[流通業]小売業

長野県時計宝飾眼鏡商業協同組合 理事長中澤國忠氏 長野県時計宝飾眼鏡商業協同組合
理事長 中澤國忠

 かつて経験したことのない、厳しい景気低迷が続いております。平成11年度の業界における経済状況から考えましても、決して12年度の見通しは、明るくなるとは考えられない状況です。
 私共協同組合は専門店として、長い間地域に密着した、親しみやすくて便利な店として営業をしてきましたが、異業種の参入により、今日ではお客様から厳しい選別を受けております。お客様の満足が専門店を成り立たせるのですが、どのお客様にも満足していただくことはできません。その為逆に、お客様を選別するようなこだわり型の専門店も出ており、立地、商圏、規模、店主のキャラクターなどにより、さまざまなタイプの専門店に分かれ、それぞれが生き残りをかけての顧客作りが行われております。しかしどんなタイプの店にしろ専門店は、お客様への情報発信はもとより、専門的知識と技術、商品のメンテナンスが不可欠です。特に私共の扱う商品は、「記念の品」「思い出の品」と、かけがえのない大切な宝物となることが多く、品物をお選びさせていただいた「時」までも思い出となります。又眼鏡などは、掛け具合の調整、ネジのゆるみ、クリーニングなど常にアフターケアが必要となり、1人1人のお客様と長いお付き合いをさせていただいております。だが私共業界も年々後継者難となっており、貴重な技術の継承とともに、お客様にとっても思い出の店、便利な店が失われているのが現状です。組合では、ジュエリーコーディネーター、時計修理技能士、眼鏡技術者等資格取得の為の講習会を設け、販売員1人1人の技術力を高め、お客様により満足していただけるよう努力しております。
 専門店がお客様から選別される時代であるとともに、流通戦略上で、メーカーや卸からも選別されるという厳しい時代の中で迎えた2000年、各個店は自分の特徴を持ち、顧客の心をがっちりと掴み、この苦しい状況を乗り越え「商売をしていて良かった」という喜びを感じられる日が、一日も早いことを願います。

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