2.雇用対策の充実

雇用保険法等に基づく雇用関係各種給付金のうち、事業主等に対して支給される給付金としては次のようなものがあります。

(1) 高年齢者、障害者その他就職が特に困難な者を新たに雇い入れた事業主への給付金

特定求職者雇用開発助成金……高年齢者(55~64歳)、障害者その他就職が特に困難な者を公共職業安定所の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れた事業主に対して賃金の一部が助成されます。助成額は、平成9年度においては、雇入れ後1年間に支払った賃金の3分の1で、雇用保険基本手当日額の最高額の300日分が限度です。重度障害者の場合の助成額は雇入れ後1年6ヵ月間に支払った賃金の2分の1で雇用保険基本手当日額の最高額の450日分が限度です。また、60歳以上65歳未満の高年齢者及び重度障害者については短時間労働被保険者も含まれ、前者の助成額になります。
なお、緊急雇用開発対策期間中(平成11年4月1日現在、平成11年9月30日までとなっている。)は、45歳以上55歳未満の中高年齢者も支給対象としており、助成額は雇い入れ後1年間に支払った賃金の4分の1で雇用保険基本手当日額の最高額の300日分が限度です。


(2) 定年到達者の雇用延長等を行った事業主への給付金

① 継続雇用定着促進助成金

継続雇用定着促進助成金は、継続雇用制度奨励金及び多数継続雇用助成金から構成されます。

ア.継続雇用制度奨励金(第Ⅰ種)

60歳以上定年が定められている事業主であって、労働協約の改定もしくは締結、又は就業規則の変更もしくは作成により、65歳までの継続雇用制度(定年の引上げ、勤務延長、再雇用、出向)を設けた事業主に対して助成されます。助成額は企業規模及び継続雇用期間に応じて100万円から250万円が(最大)5年間支給されます。

イ.多数継続雇用助成金(第Ⅱ種)

「第Ⅰ種」受給事業主であり、雇用期間1年以上の高齢者(60歳以上65歳未満)の雇用率が10%を超えている事業主に対し、雇用率10%を超える高齢者の雇用数に応じて1人当たり月額4万円(大企業3万円)が(最大)5年間支給されます。

② 高齢期就業準備奨励金

労働協約又は就業規則により60歳以上の定年制を定めているか又は定年制を定めていない事業主で、労働協約又は就業規則により45歳~64歳において高齢期の職業生活に向けた準備を行うための有給休暇(10日以上3カ月以内)を与える制度を創設したものに対して助成されます。助成額は企業規模に応じて80~ 200万円です。また、対象者が5年以内に生じた場合、1人当たり月額6万円(短時間労働被保険者については3万円)が支給されます。

③ 高年齢者雇用環境整備奨励金

労働協約又は就業規則により60歳以上の定年制を定めているか又は定年制を定めていない事業主で高齢者が働きやすいよう企業の施設設備等の職場環境の改善等を行うもの(あるいは、高齢者会社を設置した事業主)に対して助成されます。年ごとに計3回あるいは計5回支給され、1回当たりの支給額は、施設・設備の改善に要した費用(あるいは高齢者会社設置費)及び高齢者雇用増加数に応じて25万円~ 2,000万円となっています。


(3) 事業活動の縮小に伴い雇用調整を行った事業主への給付金

① 雇用調整助成金

景気の変動、産業構造の変化に伴い、事業活動の縮小を余儀なくされて休業、教育訓練又は出向を行った事業主に対して、ⅰ)休業の場合には休業手当の4分の3(1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度、ⅱ)教育訓練の場合には教育訓練の受講日について支払った賃金の5分の4(1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度)と、訓練費として1人1日当たり 6,000円、ⅲ)出向の場合は、出向元事業主の負担額(出向前における通常賃金の2分の1が限度)の4分の3(1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度)が支給されます。(ただし、上記の助成率及び訓練費は暫定措置によるものであり、変更になることがあります。)

