14.官公需対策

中小企業の仕事量を確保し、その振興・発展を図るため国、公団、公庫、事業団等の官公需を発注する諸機関及び地方公共団体が、政策的に中小企業への発注を促進する施策として「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」が制定されています。
国は、この法律に基づき、毎年度国等の諸機関が発注する官公需のうち、中小企業者向けに発注すべき目標額(平成10年度は、4兆9,060億円、全体の41.3%)を示し、併せて、その目標を達成するため、以下の諸措置を定めた「中小企業者に関する国等の契約の方針」を閣議決定し、国等の各官公需発注機関に示すとともに、地方公共団体に対しても国の施策に準ずるよう要請しています。平成10年度の「国等の契約の方針」は、6月30日に閣議決定されました。
「国等の契約の方針」における中小企業者への発注促進のための諸措置の主な内容は、以下のとおりです。

(1)

中小企業官公需特定品目の発注計画・入札参加資格登録受付情報・一般競争入札「物品」「役務」「工事」関連情報・公募型指名競争による工事の発注関連情報・これら工事についての落札結果等に関する情報等を中央会を通じて中小企業へ情報提供する。

(2)

官公需特定品目を発注する際は、随意契約制度の活用等により中小企業の受注機会の増大を図る。

(3)

随意契約制度等を活用し、官公需適格組合等の協同組合の受注機会の増大に努める。

(4)

指名競争入札の際には、極力同じ資格等級区分の内で行うなどにより、中小企業者の受注機会の増大に努める。

(5)

中小工事及び官公需特定品目の発注については、できる限り中小企業者を指名する。

(6)

官公需適格組合等の活用を促進するとともに、競争入札参加資格審査に当たっては、官公需適格組合に対する「総合点数の算定方法に関する特例」の活用に努める。

(7)

少額の発注については、少額随意契約制度を活用する。

(8)

真にやむを得ない場合を除き、直接及び間接の銘柄指定は行わない。

(9)

中小企業者の受注機会を増大するため、地方支分部局等における地元業者等の活用、及び政府調達協定等との整合性、コスト縮減に配慮しつつ、分離・分割発注を促進する。

(10)

週40時間制の実施、週休2日制等の動きを踏まえて、適正な納期・工期の設定に配慮する。

(11)

需給の状況等を踏まえて、適正な価格で発注するとともに中小工事の早期発注等に努める。

(12)

国は、地方公共団体に対し、国の施策に沿って中小企業者の受注機会の増大の措置を講ずるよう要請する。
個々の中小企業では受注し難い発注規模や品質の発注案件の場合に、中小企業が協同して受注することが有効な場合が多くありますが、官公需発注機関が、事業協同組合等を容易に活用できるようにするため、受注体制が確立している事業協同組合等に対して、通商産業局長がその旨を証明する官公需適格組合証明制度が設けられています。平成8年度における官公需適格組合の国等及び地方公共団体からの官公需受注総額は 1,377億円 (受注実績のあった組合は 537組合)となっています。なお、平成10年3月末において証明を受けている組合は749組合(物件263組合、工事254組合、役務232組合)あります。

(注)物品納入・役務提供業種関係組合の証明については、「審査委員会」は設置されていません。

全国中小企業団体中央会及び都道府県中小企業団体中央会では中小企業の官公需受注を推進するため、以下の事業を行っています。
(1) 中小企業者が抱えている官公需問題について、中央と地方の各段階で発注者の出席を得て、受注上の問題点を話し合い、解決していこうとする官公需問題懇談会の開催
(2) 官公需の受注に意欲的な官公需適格組合等の中小企業者の組合に対して、官公需受注に関する専門的知識と経験を有する指導者を派遣し、対象組合の受注体制の整備と受注能力の向上を指導する官公需業種別受注対策事業
(3) 官公需適格組合のうち官公需の共同受注事業に業績をあげている組合について、組合の実態・事業実施の方法等を事例として調査・分析し、他の組合等の参考となる事例集の作成
(4) 中小企業者の官公需の受注機会を増大するため、中小企業官公需特定品目に関する発注計画の情報、落札結果の情報、競争入札参加資格登録申請受付の情報、特定品目以外の物品、工事及び役務であって政府調達協定に基づき官報掲載されるものを除く一般競争の発注に関連する情報、公募型指名競争(工事)の発注に関連する情報、及び工事であって前述の一般競争・公募型指名競争の落札結果に関する情報等の各発注機関からの収集、組合等への提供
(5) 中小企業官公需施策と官公需適格組合制度の普及を図るためのPR用パンフレットの作成配布

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