[流通業]小売業

長野県中古自動車販売商工組合 理事長岡田謙吉氏 長野県中古自動車販売商工組合
理事長 岡田謙吉

平成12年の業界展望について

イ 平成12年の景気見通し
 自動車産業は、最初は自動車メーカー(生産者主導)で始まった。文芸復興の波が新商品を次々と生み出し、ユーザーの購買意欲を助長してきたが、だんだん人々が豊かになるにつれ、指導権はユーザーに移っていった。そして今や先進国では完全にユーザーがメーカー(生産者)の運命を握っている。
 自動車の市場も新車で始まったが、今や新車と中古車では登 録台数で見るかぎり中古車の方が多い(長野陸運支局調べ平成10年度実績)。一見して中古車の方が良く見えるが業界全体から見た場合必ずしも良い状態とは言えない。メーカーの努力によりやっとの事で新車復活の兆しは見えてきたものの、下取りする中古車の程度が悪く、再販できる中古車の発生が極度に少なすぎる。だから新車が売れない限り中古車の発生は有り得ないのだ。
 中古車業界としてはオートオークションの活性化をはかり流通の合理化を促進し、業界への供給の安定に最大限努力しなければならないと思います。

ロ 業界の抱える課題と対応について
 中販連中古自動車販売事業者憲章の最後の項目に『社会的責任』が謳われています。私たちはこの項目を遵守しユーザーの為に、日夜努力し信頼を勝ち取るためにガンバッております。
 我々は自動車社会に於ける、社会的、道義的、経済的責任を認識し、公害、省資源、交通安全等、国家的な要請に応ると共に、国民生活の向上に寄与するものである。
 協会会員以外の中古車販売店ではこの憲章はありませんが、どの様にして知って頂くかの術は有りません。
 自動車公正取引協議会の総会の中に、会議の65%を費やして中古車の問題が提起されました。走行メーターの巻き戻し、事故車の表示の無いもの等依然として無くなりません。社会的責任を認識しない業者がおる事が最大の課題です。
 当協会では、走行メーター管理システム、事故車表示管理をコンピューターで全国ネットワークとして、ユーザーに渡る直前に流通経路より外し、ユーザー保護に努めておりますが、数多い中古車販売店を指導する術は有りません。せめて、私たち協会員だけは『社会的責任』を厳守しなければならないと心得ています。

ハ 組合(協会)運営全般について
 私たち組織ではオートオークションを運営しております。いかに良質な車を安定かつ安全に供給することに努力して居りますが、企業系オークション会場の乱立により組織オークション会場が衰退する危険性があります。業界から親しまれる会場と健全な組織をつくり、会員の利便性を高める組織に造り上げなければならないと思います。
 近い将来には新しいオークション会場と競り機の映像化を図り、会員の利益の為に運営したいと考えております。

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