② 労働移動雇用安定助成金制度

特定不況業種事業主、特定雇用調整業種事業主又は特例事業所の事業主が、公共職業安定所長の認定を受けた雇用維持等計画又は失業の予防のための措置に関する計画(以下「認定計画」という。)に基づいて、出向・再就職あっせん、事業転換又は事業再構築に伴う配置転換など雇用維持のための措置を実施した場合、その事業主又は受入事業主に対して労働移動雇用安定助成金が支給されます。

 ⅰ) 労働移動雇用安定奨励金

認定計画の対象となっている過剰人員が、1)出向・再就職あっせん、2)事業転換に伴う配置転換により雇用を維持された場合、事業主に対し、その労働者の賃金の一部について助成が行われます。

 ⅱ) 労働移動雇用安定特別奨励金

認定計画の対象となっている一定数以上の過剰人員について、事業転換又は事業再構築に伴う配置転換を行う事業主に対し、雇用維持数と雇用維持率に応じた一定額が支給されます。

 ⅲ) 労働移動雇用安定移転給付金

出向・再就職あっせん又は配置転換の対象となる労働者が当該措置の実施に伴い住居の移転を余儀なくされる場合に移転費用等を負担した事業主に対し、その移転費の一部が助成されます。

③ 労働移動能力開発助成金制度

認定計画に基づく出向・再就職あっせん、事業転換又は事業再構築に伴う配置転換の前後に、新しい職務に必要な教育訓練を実施する場合、その事業主に対して労働移動能力開発助成金が支給されます。

 ⅰ) 出向・再就職あっせん、事業転換又は事業再構築に伴う配置転換等を前提とした教育訓練に係る労働移動能力開発給付金

認定計画に基づき、出向・再就職あっせん、事業転換等に伴う配置転換を前提とした教育訓練(公共職業能力開発施設に委託して実施するものを含みます。)を受けさせる場合、助成が行われます。

 ⅱ) 出向・再就職あっせん、事業転換又は事業再構築に伴う配置転換後の教育訓練に係る労働移動能力開発給付金

出向・再就職あっせん者を受け入れる事業主又は事業転換等に伴う配置転換を実施する事業主が、教育訓練を受けさせる場合、助成が行われます。

 ⅲ) 労働移動能力開発移転給付金

公共職業能力開発施設に委託して行われる教育訓練を受講するため住居の移転を余儀なくされる労働者に対して、労働移動能力開発助成金の支給対象事業主が移転費用等を負担した場合、移転給付金が支給されます。

④ 中高年労働移動支援特別助成金

中高年齢労働者の雇用の安定を目的として、生産高の減少を余儀なくされている事業所の方から失業を経ることなく中高年齢労働者を出向・再就職あっせんにより受け入れた事業主を対象に賃金や教育訓練に要した経費について助成する。

 ⅰ) 中高年齢労働移動雇用安定奨励金

対象事業主から45歳以上60歳未満の中高年齢労働者を出向・再就職あっせんにより雇い入れた事業主に対して、負担した賃金の一部を助成します。受け入れ事業主が負担した額の(中小企業の方は、2分の1、大企業の方は、3分の1)の額を1年間助成します。

 ⅱ) 中高年齢労働移動能力開発給付金

中高年齢労働者に対して、新たな職務に従事させるために必要な知識、技能又技術を習得させるため、教育訓練を受けさせた事業主に対して、その教育訓練の期間において負担した賃金及び教育訓練に要した費用の一部を助成します。受け入れ事業主が負担した額の(中小企業の方は、4分の3、大企業の方は、3分の2)の額を助成します。なお、本助成金は、人材移動の円滑化を強化するため、中高年労働移動特別助成金を抜本的に拡充し、発展的に人材移動特別助成金(仮称)を創設することとしている。


