅を大きく縮小している。
 「飲食店」では宴会等の法人需要が伸び悩む中、ハッピーマンデー採用に伴う三連休等で外食が増加したこともあり業況が改善した。「家電製品」はパソコンや携帯電話が牽引し、「自動車」では小型車が引き続き堅調なことに加え新車投入により普通車にも動きが現れたことで、悪化幅の縮小となった。

 業種別に営業利益率DIをみると、業況感が大幅に改善した「飲食店」や「自動車」は利益率でも悪化幅を縮小している。また、「書籍・文具」も著しく改善した。
 一方「家電製品」では売上高の改善から業況判断が回復したものの、家電量販店との価格競争が激化していることから営業利益率は悪化している。「ガソリンスタンド」では仕込価格の上昇分を十分に価格へ転嫁することが困難なため、大きな落込みとなった。
 業況判断DIの来期の見通しをみると、概ね改善を予想している。「自動車」では新車投入効果が一服すると予測してやや悲観的な見方を示しており、「ガソリンスタンド」も今回と同水準の見通しとなっている。





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