長野県ホテル旅館環境衛生同業組合
理事長 有賀 裕

○平成11年の業界の景況見通し

 かつて業界は右肩上がりの状態を続けていたが数年前より右下りの基調が続いている。今利益計上している旅館ホテルは全体の2割程度と聞いている。本年当初9年こそが底で本年は底上げの年であると予測したが更に底は下げ止まりにならなかった。次年度も同じ状勢になる様に思えてならない。政府は減税を始め景気浮揚策を本当によくやっている。そのことがほのかな希望になり11年はプラス成長になりこれを基盤として更に回復基調にのっていくのではと期待することはできます。がそれにもまして旅館ホテルの数が8万軒台より7万軒台におちたがまだ供給過剰のそしりをまぬがれません。私は経営姿勢としては今が普通この状態で利益をだしていける様に企業の体質をつくりあげていかねばならないと考える。車の売れ具合、公共投資の増加、住宅の建設向上などの良い材料は考えられるがこれらは踊り場的状勢であり将来不安による消費性向の停滞で多くは望めない現状であろう。私はこれを打開するのに2つのことを考えている。
 (1)消費が低迷していても生活の質の向上につながる消費と生きがいのための消費は増大するであろうと思う。この点旅行を生活の質向上に適合したものにしていく。
 (2)生きがいとしてそれに応えられる観光地の資本の論理から人間の論理による開発が必要のように思える。

○業界の抱える課題と対応

 特別地方消費税の12年度撤廃と旅館業法の経済立法への改正という永年の悲願が実現され、私たちの業界の社会的地位が風俗的見地から健康産業へと脱皮向上されました。日本経済発展のための主要産業の一翼を担えるようになり嬉しき限りです。今課題になっているのは公的施設による民業圧迫であります。公営宿舎と私たちの仕事は同じ様に国民に安らぎを与えるものでありますが、そのイニシアルコストとランニングコストに於いて如何にも不公平な状態で競争を強いられております。もとより自由な競争を否定するものではありません。ただ公営宿舎は余りにも公的資金(税金といえる)の支援が大きくとても同じ土俵での競争でなく社会的正義に反した状態を生み出しております。この点について内閣が原則として公営宿舎の建設は認めないといってくれておりますがこの原則としてを省いて頂き全面的に取りやめにして欲しい。今公営宿舎は大多数が赤字の経営であり公的資金の無駄使いが多くあります。

○組合運営

 本年長野県ホテル旅館組合の事務所が県庁の裏の淋しいところから人通りが少しでも多いバスターミナル会館に移りました。この不景気時組合員のために少しでもお役にたつことに挑戦しよう、その為に何かを仕掛けようという意気込みの現れであります。ここで県内の旅行案内を行い更に前より広い事務所を利用して金融の気軽な相談窓口、経営の身近な相談窓口を充実し組合員の為にお役に立ちたい、こんな願いをこめ明るい事務所が出発しました。中央会の皆様もどしどしご利用頂ければこの上ない幸いです。今後残された課題は組合の組織の問題です。即ち加入率の向上を図りたい。お金を出さず組合がかちとったことをちゃっかりと享受している員外の方は大変ずるいと思います。金もだし口もだし皆で手を取り合って事業を展開し私たちの利益を向上していく。大きな力は大きなうねりとなって私たちの利益にはね返ってくると信じます。この文をお読みになりまだ加入していない人は是非加入して欲しい。

 最後に提言を一つ、高速道路の料金を無料にして欲しい。測り知れない効果があると信じます。
 本年もよろしくお願いします。

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