(4) 雇用機会の増大が必要な地域に事業所を設置・整備し、求職者を雇い入れた事業主への給付金

① 地域雇用開発助成金

雇用機会増大促進地域(特定雇用機会増大促進地域を含む。)及び過疎雇用改善地域における雇用構造の改善を図るためその地域内で事業所を設置又は整備し、その地域に居住する求職者等を公共職業安定所の紹介により、常用労働者として雇い入れる事業主に対して支給されるもので、「地域雇用奨励金」、「地域雇用特別奨励金」、「地域雇用移転給付金」の3種類があります。

ア.地域雇用奨励金

雇用機会増大促進地域及び過疎雇用改善地域の事業主にあっては、事業所の設置・整備及び雇入れ完了日から1年間、雇い入れた対象労働者に支払った賃金の一定割合が支給されます。特定雇用機会増大促進地域の事業主にあっては、特定雇用機会増大促進地域離職者の雇入れに対して完了日から3年間支給されます。

イ.地域雇用特別奨励金

事業所の設置・整備に伴い雇い入れた対象労働者が5人(小規模企業の場合は3人)以上の場合に、設置・整備に伴う費用及び対象労働者の人数に応じて一定額が支給されます。支給回数は、雇用機会増大促進地域及び過疎雇用改善地域の事業主は設置・整備直後とその後1年ごとで合計3回まで、特定雇用機会増大促進地域事業主(対象労働者のうち1人以上が特定雇用機会増大促進地域離職者である事業主)は合計5回までです。

ウ.地域雇用移転給付金

雇用機会増大促進地域(特定雇用機会増大促進地域を含む。)又は過疎雇用改善地域において、他の事業所から労働者を移転させる事業主(過疎雇用改善地域については、就職するために住所を移転する労働者を雇い入れるものも含む。)又は大都市圏の事業所の労働者ぐるみで地方移転を行う事業主であって、その労働者の移転に要した費用を負担した事業主に対して実費相当額が支給されます。

② 大規模雇用開発促進助成金

雇用機会増大促進地域において地域内で労働大臣の認定を受けた計画に基づき事業所を設置し、その地域に居住する求職者等を50人以上雇い入れる事業主に対し、次のとおり支給されます。

ア.雇入れ労働者数50人以上、事業所の設置に要した費用10億円以上(イ、ウを除く)

1回当たり 4,000万円(計5回)

イ.雇入れ労働者数 100人以上、事業所の設置に要した費用25億円以上(ハを除く)

1回当たり1億円(計5回)

ウ.雇入れ労働者数 200人以上、事業所の設置に要した費用50億円以上

1回当たり2億円(計5回)

なお、本社機能を有するなど魅力ある雇用機会の開発に対しては、1回目の支給額に2,500万円が上乗せされます。


(5) 労働者の技能を活用した新事業展開による雇用機会の創出を行う事業主への給付金

① 高度技能活用雇用安定助成金

地域雇用開発等促進法等に基づき、高度技能活用雇用安定地域において、雇用創出への取組を行う事業主又は事業主団体に対して助成を行うもので、「地域高度技能人材確保助成金」、「地域高度技能雇用環境整備奨励金」、「地域高度技能活用推進事業助成金」の3種類があります。

ア.地域高度技能人材確保助成金

新事業展開を担う人材(高度技能人材)を受け入れ、併せてその地域に居住する求職者を雇い入れた事業主に対して、当該受入れに要した費用(賃金等)の4分の1(中小企業の場合は3分の1)が1年間助成されます。

イ.地域高度技能活用雇用環境整備奨励金

労働環境改善設備又は福祉施設の設置・整備を行い、併せてその地域に居住する求職者を雇い入れた事業主に対して、施設・設備の整備に要した費用及び雇入れ人数に応じ50万~1,000万円(中小企業は75万~1,500万円)が助成されます。なお、事業主は設置・整備した施設を、当該事業主の事業所の従業員であったものが創業した企業(のれん分け先企業)の従業員に利用させる場合には、設置・整備に要した費用に応じ15万から150万円(中小企業の場合22.5万円~225万円)の加算を行います。

