特集
平成10年度中小企業白書の要点

あらまし

第1部 構造変化の中の中小企業

<中小企業をめぐる環境変化>

  1. 中小企業は大きな環境変化の中にある。新規創業と経営革新に大きな期待がかかる。
  2. 経済成長の主たる原動力は資本投入から幅広いイノベーションへ。
  3. 中小企業の機動性は利点。「過小過多」を問題視する時代ではない。
  4. 経済の中で中小企業が占める比重は大きい。
  5. 地域経済の中での中小企業の役割は大きい。
  6. 中小企業は極めて多様。生産性、利益率、成長率のばらつきは大きい。
  7. 中小企業の借入では経営者の土地担保・個人保証が一般的。
  8. 中小企業にとって金融・資本市場からの調達は狭き門。研究開発において特に顕著。
  9. 研究開発は中小企業全体としては活発とはいえない。
  10. 研究開発実施企業だけで見ると、中小企業の研究開発も大企業に遜色ない水準。

<好業績の企業の特性>

  1. 研究開発の企業業績への効果は、中小企業において特に大きい。
  2. 研究開発の効果は設備投資以上に大きい。
  3. 特許保有の企業業績への効果は、中小企業において特に大きい。
  4. 研究開発への取組に当たっては、異業種を含めた連携も有効。
  5. 企業間連携、新製品開発、新分野進出等の新たな活動は、好業績に結びついている。
  6. 情報化、規制緩和等の環境変化への積極的な対応は、好業績に結びついている。

<中小企業の動態>

  1. 開業率は長期的に低下傾向。最近では会社創業率も会社廃業率を下回った。
  2. 中小企業も成長を遂げ大企業となる。業種転換、業態転換も経済活性化に寄与。
  3. 流通経路の短縮化、小売・卸売業の大規模化など、流通構造は大きな変化。
  4. 中小企業、新規開業は地域の雇用創出に大きく寄与。

<創業とその後の経営成果>

  1. 創業希望者は足下で増加。若い創業希望者は多いが、創業時の年齢は上昇傾向。
  2. 創業動機の筆頭は自己実現。資金調達、取引先の開拓、人材確保が大きな障害。
  3. 創業活動の活発化のためには失敗時のリスクの軽減、敗者復活の可能性確保が課題。
  4. 創業時の障害は特に若い創業者にとって高ハードル。
  5. 創業に当たっては自己資金に大きく依存。資金の問題は人材の確保にも影響。
  6. 失敗経験も有益。判断力、柔軟性、自己責任感覚が成功する経営者を生む。
  7. 創業活動を支援する触媒機能の役割は大きい。他方で企業側の努力も求められる。
  8. 廃業を希望する個人企業は増加。廃業手段としての営業譲渡の活用も考慮。


第2部 最近の中小企業の動向

<中小企業の景気動向>

  1. 業況の悪化に伴い設備投資も低迷。資金調達よりも業況が投資低迷の主因。
  2. 中小企業の雇用吸収力にもかげりが見られる。雇用の業況への反応はより敏感に。

<不況下の資金調達環境>

  1. 資金繰りは一時急速に悪化。金融機関の貸出姿勢も厳しくなった。
  2. 「貸し渋り対策」を受けて政府系中小機関の貸付と保証承諾額は急増。
  3. 倒産は急速に減少。
  4. 金融機関の貸出姿勢は個別企業の業績、資金需要等に大きく影響される。

<中小企業をめぐる最近の問題>

  1. コンピュータ西暦2000年問題への対応は進展。他方で未対応の企業も少なくない。

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