2.中小企業の新分野進出等の支援

(1) 中小企業新分野進出等円滑化法による支援

特定中小企業者(特定業種〔製造業、印刷業、ソフトウェア業、情報処理サービス業〕に属する事業を営む中小企業者等)が承認を受けた新分野進出等計画に従い、製造業、印刷業、ソフトウェア業、情報処理サービス業、物品の修理業、物品の設計業において行う新分野進出(製品又は役務の機能、性能等の面で従来と何らかの相違がみられる事業を行うこと、業種転換)、海外における事業の開始又は拡大を実施する際に次の支援が行われます。
また、特定中小企業者が承認を受けた事業展開計画に従い、製造業、印刷業、ソフトウェア業、情報処理サービス業、物品の修理業、物品の設計業において行う新分野進出等、新商品又は新技術の開発の事業及びこれらの準備のために行う研修、指導等の事業を実施する際にも、下記のうち、中小企業近代化資金等助成法の特例、設備投資減税、欠損金の繰戻しによる還付の特例があります。

 ①補助金

  (a) 中小企業新分野進出事業

新分野進出等計画の承認を受けた特定中小企業者が行う、新分野進出のための市場調査、商品化等に必要な経費(1企業1,012万円、1組合1,522万円を限度とする)が補助されます。

 ②融資制度

  (a) 中小企業新分野進出等円滑化貸付制度

中小企業者が承認を受けた計画に従って行う新分野進出等に必要な設備資金等に対して財投金利を下回る低利で融資が行われます。また、計画の承認を受けていない中小企業者であっても、売上高の減少等一定の要件を満たせば、新分野進出等に必要な設備資金や海外における事業の開始又は拡大について低利で融資が行われます。

  (b) 経済構造改革特別貸付制度

中小企業者が承認を受けた計画に従って行う新分野進出等に必要な設備資金等に対して、財投金利を下回る金利で融資が行われます。

  (c) 中小企業近代化資金等助成法の特例

  • 特定中小企業者が承認を受けた計画に従って行う設備投資に必要な資金に係る中小企業設備近代化資金の貸付け等(新分野進出等計画の承認を受けた特定中小企業者のうち一定の要件に該当する者については、その他の事業活動に必要な設備に係る貸付け等を含む)について償還期間が延長されます。(5年以内→7年以内)
  • 新分野進出等計画の承認を受けた特定中小企業者のうち一定の要件に該当する者については、法施行前(平成5年11月24日以前)の貸付け等について、償還期間が3年を超えない範囲で延長されます。
  • 事業展開計画の承認を受けた特定中小企業者については、改正法施行前(平成7年5月21日以前)の貸付について、償還期間を3年を超えない範囲で延長します。

  (d) 中小企業事業団高度化融資制度

中小企業が共同して行う新分野進出のための事業が高度化事業に追加され、新分野進出等計画の承認を受けた者は融資条件の優遇措置が受けられます。
税制(「5.中小企業のための税制」の項参照)
承認を受けた計画を実施する者には以下の税制の優遇措置が適用されます。

〈設備投資減税〉

特定中小企業者が、承認計画に従って新分野進出等のため取得(リースによる場合を含む)する機械装置にき、取得価額の7%の税額控除又は30%の特別償却が認められます(中小企業等事業基盤強化税制の適用対象に追加)。

〈試験研究関連税制〉

承認計画を実施する組合等は以下の試験研究関連税制の適用対象になります。
(ア)組合等が賦課する負担金の任意償却
(イ)試験研究費が増加した場合等の税額控除
(ウ)組合等が組合員の負担金により取得した、試験研究用固定資産の圧縮記帳

〈欠損金の繰戻しによる還付の特例〉

特定中小企業者の欠損金について、当該欠損金を生じた事業年度前1年間の税額が繰戻しにより還付されます。

〈特定の資産の買換え特例制度〉

特定中小企業者が、長期保有土地等を譲渡し、その譲渡益を建物、構築物又は機械及び装置へ投資した場合に80%の圧縮記帳が認められます。

〈中小企業保険法の特例〉

中小企業信用保険法に規定する普通保険、無担保保険及び特別小口保険、海外投資関係保険並びに新事業開始保険について、承認を受けた計画に従って新分野進出等を行うのに必要な資金に係る債務の保証(新分野進出等計画の承認を受けた特定中小企業者のうち一定の要件に該当する者については、その他の事業活動に必要な資金に係る債務の保証を含む)に関するものは、保険限度額の別枠化と増額、てん補率引上げ、保険料率引下げ措置があります。

(2) その他の諸施策

 ①地域産業創造技術研究開発費補助金(「12.技術力向上支援対策」の項参照)

中小企業が新分野進出のために行う新製品開発、新技術研究等に要する研究開発費の一部を補助する地域産業創造技術研究開発費補助金制度があります。

 ②海外投資等を行う場合の施策(「10.国際化対策」の項参照)

海外における事業の開始や拡大を行う場合は、中小企業事業団、日本貿易振興会等の機関が行う指導・情報提供事業、人材育成事業や、金融、信用補完、税制等各種の施策があります。

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