ウ.地域高度技能活用推進事業助成金

高度技能活用雇用安定地域において、新事業展開による雇用創出を図るための調査研究を行った事業主団体に対して、調査研究に要した経費の全額(1事業年度当たり500万円を限度とします)が2年間助成されます。


(6) 労働者に職業訓練等を受講させた事業主への給付金

① 職場適応訓練費

実際の職場で作業環境に適応するための訓練を受けた上でその事業所に雇用されることを目的として、訓練を実施した事業主に対しては訓練生1人当たり月額23,900円(短期は日額 950円)(重度障害者24,900円、短期は日額 990円)の訓練費が委託費として支給されます。訓練期間は、中小企業及び重度の障害者は1年以内(その他は6カ月以内)また短期は、重度の障害者4週間以内(その他は2週間以内)です。

② 再就職促進講習給付金

一定の基準を満たした適格な職業選択を可能にするために必要な知識を修得させる講習を的確に実施できると認められた雇用保険適用事業主、事業主の団体等が2日以上4日以内の講習を実施したときに、その講習を受講した雇用保険の受給資格者1人1日について 3,000円が事業主等に支給されます(再就職促進講習奨励給付金)。また、雇用保険の受給資格をもつ受講者には、1日について 860円が支給されます(再就職促進講習受講給付金)。

③ 職業安定促進講習

同和関係住民のうち、臨時、日雇労働者等不安定な就業状態にあり、職業に必要な知識又は技能を習得する講習を受けることが適当と公共職業安定所長が認める者に対し、講習を委託された各種学校等には入学金及び受講料相当額(講習委託費)が支払われ、受講者には受講手当、受講奨励金及び通所手当(受講給付金)が支給されます。


(7) 建設雇用改善助成金

① 建設教育訓練助成金

ⅰ)第1種

中小建設事業主等が、職業能力開発促進法による認定職業訓練を行う場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、訓練課程により異なりますが、例えば普通職業訓練普通課程であれば1人1カ月当たり3,400円です。

ⅱ)第2種

中小建設事業主等が建設労働者の技能向上のための技能実習を行う場合、又は、建設労働者の教育訓練の受講に対し、その経費を助成した場合その経費の一部が助成されます。助成額は、一の技能実習について1日当たり13万円を、かつ20日分を限度とします。教育訓練の、受講援助については、建設労働者に援助した額の1/2(建設労働者1人1コース10万円を限度)です。

ⅲ)第3種

・運営費

職業訓練法人(広域的訓練を実施するものに限ります)が野丁場職種の職業訓練の推進のための活動を行う場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、職業訓練の推進のための活動に要した経費の2/3(6,000万円限度、ただし訓練人日2万人未満の場合4,500万円限度)です。

・整備費

元方事業主(下請労働者を対象とする場合に限ります)又は職業訓練法人が職業訓練の実施に必要な施設又は設備の設置整備を行う場合に、その経費の一部が助成されます。助成額は、整備費の1/2(限度額3億円)です。

・受講援助経費

広域的な共同訓練を受講させた建設事業主に対し、その受講に要する経費の一部が助成されます。助成額は、受講援助経費の1/2(限度額1人当たり2万円)です。

ⅳ)第4種

中小建設事業主が、その雇用する建設労働者に有給で認定職業訓練を受講させた場合、その賃金の一部が助成されます。助成額は、長期間課程訓練で1人1日当たり4,400円、短期間課程訓練で7,000円です。ただし、その額に認定訓練派遣等給付金相当分の額を加えた額が通常の賃金の額を上回るときは、その分を控除した額です。
また、中小建設事業主が、その雇用する建設労働者に有給で技能実習等を受講させた場合、その賃金の一部が助成されます。助成額は、1人1日当たり4,900円(通常の賃金の額が4,900円未満のときは、その賃金の額)です。ただし、一の技能実習等については20日分が限度です。

