年頭に当たって

全国中小企業団体中央会 会長井上光一氏

全国中小企業団体中央会
会 長 井 上 光 一


 あけましておめでとうございます。
 平成12年を迎えるにあたり、全国の中小企業の皆様並びに中小企業組合関係の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 顧みますと、昨年のわが国経済は、長期にわたる景気停滞の中において実施された各種の政策効果が徐々に浸透しつつあるものの、個人消費の不振、設備投資の大幅減少等民間の自主的回復力は依然として弱く、また企業の生産・販売活動も低調で、失業率もかつてない高水準で推移するなど、なお先行き不透明感が強く、景気回復への顕著な動きは見られない状況のまま越年することになりました。
 一方、21世紀を目前にして、わが国経済社会は、国際競争の激化、地球環境問題の深刻化、高齢化社会の到来、雇用情勢の悪化、地域経済の停滞など幾多の難題を抱えております。
 このような状況下にあって、新たな時代に向けて中小企業が現下の閉塞状態を打破し、わが国経済のダイナミズムの源泉として新たな発展を遂げていくためには、持ち前の旺盛な機動性、柔軟性、創造性を発揮し、自らの経営革新や新たな事業展開に積極的に取り組み、環境変化に即応できるような経営体質を作り上げていくことが重要であります。
 また、市場原理の流れが強まる中で激化する競争に打ち勝ち、強固な発展基盤を築いていくためには、個々では経営資源に制約がある中小企業は、中小企業組合をはじめとする連携組織によって相互に協力し、今まで以上に積極果敢に対応していくことが肝要であると考えます。
 先般改正をみた中小企業基本法においては、新たな理念の下に来たるべき21世紀においても、中小企業をわが国経済の発展と活力の源泉と位置づけ、中小企業の範囲の拡大や経営革新・創業の促進等が盛り込まれることとなり、中小企業をとりまく環境変化に対応した諸施策の方向が示されました。更に、中小企業組織化政策につきましても、中小企業の経営基盤強化のための柱として、交流・連携・共同化の推進を明示するとともに、事業の発展段階や環境変化に応じて多様な連携組織形態の中から自由に組織を選択できる環境を整備し、柔軟な組織再編が可能となるよう組合から会社への組織変更を認めるなど、創業、新事業展開、経営革新を念頭においた事業活動に組合が積極的に取り組んでいけるようになりました。
 このように、本年は新たな中小企業政策の方向づけを踏まえ、改めて自らの組織のあり方を見つめ直し、組合員の新たなニーズに沿った事業活動をスタートさせるべき年でもあります。
 全国中小企業団体中央会と致しましては、都道府県中小企業団体中央会及び中小企業団体との連携を深め、時代を先取りできる組合・連携組織の育成・支援に一層意を用いるとともに、直面する各種の問題解決に向けてより積極的な活動を展開し、中小企業の発展のため全力を傾注していく所存であります。
 新しい年を迎え、中小企業並びに中小企業組合をはじめとする関係の皆様が決意を新たにされ、わが国経済社会の発展と中小企業の振興のため、力強く前進されますことをご期待申し上げますとともに、今年こそは持続性ある本格的な景気回復への転換の年となることを祈念致しまして、私の念頭のご挨拶と致します。

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