16.倒産防止対策

経営の悪化により倒産寸前の事態に直面し、また、取引先企業の倒産等により連鎖倒産の危機に直面した中小企業者に対する対策として、次の施策が講じられています。

1.倒産防止特別相談事業

全国の主要な商工会議所と都道府県商工会連合会に「倒産防止特別相談室」(全国273カ所)を設置して、都道府県知事及び中小企業庁長官が適任と認める者を商工調停士として委嘱し、これに弁護士、税理士等を加え、倒産の危機に直面した中小企業者の相談に応じ、金融斡旋、受注斡旋、事業転換の指導などを行っています。
また、倒産防止特別相談室に相談申込みをした中小企業者のうち、経営の安定を図るために緊急に運転資金を必要とする方には、中小企業体質強化資金助成制度(経営安定対策貸付制度)を活用して金融機関への融資斡旋が行われます。これは、同相談室で指導を受け、商工調停士の指導により経営の危機を克服する見込みがあるものとして、商工会議所会頭又は都道府県商工会連合会会長の推薦のあった方が対象となります。

2.連鎖倒産防止事業

(1) 倒産関連特例保証制度

大口取引先の倒産、取引先の操業短縮、あるいは災害の影響などにより経営難に陥っている中小企業、又は不況にあると認められる業種に属し経営が難しくなっている中小企業者が、経営の安定のために必要な事業資金を借り入れる場合に、信用保証協会より通常の限度額とは別枠で保証が受けられる制度です。
 保証限度額……普通保険2億円、 無担保保険 3,500万円、特別小口保険 750万円について通常の付保限度額とは別枠で普通保険2億円、無担保保険 3,500万円、特別小口保険 750万円の保証を受けることができます。
 取扱機関………金融機関又は信用保証協会

(2) 中小企業倒産対策貸付制度

取引先企業の倒産により資金繰りが悪化している中小企業者に、政府系中小企業金融機関等が緊急に必要な運転資金を融資する制度です。
 貸付限度額…既往借入残高にかかわらず、別枠として、中小公庫 6,000万円、国民公庫 1,000万円、沖縄振興開発金融公庫は中小企業資金 6,000万円、生業資金1,000万円
 貸付利率……基準利率
 償還期間……5年以内、特に必要と認められる場合7年以内(据置期間1年以内)

(3) 中小企業倒産防止共済制度

取引先事業者の倒産の影響を受けて中小企業者が倒産する事態(連鎖倒産)又は倒産に至らないまでも著しい経営難に陥る事態の発生を防止するため、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、中小企業者の拠出による共済制度を確立することによって、中小企業の経営の安定に寄与することを目的としています。
本制度に加入後6カ月を経過して、万一取引先事業者が倒産し、売掛金や受取手形などの債権の回収が困難となった場合には、積み立てた掛金総額の10倍の範囲内で無担保・無保証人・無利子の貸付が受けられます。
掛 金 毎月の掛金は、5,000円から8万円までの5,000円刻み(掛金限度320万円)
税制上の優遇措置 掛金は損金又は必要経費に算入できます。
貸付額 取引先が万一倒産した場合、積み立てた掛金総額の10倍又は回収が困難となった売掛金債権等の額のいずれか少ない額(貸付限度 3,200万円)
貸付条件 無担保・無保証人・無利子(ただし、貸付額の1/10に相当する掛金額に対する権利は消滅します。)
償還期間 5年以内(うち据置期間6カ月)
一時貸付金の貸付 臨時に事業資金の調達が必要になった場合、一時貸付金の貸付が受けられます。
取扱機関 中小企業総合事業団、中小企業団体中央会、商工会議所、商工会、金融機関

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