② 雇用管理研修等助成金

中小建設事業主等が、労働者の雇用の管理に関し必要な知識を習得させるための雇用管理研修又は建設労働者に対する指導監督に必要な知識を習得させるための職長研修又は下請け事業主の雇用管理の改善についての援助に必要な知識を習得させるための雇用管理援助担当者研修を行う場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、一の研修について1日当たり10万円が、かつ6日分が限度です。 また、中小建設事業主が、その雇用する建設労働者に有給で雇用管理研修、又は、雇用管理援助担当者研修、職長研修を受講させた場合、その賃金の一部が助成されます。助成額は、1人1日当たり4,900円(通常の賃金の額が4,900円未満の時は、その賃金の額)、ただし、一の研修について6日分が限度です。

③ 福利厚生助成金

ⅰ)作業員宿舎

中小建設事業主等が、建設労働者の生活環境の改善を図るため、作業員宿舎を新築、改築、購入又は賃借した場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、その新築、購入等に要する経費の概ね3分の1(男性用と女性用に区別された作業員宿舎の場合は3分の2)に相当する額を、下の表に定める額が限度です。
種   類   等 過去5年間における一の建設事業主等に対する取扱区分等の限度額
作業員
宿舎
新築・増築
改築・購入
耐火構造

3,000万円

耐火構造以外

2,000万円

賃借

1,000万円

ⅱ)現場福利施設

中小建設事業主等が、建設現場において、食堂、休憩室、更衣室、浴室、便所及びシャワー室を新設、購入又は賃借した場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、その新築、購入等に要する経費の概ね3分の1(男性用と女性用に区別された更衣室、浴室、便所及びシャワー室の場合は3分の2)に相当する額で、下の表に定める額が限度です。
種   類   等 過去5年間における一の建設
事業主等に対する取扱区分等の
限度額
現場
福利施設
新築または購入

400万円

賃借

200万円

ⅲ)リフレッシュカ-

中小建設事業主等が、上記ⅱ)の6つの現場福利施設において食堂、便所及びシャワー室のうち、少なくとも2つ以上の現場福利施設を備えた車両を購入した場合、その一部が助成されます。助成額は、その購入費用の概ね3分の1に相当する額で、一の建設事業主等に対し一事業年度200万円(元事業主は600万円)が限度です。

ⅳ)健康診断

中小建設事業主が、期間を定めて雇用する建設労働者に健康診断を受診させた場合、その経費の一部が助成されます。助成額は、1人につき、次に掲げる額です。1)健康診断に要した経費(3,900円限度)、2)健康診断を受診させるための交通費(500円限度)、ただし、1)と2)の合計額は3,900円が限度です。

④ 雇用改善推進事業助成金

ⅰ)第1種

中小建設事業主の団体等が、構成員である中小建設事業主を対象に第1種雇用改善推進事業を行う場合、その経費の一部が助成されます。助成金の総額は一事業年度につき、一般団体は 200万円(一定の場合は 300万円)、全国団体は1,000万円(一定の場合は 1,400万円)が限度です。 

ⅱ)第2種

都道府県の建設業協会が、該当都道府県の中小建設事業主等を対象に第2種雇用改善推進事業を行う場合、その経費の一部(一事業年度1,400万円(一定の場合は2,000万円)を限度)が助成されます。

(8) 季節労働者を通年雇用した事業主への給付金

① 通年雇用安定給付金

積雪寒冷地における季節的失業の発生を防止するため労働者の通年雇用化を図る事業主に対して助成されるもので、「通年雇用安定給付金(通年雇用奨励金)」、「冬期雇用安定奨励金」、「冬期技能講習助成給付金」の3種類があります。

 ア.通年雇用奨励金

積雪寒冷地において一定の業種(労働大臣指定)に属する事業を行う事業主が、季節的業務に就く者を通年雇用した場合、対象労働者の数に応じ1人当たり一対象期間(12月16日~3月15日まで)につき、支払った賃金の2分の1(第1回目の対象労働者については3分の2)(54万円(第1回目の対象労働者については71万円)が限度)が支給されます。

