サービス業

長野県美容業環境衛生同業組合 理事長古畑元助氏 長野県美容業環境衛生同業組合
理事長 古畑元助

平成12年業界展望

 昨年は一部のテレビやマスメディアが「カリスマ美容師」「スーパー美容師」などともてはやし、美容業界が一躍注目を浴び、高校生の人気職種の1位にまでなってしまいました。その上「無免許美容師」と美容師の資格問題にまで話題が発展しました。
 厚生省の調査(平成10年度末)によると景気の動向に係わらずついに美容室20万軒時代を迎えております。今後大手企業やベンチャー企業が相次いで美容ビジネスに参入してきており、美容師養成施設の新設も続出し、さらに美容室の増加が予想されます。
 その反面業界の現状は、零細規模の店が多く経営近代化が遅れている、需給バランスの悪化と過当競争、規模別格差の拡大、生業的経営と企業的経営の二極化の進行、時間短縮への対応の遅れ、経営者の高齢化、お客様のニーズに対応出来ない、などの数々の問題を抱えております。
 さらに政府が推進中の規制緩和政策のなかで、「公的資格制度」の緩和などが提言されており、これが実施されるとすれば、必然的に私たち美容業界も弱肉強食の競争社会に晒されることになります。従来の横並び意識からいかに脱却し、個々のサロンがお客様の立場に立ち個性的な美容サロンになれるか、経営の手腕が問われる時代に入っています。
 成熟安定型社会が到来し、物質的な豊かさは高水準に達し、精神的な満足が重視されるようになり、数々の問題点を抱えながら、美容業はさらに広範囲に、さらに高度化し、さらに多様化し、無限の広がりを持つようになると思われます。
 全国美容環境衛生同業組合の長期ビジョンによると、21世紀には現在の1兆円台の市場は10兆円市場へと大幅に飛躍しうる可能性を持っていると試算しております。
 それらの市場拡大に挑戦するために、従来の考えから抜け出し、先見性と積極性が求められてきます。単に「髪」に固執することなく、美容のあらゆる分野、「トータルファッション」「リラクゼーション」などに積極的に挑戦し提案しなければならなくなってきております。
 また単にビジネスとして美容サービスをとらえるのでなく、地域社会への貢献といった役割も担う時代でもあります。高齢化社会の進行の中で、美容産業も高齢者介護サービスの一翼をになって出張美容やボランティア活動なども大切なことになります。
 本年は拡大する美容市場と現状とのギャップをいかに埋めるか新たな挑戦の年となるでしょう。

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