[流通業]商店街

海野町商店街振興組合 代表理事櫻井重治氏 海野町商店街振興組合
代表理事 櫻井重治

 長引く不況からの脱出をめざし、政府あげて景気浮揚の諸対策が進められておりますが、先行きの不透明感から、個人消費は依然として冷えこみ、我々中小小売業は相変わらず厳しい状況下にあります。
 更に、大店法の規制緩和や車社会の到来等により、大型店の郊外移転出店やロードサイドショップの増加を促し、商業地域拡大と共に市街地の更なる空洞化等、我々中心市街地商店街をとりまく環境は一段と厳しさを増しております。
 政府もこの現状を察知し、ようやく大型店関連法案として、まちづくり三法を制定し、疲弊した中心市街地の商店街に活力を与えるべく商業振興策を講じたことは御案内の通りです。
 上田市に於いては昨年9月、「歴史が暮らしをつつむ、ときめきの街をめざして」を表題に、旧市内を中心に魅力的な中心市街地づくりを前提とした、上田市中心市街地活性化基本計画を策定しました。
 今日、全国の大部分の市町村は中心市街地活性化施策の定義づけを目標に、街づくり機関(TMO)の成立にむけて努力している現状ですが、このTMOはあくまでも行政主導型でなく、商工会議所や地元商店街、組合等の中小小売業者のコンセンサスに基づく事業構想が主体でありますので、我々地元商業者が他力本願でなく、自主的積極的に計画し、強固な意志とたゆまぬ努力で推進しなければ実現出来ません。
 私共海野町商店街は、現在電線類の地中化工事の真っ最中でございます。
 一昨年の7月当初、消費低迷が続く不況の最中、突然、国の総合経済対策のなかで、建設省では市街地活性化支援策の一環として「海野町通り電線類地中化事業」の実施構想が上田建設事務所から提示されました。
 海野町商店街振興組合では早速この事業に関し、組合員はもとより婦人部青年部まで網羅して検討委員会を設置し、行政機関との合同協議、先進地視察や検討会議等約5ケ月を要し、「人にやさしいまちづくり」をコンセプトに、モダンな開放感のある片持ち柱のアーケードの再設置、歩車道のバリアフリー化、緑のある明るく楽しい歩道空間の演出等を条件として受け入れを決定しました。
 只今、東西三百メートルにまたがる海野町通りの南側商店街は電線類地中化工事が完了し、歩道も新しく整備されました。
 又北側は電線類共同溝の地下埋設工事の真っ最中であり、年度末には完成される予定です。
 アーケード新設後は、街のイメージも一新され、当組合のハード事業も終了致します。
 今後21世紀の高齢化社会にむけて、政府の経済新生対策構想の「歩いて暮らせる街づくり」の推進は、中心商店街に活気を取り戻す絶好の機会だと思います。
 中心商店街が今後生き残るには、商売の原点である消費者との対話を大切に、心のふれあう精神的サービスを提供することが必要であると痛感致します。

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