 イ.冬期雇用安定奨励金

積雪寒冷地で一定の業種(労働大臣指定)に属する事業を行う事業主が、季節的業務に従事する労働者(季節労働者)を離職させる際に翌春の雇用を予約し、一定額以上の手当を支給するとともに1月から3月の間に季節労働者を30日以上就労させ、かつ再雇用した場合は、1月から3月の間に就労させた日について支払った賃金の2分の1(通年雇用目標数に満たなかった場合は次の式より算出した人数分については3分の1)(対象労働者1人当たり50日分が限度)が支給されます。

【式】:3分の1助成の人数=支給対象労働者数×(通年雇用目標数-通年雇用達成数)/通年雇用目標数

 ウ.冬期技能講習助成給付金

積雪寒冷地で一定の業種(労働大臣指定)に属する事業を行う事業主又は事業主の団体が、季節的業務に従事していた労働者に対し、通年雇用を促進するため必要な知識、 技能の習得のため1月から3月の間に20日以上の技能講習 (冬期技能講習及び委託講習) を実施した場合は一定の額が支給されます。これには「冬期技能講習助成金」と「冬期技能講習受講給付金」の2種類があり、「冬期技能講習助成金」は、冬期技能講習については実費相当額(1人当たり13,200円が限度)、委託講習については委託実費 相当額がそれぞれ支給されます。「冬期技能講習受講給付金」は、講習を受けた労働者で受講日数が20日以上である者に対して 115,000円が支給されます。

(9) 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保

平成11年度4月から施行された改正男女雇用機会均等法の内容に沿った雇用管理が確実に実現されるよう、企業、労働者等に対し、引き続きその周知徹底を図るとともに、個別紛争の迅速・円滑な解決に努めています。また、従来努力義務であった募集・採用、配置・昇進を中心に、男女の均等取扱いを確保するための積極的かつていねいな行政指導を行っています。

(10) 中小企業女性活用促進事業の実施 

雇用管理に関して実務的な知識・ノウハウを有する者を「女性活用コンサルタント」に委嘱し、中小企業に派遣して、「女性の働きやすさ診断指標」及び活用診断マニュアルを用いて診断を行い、その結果に基づく雇用管理改善のための具体的な助言やフォローアップを行うもので、(財)21世紀職業財団に委託して実施されます。平成11年度は同財団の35地方各事務所に女性活用コンサルタントを配置して実施されることとなっています。

(11) 職場におけるセクシュアルハラスメント防止のための取組み

改正均等法において、事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメント防止のために雇用管理上必要な配慮をしなければならないことが規定され、改正均等法に基づく指針において、①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、②相談・苦情への対応、③事後の迅速かつ適切な対応の3項目について配慮しなければならないとされています。このため、法律及び指針の周知を図るとともに、企業が配慮義務に基づく具体的な対策を効果的に講ずることができるよう、講習や個別相談を通じてノウハウの提供を行っています。また、女性少年室にセクシュアルハラスメントカウンセラーを配置するなど、女性労働者からのセクシュアルハラスメントについての相談への対応を充実させています。

(12) 母性健康管理について

男女雇用機会均等法においては、母性健康管理の措置(①妊娠中又は出産後の女性労働者が健康診査等を受けるために必要な時間を確保すること、②その女性労働者が主治医等の指導事項を守るために必要な通勤緩和などの措置を実施すること)が事業主の義務とされています。これら母性健康管理の措置について、事業主、女性労働者、医師・助産婦等に対し周知徹底を図るとともに、主治医等の指導事項を事業主に明確に伝えるための「母性健康管理指導事項連絡カード」の利用を促しています。
また、事業主及び女性労働者からの相談への対応、助言を適切に行うことができるようにすることを目的とした産業医等産業保健スタッフに対する「母性健康管理研修」、産業医の選任義務のない小規模事業所の事業主及び女性労働者を対象とした「母性健康管理相談事業」を実施しています。

