大会決議
19項目の大会決議が行われた
わが国経済は、個人消費の伸び悩み、設備投資の大幅な減少が続いており、企業の生産活動も低水準で推移している。雇用情勢も依然として厳しく、完全失業率が過去最高を更新するなど、景気は、やや改善しているといわれる中で、依然先行き不透明感が強く、特に、中小企業においては、受注量の減少や、競争激化等による販売価格の低下などから、受注・売上の伸び悩みと採算・資金繰りの悪化に苦しむ状況が続いており厳しい状況にある。
また、経済のグローバル化と産業構造の変化に伴う下請分業構造の流動化、企業活動の国際展開とこれに伴う開発輸入の増加等によるものづくりの基盤としての産業集積の弱体化の懸念、小売店舗の大型化・商業集積の郊外化の進展など中小小売商業をめぐる競争環境の激変、情報化や規制緩和の進展等による業種・業態の変化やさまざまな流通構造の変化など、中小企業は構造的な難題に直面し厳しい試練を受けている。
さらに、今般、中小企業政策の見直しが行われ、今後は、「多様で活力ある独立した中小企業の育成・発展」を目指し、経営革新や創業に向けての自助努力に対する支援、競争条件の整備、セイフティネットの整備が新たな政策の目標とされることになった。
こうした状況の下で、中小企業が、わが国経済のダイナミズムの源泉として、機動性、柔軟性、創造性を発揮して積極的な役割を果たしていくためには、技術力の向上、新製品開発、製品の高付加価値化、新分野・新市場の開拓などの経営革新や新たな事業の展開、デジタル革命ともいわれる情報化への対応、ものづくりなどの人材の養成等に積極的に取り組み、自らの発展基盤を形成・強化していくことが不可欠である。
しかし、規制緩和が進行し、市場原理尊重の流れが強まる中で、激化する競争に打ち勝ち、将来に向かって発展基盤を築いていくためには、個々では経営資源に制約がある中小企業は、事業協同組合をはじめとする中小企業連携組織によって、相互の協力関係を強化することにより、自らの経営資源の強化を図っていくしか道はない。
一方、環境・エネルギー問題への対応、化学物質の安全管理、地球温暖化対策、リサイクルの推進など、社会的に対応が要請されている問題についても、中小企業が個々で対応することは極めて難しいことから、地域の業界全体の改善発達を図ることを使命とする商工組合などの業種別ネットワークを活用して対応することが極めて効果的・効率的であり、これに対する積極的な政策的支援が行われるべきである。
政府は、全国640万中小企業が、現下の閉塞状況を打破し、明るい将来展望の下で、持ち前の企業家精神を大いに発揮し、経営の発展と活力の増進を図ることができるよう、本大会が決議した事項を早急に実現すべきである。
また、中央省庁が再編される中で、経済産業大臣を中小企業担当として明確に位置づけ、中小企業政策を国の最重点課題の一つとして強力に推進すべきである。
決 議
- 機動的な景気対策の推進
- 中小企業(組合等の連携組織を含む)の経営革新、創業、新事業の創出への支援対策の抜本的な強化
- 中小企業対策予算の大幅な増額等
- 中小企業連携組織対策の強化
- 中小企業組合制度の改正及び運用の弾力化
- 中小企業金融対策の一層の拡充
- 中小企業税制の一層の拡充
- 事業承継税制の抜本的な拡充
- 中小企業者の範囲の拡大
- 中小企業、組合等の情報化の推進
- 中心商店街等商業集積の活性化対策の充実強化、中小商業・サービス業の振興
- 街づくりとの整合性に配慮した大店立地法の運用・公正取引の確保のための施策の強化
- 中小企業雇用対策の充実
- 確定拠出型年金制度の創設
- 環境・安全・エネルギー問題に対する支援策の拡充
- 下請対策の強化
- 中小企業向け官公需の増大
- 信用組合の充実強化
- 地域中小企業振興対策の充実強化
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