新年を迎えて

長野県知事 吉 村 午 良


 明けましておめでとうございます。
 新しい年を迎え、皆様のご多幸とご健勝を心からお祈り申しあげますとともに、日ごろ県政にお寄せいただいておりますご支援、ご協力に対しまして、心からお礼を申しあげます。

 さて、わが国の経済は、個人消費や企業の設備投資などが依然として低調で、昨年度の経済成長率が戦後二番目に低いマイナス成長となるなど、極めて厳しい状況にあります。このような中、昨年4月と11月に、国の大規模な経済対策が打ち出されました。県におきましても、過去最大規模の大型補正予算の編成により、これらの経済対策に積極的に対応し、公共事業をはじめ、中小企業や住宅の金融対策、雇用の維持・安定など景気浮揚につながるきめ細かな施策を進めているところであります。こうした施策の効果が、経済の先行きに対する不透明感をぬぐい去り、県内景気が一日も早く回復軌道に乗るよう一層の努力を傾注してまいります。

 昨年は、冬季オリンピック・パラリンピックの開催という長野県の歴史に輝かしい1ページを飾った、まことに意義のある年でありました。さわやかな感動と数多くの思い出は、一年が経とうとする今なお、私たちの脳裏に鮮やかによみがえってまいります。招致以来長きにわたりまして大会の成功に向け終始あたたかいご支援、ご協力をいただきました多くの皆様に、改めて心より敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。
 両大会の成功は、交通・通信基盤や競技・運営施設の整備とともに、国際的な知名度やイメージの向上、ボランティア活動の広がり、障害者とスポーツに対する理解の深まりなど、有形無形の数多くの財産を私たちに残してくれました。そして何よりも、世紀の祭典を支え、世界の期待にこたえることができた誇りと自信、子どもたちが心に刻んだ限りない夢は、これからの県づくりの原動力になるものと確信しております。

 さて、世界も日本も、そして長野県も「変化の時代」を迎えております。21世紀を目前にし、この新しい変化の風をしっかりとらえ、進むべき方向を見極めていく必要があります。幸い、本県は社会基盤の充実や豊かな自然、健康長寿などに加えて、オリンピック・パラリンピックを大きなステップに発展の可能性がますます高まっております。時代の大きな転機をむしろ飛躍のチャンスとしてとらえ、未来をきりひらく「知恵」と、大胆に改革を進めていく「勇気」で、長野県の更なるグレードアップを目指し、21世紀に向け全力で取り組んでまいる所存でありますので、今後とも変わらぬご支援、ご協力をお願い申しあげます。

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