(13) 育児休業者又は介護休業者の円滑な職場復帰を図るための措置を実施した事業主への奨励金

育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金……育児休業又は介護休業を取得する労働者に対し、その職場復帰が円滑に行われるよう、職場適応性や職業能力の低下を防止し、回復を図る措置(職場復帰プログラム)を計画的に実施する事業主に対し、その実施期間及び内容に応じて、対象労働者1人当たり、中小企業18万円、大企業13万円を限度に支給されます。

(14) 事業所内に託児施設を新たに設置し、運営を開始した事業主等への給付金

事業所内託児施設助成金(育児・介護雇用安定助成金)……労働者のための託児施設を事業所内(労働者の通勤経路又はその近接地域を含む)に設置する事業主及び事業主団体に対し事業所内託児施設助成金(育児・介護雇用安定助成金)として、要した費用の1/2〔限度額;設置費2,300万円、増築費1,150万円(定員増を伴うもの又は安静室等の整備)〕、運営費372.2万円〈時間延長型は、延長時間数に応じて最大154万円まで、体調不調児対応型は160万円まで上乗せ〉(運営開始後、最長5年間)、が支給されます。

(15) 育児や家族の介護に係るサービスを利用する労働者に対し、その費用を補助した事業主への助成金

育児・介護費用助成金(育児・介護雇用安定助成金)……育児又は家族の介護のために、家政婦、ベビーシッター、ホームヘルパー等を利用する労働者に対し、それに要する費用を補助又は負担した事業主に対し、その費用の一定割合(中小企業3分の2、大企業2分の1、労働者1人当たり30万円かつ1事業所当たり年間限度額 360万円)が支給されます。また、費用を補助する制度を新たに設け、最初の利用者が生じた場合には、通常の費用助成に加えて一定額(中小企業40万円、大企業30万円)が支給されます。

(16) 育児又は家族の介護を行う労働者に配慮した雇用環境の整備等を行う事業主団体への助成金

育児・介護雇用環境整備助成金(育児・介護雇用安定助成金)……仕事と家庭とが両立できるような様々な制度を持ち、家族的責任に配慮した雇用管理を行う「ファミリー・フレンドリー」企業を目指して、育児又は家族の介護等を行う労働者の職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備等を図るための計画を作成し、女性少年室長の認定を受け、それに基づき調査研究、相談、指導その他の援助等を行っている事業主団体に対し、当該措置について負担した額の2/3〔限度額;1団体当たり1事業年度200万円〕が支給されます。

(17) パートタイム労働者の雇用管理の改善に関する措置を講じた事業主及び事業主団体に対する助成金

① 中小企業短時間労働者雇用管理改善等助成金

パートタイム労働者の雇用管理の改善を図るための計画を作成し、その計画に基づいて、パートタイム労働者に対して一定の福利厚生制度等の措置を実施する等、他の事業主の模範となる取組を行う事業主に対して助成金が支給されます。助成金の内容は、ア.改善計画等を作成する経費15万円(小規模事業主20万円)、イ.雇用管理改善制度実施経費として、a.雇入時健康診断、b.定期健康診断、c.人間ドック、d.生活習慣病予防検診、e.結婚手当金、f.出産手当金、g.弔慰金、h.講習、i.保険・共済、j.通勤便宜供与、k.キャリアアップ制度の実施があり、aからjを受けた短時間労働者1人につきそれぞれに定める額、またkについては事業主ごとにそれぞれ定める額(経費負担が助成額に満たない場合は、その経費負担額)になります。

② 事業主団体短時間労働者雇用管理改善等助成金

構成事業主の雇用するパートタイム労働者の雇用管理の改善等のために労働条件の適正化及び雇用管理の改善に関する情報提供、講習の実施等の活動を行う中小企業事業主団体に対して経費の3分の2(最高限度額1,000万円)が支給されます。

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